おおさかナウ

2023年05月20日

堺の気球運行 再び延期に
上空から古墳群見るはずが

ヘリウムガスが漏れだしてしぼんだガス気球=8日、堺市堺区内

 堺市は8日、今月25日に開始するとしていた大仙公園(堺市堺区)でのガス気球の運行を延期すると発表しました。気球の中のヘリウムガスが漏れたため。ガスの再充填には数千万円かかるとされており、先が見通せなくなっています。
 永藤市長は2019年就任直後、世界遺産である大山古墳を「古墳群の見せ方が課題だ」とし、「(仮称)百舌鳥古墳群ガイダンス施設」の建設を中止して、市長肝入りで民間事業者との共同事業としてガス気球事業を進めてきました。
 しかし、コロナ禍や米国のヘリウムガスプラントのトラブルなどが相次いで延期していました。
 その間、堺市は21年に約2700万円をかけて公園内の基盤整備を完了。「2023年の2月中に運行を開始できる予定」としていましたが、世界的な供給不足でヘリウムガス調達困難のため延期していました。
 今年に入り、国内のヘリウムガス事業者からの調達にこぎつけ、5月25日からの運行開始となっていました。ところが、5月8日の朝にヘリウムガスの漏れが発覚。またもや延期となりました。
 現在、世界的に希少なヘリウムガスは、価格も高騰しています。光ファイバーや半導体などの製造、医療現場では液体ヘリウムがMRIに使用されるなど、社会的に必要不可欠なヘリウムガスを、ガス気球事業のために入手することが可能なのか、市民の理解が得られるのかなど、問題が山積しています。
 堺市はガス気球の利用料金を年間1億8千万円(一般大人3600円、こども2400円など)とし、そのうち10%(年1800万円)が堺市の収入となると見込んでいましたが、事業の実施すら危ぶまれる事態となっています。
 ガス気球を巡っては、堺市議会でも多くの問題が指摘されており、日本共産党堺市議団は、今の最優先課題は、物価高騰から暮らしを守ることであり、先の見えない事業は見直すよう求めています。

(大阪民主新報、2023年5月21日号より)

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