おおさかナウ

2023年01月28日

コロナ・物価高から府民を守れ
日本共産党府議団が予算要望

 日本共産党の石川たえ・うち海公仁両府議は24日、物価高騰とコロナ禍から府民と中小業者の命と暮らし、経営を守るため、来年度予算編成や施策について、吉村洋文知事宛に重点要望を提出しました。

「コロナ・物価高から府民を守れ」と申し入れた日本共産党府議団の予算要望=24日、府庁内

 要望書では、9つの最重点項目の他、〇物価高騰から暮らしと中小企業を守る、〇コロナ対策に全力を挙げ、医療、福祉、介護を守る、〇子育てと教育環境の向上で子どもを守る、〇大型開発優先を見直し、環境保全と防災・安全のまちづくりを進める――など、7つの柱で、224項目にわたって要望しています。
 石川氏は「大阪の実質賃金の下がり幅は、全国平均よりも大きい。現役世代からも悲鳴が上がっている」と述べ、賃上げを実施する中小企業に対し、社会保険料の増加分の一部を補助する制度などを求めました。
 また、減収した中小企業を支えるため、家賃や水光熱費、人件費などの固定費を補助する制度の創設も要望しました。
 うち海氏は「コロナの影響を受けた倒産が今、新たに広がっている。来年度の経済状態はもっと深刻になると言われている。実体経済をしっかり支えていく施策をいま打たなければならない」と強く求めました。
 海老原諭副知事らが応対しました。海老原氏は、「府が中小企業に直接補助するのは難しい」などと応じました。

7つの柱・224項目を要望

 日本共産党の石川たえ・うち海公仁両府議は24日に、来年度予算編成・施策について、吉村洋文知事宛に要望書を提出しました。
 要望は、はじめに現府政について「住民の福祉の増進を図るという自治体本来の役割を際限なく放棄し続けてきた結果、大阪は、物価や景気の変動からくらしと営業を守れない、感染症から命を守れないまちになりつつある」と述べています。
 また「現府政はこれに一片の反省もなく、カジノ誘致や万博関連のインフラ建設を『成長戦略』などと位置付け、『国際金融都市』という〝実体のない〟経済政策に傾斜し、府の財政や職員体制をさらに費やそうとしている。これは大阪のくらしと営業をさらなる危機に陥れるものにほかならない」と批判しています。
 子育て・教育環境の向上や大型開発優先の見直しなど7つの柱で、224項目を要望しています。

〈9つの最重点項目〉

 要望の最重点項目は次の通りです。
①賃上げを実施する中小企業に対して、社会保険料の増加分の一部を補助する制度を創設する。
②物価高騰とコロナ禍で減収となっている中小業者への、家賃、水光熱費、人件費など固定費の補助制度を創設する。
③新型コロナウイルス無症状感染者を早期発見・保護し感染拡大を抑えるために、検査キットを大量確保し、全世帯に配布する。
④未就学児の国民健康保険料「均等割」分減額に府独自に上乗せして、対象を18歳まで拡大する。
⑤乳幼児医療費助成制度を「子ども医療費助成制度」と改め18歳まで拡大し、窓口負担を無料にする。
⑥市町村と協力し、全公立学校で給食費を無償化する。全公立中学校での給食全員喫食化を、財政措置を行い早急に実施する。
⑦府立学校条例第2条2項を廃止し、機械的な府立高校廃止をやめる。
⑧カジノを中核とする統合型リゾート施設(IR)の大阪への誘致は中止する。国への区域整備計画の申請は取り下げる。
⑨全ての府営住宅で空き家率が5%程度以下となるよう、募集を増やして高い応募倍率を引き下げ、入居者を増やす。入居補修費用を、指定管理者への委託料とは区別して大幅増額する。

子ども医療費助成で府の負担はわずか 

 国民健康保険の「均等割」は、世帯人数に応じて保険料が増える、他の医療保険にみられない負担です。子どもが多いほど負担が増えることから、少子化対策に逆行するとされ、減額・廃止を求める声が多くあります。
 子どもの医療費を無料とする自治体は他県に多くありますが、府内では1回ごとに上限500円を負担します。1カ月間に負担する上限額は設定されていますが、生活困窮世帯などで医療から遠ざけられる家庭があります。
 また助成額のうち、府の負担は少なく、就学前までの助成額の半分まで。大部分を府内の市町村が負担しています。府が制度を拡充すれば、市町村の子育て支援策を大きく後押しすることができます。

コロナ死者は全国最多  

 コロナ禍で疲弊しきった大阪のくらしと営業に異常な物価高騰が襲いかかり、生活苦と倒産・廃業の危機が広がっています。コロナによる犠牲者は府内8千人に迫り全国最多で、今もなお増え続けています。府議団の要望は、「自治体本来の役割に立ち返り、命とくらし、営業の防衛に総力を挙げる新しい府政が求められている」と指摘しています。

保健所職員の削減やめよ 

 要望書は、知事の政治姿勢については、カジノ誘致の中止や万博会場の見直し、「万博などの『特定の重要課題』のために、保健所など他部門の行政職員を削減することはやめる」などを挙げています。
 物価高騰・コロナ対策では、収入減少や雇い止めなどの影響を受けている非正規雇用労働者へ一定期間継続した「くらし支援緊急給付金」制度の創設や、高齢者施設の従事者への定期PCR検査における受検率を引き上げるとともに、対象を医療機関や学校、保育所、幼稚園、学童保育、これらの従事者家族などへ拡大することなどを要望しました。
 65歳以上の感染者はリスクの有無に関わらず入院の対象とすることや、入所系福祉施設で感染者を施設内に留め置かない対策を講じることも求めています。高齢者や障がい者、難病患者が感染した場合に、看護師以外の介護者を配置できるよう制度創設と財政支援を行うことも挙げています。

正規教員の採用を    

 子育て・教育環境については、小中学校の義務教育標準に見合う正規教諭を採用することや、年間6億円以上を投じる府独自テストの中止を求めています。
 教員不足は深刻で、講師を含めても定数を満たせないまま新年度を迎える事態が起きています。
 「中学生チャレンジテスト」は、テスト結果が別の生徒の高校受験の内申に反映するもの。学校ごとに内申の平均を競わせます。小学5・6年生向けの「すくすくウォッチ」は子どもの内面をアンケートで繰り返し問い、数値化します。
 また府として少人数学級を、全公立小中学校で直ちに実施すること、私立高校や大阪公立大学における授業料の保護者負担を補助する制度では、コロナにより減収した世帯の生徒が対象となるよう特例を設けることも挙げました。

気候危機やジェンダー平等

 気候危機打開や防災の強化も要望。府が管理する 道路の補修や路面表示の塗り替えを迅速化すること、街路樹の伐採は近隣住民の理解や環境・安全への配慮なしには行わないことも求めました。
 地産地消による学校給食を市町村と協力して推進すること、府内産材の公共事業への活用、大阪湾の漁場再生や稚魚放流を積極的に進めるなど、農林水産業の振興を図ることも挙げました。
 ジェンダー平等、多様性を大切にし、個人の尊厳が守られる大阪を目指すことも求めました。

(大阪民主新報、2023年1月29日号より)

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