おおさかナウ

2023年12月02日

明るい会府政シンポ
破綻の大阪万博 中止を
要請署名を呼び掛け
維新政治のうそとごまかし 府民に可視化

 「明るい民主大阪府政をつくる会」は11月21日、大阪市北区で〝大阪万博の破綻、維新政治の行方を問う〟をテーマに大阪府政を考えるシンポジウムを開き、オンライン併用で118人が参加しました。

府民の命と暮らし守るため

大阪万博と維新政治の問題点を検証した府政シンポジウム=11月21日、大阪市北区内

 菅義人代表常任幹事(大阪労連議長)が開会あいさつし、万博計画に対する府民世論の変化に加え、〝身を切る改革〟や〝大阪の成長を止めるな〟など、維新政治そのもののうそとごまかしが、府民の中に可視化されつつあると情勢の特徴を指摘、万博中止へ世論と運動を強めようと呼び掛けました。
 「明るい会」の有田洋明事務局長が、11月17日発表した声明「大阪・関西万博の開催をただちに中止することを求める」の内容について、①世論の変化②建設費上振れ③カジノの隠れ蓑の矛盾④府民の命と暮らしを破壊――の4つのポイントを示し、「声明は、府民の命と暮らしを守る立場で、速やかに万博開催の中止を求めたもの」と強調しました。

上振れに開き直る吉村知事

 有田氏は、万博関連工事の大阪メトロ延伸やアクセス道路工事でも公費負担増が懸念されるとし、「追加負担はやむを得ない」と開き直った吉村洋文府知事の姿勢を批判。1970年大阪万博の翌年に黒田革新府政が誕生した経過にも触れて、「福祉や医療、府民施策を切り捨てる維新政治を厳しく追及し、大阪万博の中止を求める要請署名を広げよう」と呼び掛けました。
 大阪府副知事を歴任し、橋下徹知事時代に「改革プロジェクトチーム長を務めた小西禎一氏が、特別報告しました。

思い付き政策でズタズタに

 小西氏は、住民投票で2度否決された「大阪都」構想や頓挫した府庁移転計画を例に挙げ、「思い付きの政策で大阪がズタズタにされ、〝後は野となれ山となれ〟と政治家たちが去っていった」と批判。「万博も同じ。オリンピックの次は万博だと思い付きで始まり、現在の混乱を招いた。維新が成長戦略に掲げるIR・万博は既に破綻が明らか。かつての大型開発の失敗を繰り返し、財政破綻の道に進もうとしている」と語り、府民のための行政実現へ、対抗勢力側が力量を高める必要があると述べました。

入場者数には対応できない

 日本城タクシー社長で『維新断罪』の著書がある坂本篤紀さんは、ライドシェアはじめ現行法制の規制緩和を主張する維新政治の問題点を解説し、万博計画について、入場者数に対応できない下水処理や自然災害が発生した場合の危険性を指摘。「維新政治の特徴は、当事者意識の欠如と平気でうそをつくことだ。万博開催が良いか悪いかは、普通に考えたら分かるはずだ」と語りました。
 杉本和新婦人府本部会長が閉会あいさつしました。

 明るい民主大阪府政をつくる会常任幹事会は11月17日、「大阪・関西万博の開催をただちに中止することを求める」とした声明を発表しました。全文は次の通りです。

大阪・関西万博の開催をただちに中止することを求める

明るい民主大阪府政をつくる会常任幹事会

「万博」をめぐる世論の大きな変化

 2025年大阪・関西万博の開幕まで約500日です。いま「万博」をめぐる様相は大きく変化しています。世論調査でも、会場建設費上振れによる国民負担増に「納得できる」15%、「納得できない」77%(NHK)、「万博不必要」が68%、うち維新支持者でも65%(共同通信)など、「万博の開催」に疑問の声が高まっています。「夢洲」はダイオキシンやPCB等の汚染土壌や地盤沈下の問題を抱えており、地震や台風の自然災害時に迅速な避難ができず甚大な被害が想定され、万博会場整備の大幅な遅れに加え、新たな公費負担が懸念されています。今なら「万博」を止められます。博覧会国際事務局(BIE)総会で3分の2以上の決議により、4月13日までに中止すれば、損失補償など「350億円」に抑えることができます(それ以後は「844億円」)。
 明るい民主大阪府政をつくる会(以下、「明るい会」)は、府民の負担を減らし、いのちとくらしを守る立場をふまえ、すみやかに大阪・関西万博の中止することを強く求めるものです。

会場建設費は約2倍に上振れ、大阪市民1万9千円もの負担増に

 万博の会場建設費は、国と大阪府・市、経済界で3等分とし、当初計画1250億円が1850億円に引き上げられ、さらに今回1・9倍の2350億円の増額となる見通しです。万博推進局によると、大阪市民一人当たり約1万9千円(府民負担分約4千円、国民負担分約600円を含む)もの負担増となり、吉村知事は「追加負担はやむを得ない」と述べざるを得ませんでした。
 また、関連事業費も膨張し、万博アクセス高速道路事業費が当初1162億円の2・5倍に、大阪メトロ延伸工事も当初250億円から346億円に増額しています。また、新たな警備費の増額分200億円は国負担としています。さらに、建設労働者の時間外労働上限規制を撤廃する動きなど、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」と相容れない事態が起こっています。

カジノの隠れ蓑に万博関連事業を推進してきた維新

 万博関連の事業費が大幅に増えた大きな原因は、開催地を「夢洲」に決めたからです。国策の万博関連事業として、カジノ誘致のためのインフラ整備に税金を使うため、維新が「夢洲の開催」を持ち込み固執しています。松井市長(当時)が「カジノに1円の税金も使わない」と言いながら、土壌改良費788億円もの公費負担を大阪市が決めました。維新がカジノ誘致と一体に進めて、万博の来場者を期待したカジノ開業が2030年に延長されるなど、今後とも膨んだ建設費がすべて国民の負担になります。夢洲への陸上ルートは、橋とトンネルの2カ所だけです。しかも、「夢洲」の軟弱地盤と汚染土壌など幾多の問題を抱えて難工事を余儀なくされています。このもとでメキシコとエストニアが「万博参加」を撤退の意向を示し、続く「撤退ドミノ」が懸念されています。

いのちもくらしも危ない! 維新政治こそ問われている

 維新は、廃棄物の最終処分地で重要な役割を担う夢洲を「負の遺産」と呼んで、「経済の起爆剤」として大阪カジノを誘致し、ベイエリア開発の拠点にしようと「万博」による税金投入を企てました。そして、「負担増は未来への投資だ」と言い訳をしています。これまで維新は「二重行政」を批判してきましたが、今まさに大阪府と大阪市が「二重」になって、かつてきた道、ゼネコン浪費型のムダな大型開発に突き進もうとしています。「万博は維新が掲げる『身を切る改革』の例外なのか」(10月1日「朝日」)、「万博の開催がカジノ推進の手段のようになれば万博の機運もしぼみかねない」(10月7日「読売」)などメディアも厳しく批判しています。
 「身を切る改革」と称して、福祉や医療、府民施策を削減させながら、万博とカジノによる莫大な負担を国民・府民におしつける「維新政治のあり方」こそ、もっとも厳しく問われています。
 私たち「明るい会」は、大阪・関西万博を直ちに中止し、大阪カジノの撤退を強く求めます。そして、維新政治からいのちとくらし最優先の府政を実現するため全力で奮闘するものです。

(大阪民主新報、2023年12月3日号より)

 

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