おおさかナウ

2023年03月18日

自衛隊基地強靭化
八尾・信太山も対象
市民・議会に知らせず進行

 岸田政権が、敵基地攻撃能力保有に伴い、全国約300カ所の自衛隊基地の強靭化計画を立て、大阪でも八尾駐屯地(八尾市)と信太山駐屯地(和泉市)が対象になっていることが明らかになる中、八尾市ですでに計画を巡って事態が進んでいることが、日本共産党の市議会質問で分かりました。

日本共産党議員の質問で明らかに

しんぶん赤旗のスクープで

 自衛隊基地の強靭化計画の存在は、2月26日付け「赤旗」日曜版のスクープで明らかになりました。昨年12月と今年2月に防衛省がゼネコンなどを集めた会合で配布した文書を、日曜版編集部が入手。計画では、「武力攻撃・テロ行為」に対し、主要司令部等の地下化、核爆発などによる電気系統破壊攻撃への対策、核兵器などによる攻撃に対する施設の構造強化などを行うとし、全国293基地を計画の対象として挙げ、大阪の八尾駐屯地と信太山駐屯地も含んでいることが分かりました。
 2日の参院予算委員会で、日本共産党の小池晃・書記局長がこの問題を取り上げ、翌3日、八尾市議会本会議で同党の田中裕子議員が質問しました。

自治体として反対・撤回を

田中裕子八尾市議

 田中議員は、防衛相が国会答弁で、安保法制に基づく集団的自衛権行使に対し、相手国からの報復攻撃で大規模な被害が出る危険性について言及したことに触れ、「八尾でも大規模な被害が起きるということか」と質問。防衛相が、今後10年間に大型火薬庫を全国約130棟整備するとも述べたことを紹介し、八尾駐屯地が含まれるのか尋ねました。また、24年度に公共インフラの整備、機能強化の運用方針を定め予算が計上されているとし、八尾駐屯地が含まれるのか、八尾空港の軍事利用がないかも問いました。
 その上で大松桂右市長に、市民の命と暮らしを守る最大の使命を果たすなら、地元自治体として、八尾駐屯地での敵基地攻撃能力に関する一切の配備と輸送経路になることに反対し、米軍・自衛隊基地などの周辺住民を監視下に置く土地利用規制法(22年9月全面施行)撤回を国に求め、一切の協力を拒否することを求めました。
 田中議員はまた、土地利用規制法に基く調査について報告すること、大阪湾に神戸と同じ非核方式を大阪市に迫ることなどを求めました。

「意見述べる立場にない」

大松八尾市長 市民守る責任を放棄

「国政の問題」と市長答えず

敵基地攻撃能力保有に伴う自衛隊基地強靭化計画の対象となっている自衛隊八尾駐屯地(写真奥)

 大松市長は、「国の安全保障は国政上の課題。基礎自治体の長として意見を述べる立場にない」と答弁。八尾駐屯地や八尾空港での敵基地攻撃能力に関する情報は確認していないとし、八尾駐屯地の敵基地攻撃能力や八尾空港の軍事利用を巡っても「外交・防衛・安全保障などについては、国の専管事項」で「答弁は差し控える」と述べました。
 土地利用規制法についても撤回を求めることはしないとし、調査などには「法令の主旨・規定に沿い、適切に対応していく」と答弁。大阪湾に非核方式を取ることを求めることについては、「他の自治体の方針に意見を述べる立場にない」と述べました。
 田中議員は、防衛省が「強靭化」計画に今後5年間で4兆円を投じ、23年度中にマスタープランを作る予算も計上していること、大型火薬庫130カ所設置についても、全国10カ所の整備予算が計上されていることを紹介。計画が、日本の敵基地攻撃能力に対して、生物・化学・核兵器による報復や反撃を受ける可能性を想定していることを指摘し、再度「八尾も渦中にあるのではないか」とただしました。
 政策企画部長も「国の専管事項」として答弁を避けたのに対し、田中議員は、「強靭化」は大規模改修、増築新築を伴うもので都市計画法、建築基準法など八尾市の権限にも関わると指摘。市民や議会が計画の中身を知ることができるのかをただしたところ、建築部長は、計画概要を市民に公開できるのは、計画通知を処理した後だと説明しました。
 すでに計画を巡る相談も(自衛隊から)受けていることを明らかにしましたが、田中議員が内容を問うと、政策企画部長が、「現時点で説明できる内容はない」と答弁。国に問い合わせないのかとの追及にも、「今の段階でお答えいただける状況でない」と述べました。
 田中議員は、工事着工まで計画内容が市民にも議会にも知らされないことや、市が防衛省に問い合わせすらしないことについて、「市民の命を守る責任を放棄している」と厳しく批判。再度、国に問い合わせることを求めました。

平和の5議席を絶対確保へ

 田中議員は「八尾空港は以前からオスプレイ配備が狙われている。八尾市では、敵基地攻撃能力保有の問題は選挙の争点。共産党の議席がないとどこもこの問題を取り上げない。八尾市議選挙(4月23日投開票)では、平和の宝の5議席絶対確保のために頑張りたい」と話しています。

 

(大阪民主新報、2023年3月19日号より)

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