おおさかナウ

2015年10月04日

戦争法廃止の国民連合政府
実現へスタートを

 日本共産党の山下芳生書記局長が9月27日、大阪市北区・梅田のヨドバシカメラ前で行った演説(大要)を紹介します。(動画はこちらからご覧下さい)

山下よしき日本共産党書記局長の演説(大要)

たたかいを通して見えた2つの希望

戦争法の強行に怒り込めて抗議

訴える山下書記局長

訴える山下書記局長

 安倍自公政権は9月19日未明、戦争法の採決を強行しました。どの世論調査を見ても、国民の5割が「憲法違反」だと言い、6割以上が「今国会での成立は反対」、8割が「説明が不十分だ」と言っている法案を、数の暴力で強行しました。民主主義の国には絶対に許されない暴挙です。皆さんと一緒に、満身の怒りを込めて抗議したいと思います。
 同時に、たたかいを通じて私たちは大きな希望を見ることができました。戦争法反対で全国各地、国会の周辺で毎日のようにたくさんの人々が抗議の声を上げ続けました。一人一人の国民が主権者として、自分の言葉で、自主的・自発的に戦争法反対の声を上げて立ち上がったことは、戦後の国民のたたかいの中でもなかった、新しい国民運動の始まりではないでしょうか。
 若い世代の皆さんが大きな役割を果たしました。合い言葉は「民主主義って何だ」「これだ!」。民主主義とは、選挙のときだけ主権者が一票を行使するだけでは駄目なんだ。一票を行使して選んだ権力者が、主権者の意に反して暴走したときには、それを止めるために声を上げるのが主権者の役割。それが民主主義なんだということが、若い皆さんの共通したアピールではなかったでしょうか。

誰も抑えられぬこのエネルギー

 国会の中では与党の数の暴力が猛威をふるっているかのように見えても、国民の中では通用しません。国民の中に息づき、動き始めた、民主主義を求める巨大なエネルギーを抑え込むことは、もう誰にもできません。必ず古い政治を乗り越え、新しい政治をつくる、大きな流れに発展すると私は確信しています。
 もう一つの希望は、国民の声・運動に応える形で、国会では野党の共同が発展しました。法案の審議入り以降、衆議院段階で2回、参議院段階では4回、野党の党首会談が開かれ、法案の強引な採決に反対する、法案の成立を阻止するという一致点で共同が進みました。
 強行前日の18日の党首会談では内閣不信任案、問責決議案を野党共同で提出することを確認するとともに、どういう事態になっても、今後とも憲法の立憲主義・平和主義・民主主義を守るために、野党は協力して共同することで一致しました。国民みんなでつくった、2つの希望・財産を、これからのたたかいに大いに生かしていこうではありませんか。

戦争法廃止、安倍政権打倒のたたかいをさらに発展させよう

 ではこれからどうするか。日本共産党は戦争法が強行された19日午後、第4回中央委員会総会を開き、志位和夫委員長名で「『戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府』の実現をよびかけます」を発表しました。

戦争法は一刻も放置はできない

 第1は、戦争法廃止・安倍政権打倒のたたかいをご一緒に発展させようということです。戦争法が強行されたからといって、諦めるわけにはいきません。戦争法は憲法の平和主義を壊す最悪の違憲立法。自衛隊が海外で武力行使できるような数々の仕組みを盛り込んでいることは、審議を通じて明らかになりました。
 集団的自衛権の行使は、日本がどこからも攻撃されていないのに、日本の側から米軍の戦争に参加して武力行使をすること。これは米軍の相手からすれば、日本が先に攻撃するということに他なりません。攻撃される理由を日本から与えることになります。自衛隊員が危なくなるだけではなく、日本の国民の命と平和を脅かす戦争法は、一刻も放置できません。

民主主義の破壊絶対に許せない

 安倍首相は「国会の多数で通った」「国会の多数で決めるのが民主主義だ」と開き直っていますが、去年の総選挙で自民党が得た比例代表の得票は有権者の17%。にもかかわらず自民党の議席が圧倒的に多いのは、1人しか当選しない小選挙区制のマジックによる「議席の水増し」です。17%の支持しかない政党が、8割の国民が「説明不足だ」と言っている法案を数の力で通す資格は絶対にないと私は言いたい。これは民主主義の破壊です。
 憲法違反が明らかな法案を一内閣の「閣議決定」で憲法解釈を180度変え、数の力で押し通す。こんなことが許されるなら、立憲主義が根底から覆されます。その先に見えるのは独裁政治です。これを許してはなりません。違憲の戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻す新たな運動を、ご一緒に起こそうではありませんか。安倍政権をみんなの力で打倒しようではありませんか。

戦争法廃止で一致する政党・団体・個人が共同して国民連合政府をつくろう

 第2に、どうすれば戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すことができるか。衆参両院の選挙で自公政権を打ち負かし、戦争法廃止の立場に立つ勢力が多数を占めることが必要です。そして戦争法廃止法案を提出し、通すことが必要です。
 同時に、それだけでは足りません。昨年7月、安倍内閣は集団的自衛権の行使を認める「閣議決定」を強行しました。この「閣議決定」が残れば、自衛隊海外派兵の火種がくすぶったままになりますから、これを撤回することがどうしても必要です。戦争法廃止法案の提出と「閣議決定」の撤回、この2つの課題をしっかり確実に実行する政府を国民の手でつくることが、どうしても必要ではないでしょうか。
 私は心から呼び掛けます。戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻す――この一点で一致するすべての政党・団体・個人が共同して、「戦争法廃止の国民連合政府」をご一緒につくろうではありませんか。

立場の違い超え大同団結で力を

 もちろん、野党の間には政策の違いはあります。しかしたとえば、日米安保条約に対する立場が違うからといって、安倍政権をそのまま続けさせていいでしょうか。どうしても打倒する必要があります。戦争法を廃止し、立憲主義の秩序を取り戻すという緊急・重大な任務で、違いは横に置いて大同団結しよう。これが日本共産党の提案です。この大きな問題で大同団結ができれば、沖縄の米軍基地、消費税引き上げなど安倍政権の暴走にストップをかける上で、話し合いで、一致点で対応することが可能だと考えています。
 「国民連合政府」の任務は限定的なものです。戦争法案を廃止し、立憲主義を取り戻すという国民との約束を実現すれば、その先は衆院解散・総選挙で、国民の意思に沿って進むべき方向を決める。これが一番、安倍政権の暴走にストップを掛ける現実的で合理的な道ではないでしょうか。
 立憲主義を取り戻すことは個別の問題ではありません。憲法によって権力者の手を縛る、政権・権力者に憲法を守らせることが実現できれば、初めて日本の国民が主権者として新しい政治を起こす快挙となり、日本の政治に新しい局面を開く大きなインパクトになります。そういう展望をもった「国民連合政府」をつくるために力を合わせましょう。

「国民連合政府」で一致する野党が国政選挙で選挙協力を行おう

 「戦争法廃止の国民連合政府」で一致する野党が国政選挙での選挙協力を行おうというのが、3つめの提案です。参議院でも1人区が32あります。衆議院の多くが1人しか通らない小選挙区。自公政権を打倒しようと思えば、いまの選挙制度の下では野党の選挙協力がどうしても不可欠です。
 これまで日本共産党は国政選挙で野党間の選挙協力をする場合は、国政の基本問題で一致することが条件だという考えでした。でなければ有権者に責任を果たせません。同時に、国民的な大義があれば、この原則を柔軟に適用して対応してきました。昨年の総選挙では、沖縄の小選挙区1区から4区まで、辺野古への米軍新基地建設反対の一点で立場の違いを超えて選挙協力し、すべての選挙区で自民党候補を打ち破りました。
 違いを乗り越えて大同団結してこそ大きな力を発揮できることは、大阪のたたかいでも経験したことです。5月17日投票の住民投票でも、立場の違いを超えて市民の共同、政党の共同を発展させ、歴史と文化を誇る大阪市を守り抜く勝利を勝ち取りました。
 戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すことは、文字通り、国民的大義を持つ課題です。来るべき国政選挙で野党が選挙協力するために、日本共産党は誠実に頑張りますし、他の野党の皆さんにも働き掛けることをお約束します。

痛切な声に応え考え抜いた結論

 日本共産党が国政選挙での全面的な選挙協力という方針に踏み切ったのは、戦後初めてのことです。それには2つの理由があります。1つは、何といっても、私たちが戦争法反対の国民の空前のたたかいの中に飛び込んで、一緒にたたかいました。その中で国民から私たちに送られた「戦争法はやめてほしい」「強行されてもあきらめない」「安倍政権を倒してほしい」「野党はバラバラではなく、まとまって力を合わせてほしい」という痛切な声に、どうすれば応えることができるかを真剣に考え抜いた結論です。
 もう1つは、いまの日本の政治は非常事態にあるということです。安倍政権の暴走で、憲法の平和主義・立憲主義・民主主義が覆されようとしています。この危機に対して日本共産党が従来通りの方針の枠内にとどまっていたら、政党としての責任は果たせません。
 今回の提案を何としても実らせたいと、すでに各党や各界の皆さんと話し合いを始めています。民主党の岡田克也代表は9月25日、志位委員長との会談で、「思い切った提案をいただいたことに敬意を表します」と語り、熱心な質問とご意見をいただき、今後も引き続き両党間で話し合っていこうという一致が見られました。政党間でも私たちの提案について真剣な検討が始まっています。

各界の人々から賛同と激励の声

 各界からも賛同と激励の声が寄せられています。立憲デモクラシーの会呼び掛け人の中野晃一・上智大学教授は、「国民が渇望した提案」と評価してくれました。作家の瀬戸内寂聴さんは「野党はお互いに虚心坦懐に力を合わせてほしい」とエールを送ってくれました。私が懇談した、小林節・慶応大学名誉教授は満面の笑みで握手を求め、「わが意を得たりだ。国民連合政府をつくる提案はまったく同感だ。選挙で政権を交代させるしかない。私もできることをやっていきたい」とおっしゃってくださいました。
 安倍政権の暴走を止め、戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻す私たちの提案には、国民的大義があると日々実感しています。党派を超えてこれを実現するために真剣、誠実に努力を貫いていきたいと思います。立場の違いを超えて力を合わせ、国民の声で動く新しい政治をご一緒につくりましょう。きょうをそのスタートの日にしましょう。

(大阪民主新報、2015年10月4日付より)

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