おおさかナウ

2023年01月14日

日本一小さな町に巨大な産廃炉はいらない

 忠岡町の杉原健士町長(大阪維新の会)が、町内に巨大な産業廃棄物焼却施設を誘致しようとしている問題について、明るい住民本位の忠岡町政をつくる会代表の是枝一成さんの寄稿を紹介します。

泉州地域の環境、住民の健康守れ
忠岡維新町政の巨大『産廃焼却施設誘致計画』と住民運動

明るい住民本位の忠岡町政をつくる会代表 是枝一成さん

町長が突然方針を変更

是枝一成さん

 大阪維新の会の杉原町長のもとで、忠岡町に巨大な「産業廃棄物焼却施設」を誘致するという計画が重大局面を迎えています。忠岡町や近隣市の住民から、地域の環境汚染や健康被害を懸念する声が上がる中、1月20日の臨時町議会で、計画を進める「基本協定」が議決されようとしています。
 忠岡町は、これまで忠岡町クリーンセンター(公設民営)で行ってきたごみ焼却を、今後は「泉北環境施設整備組合」(高石市・和泉市・泉大津市による一部事務組合)に参加して「広域処理」で行う方向を検討してきました。
 ところが町長が今年度に入り突然、方針変更を提案。現焼却炉を2024年3月で廃止し、民間事業者に200トンの産業廃棄物焼却施設を建設させ、1日20トンの町民の一般ごみを混焼するという内容です。説明不十分で住民合意もないまま強行しようとしており、町長自身も「広域化を選挙公約した」と認める明らかな公約違反です。

業者丸投げで責任放棄

「産廃施設を誘致しないで」と宣伝する人たち=2022年12月、忠岡町内

 日本共産党町議団は、①住民合意を得ていない②タイトなスケジュールでの強行③広域化への努力をしていない④業者主導で忠岡町の主体性がない⑤環境への影響調査をしていない等の問題点を指摘し、議会でも反対を主張してきました。論戦の中で「産廃焼却施設の誘致計画の事業主体はどこか」の質問に、忠岡町は「産廃処理事業者である」と回答しています。これは、市民生活に直接関わるごみ処理事業を産廃業者に丸投げし、行政の責任を放棄する姿勢です。
 忠岡町で焼却するという産業廃棄物は、建設廃材・海洋浮遊ごみ・災害ごみなどですが、殺虫剤や防蟻剤など様々な化学物質を活用する建材からは、未知の有害物質が生成される可能性は否定できません。
 共産党町議団も参加する「明るい住民本位の忠岡町政をつくる会」(明るい会・忠岡)、「大阪から公害をなくす会」を中心に反対運動に取り組んできました。

反対の声が説明会でも

 明るい会・忠岡では、8月以降3回の全戸配布ビラ発行、5回の住民学習会開催、南海忠岡駅頭やスーパー前などでの宣伝行動、反対ポスター張りだしなどをすすめ、「町長と議会だけで決めるな」、「住民の『熟議』が必要」と訴えてきました。
 9月と11月に行われた町主催の「住民説明会」でも、住民側から出されたのは、「産廃ごみを燃やして大気汚染が心配」「沢山の搬入車両の排ガスも不安」「子や孫の代まで40年先までのことをこんなに急に決めて良いのか」「公約違反だ、住民投票が必要」など、ほとんどが疑問・反対意見でした。
 「説明会の内容を〝広報〟で知らせるべきだ」との意見にも、町は「出来ない」と拒否。住民生活に関わる重大な方針変更を、住民に十分に知らせないまま、1月に議会だけで決めてしまおうとしているのです。

たたかいを大きく広げ


「産廃焼却施設誘致計画」を断念させようと開かれた対策会議=2022年12月23日、忠岡町内

 「大阪から公害をなくす会」は泉州地域の環境汚染が懸念される重大な問題だとして、明るい会・忠岡との共催で昨年12月23日、「泉州地域へ環境汚染を持ち込む忠岡町の巨大『産廃焼却施設誘致計画』を断念させる対策会議」を忠岡町内で開催しました。会議には泉州地域を中心に5市1町の住民や大阪労連・阪南地区協や年金者組合が結集しました。
 今後は「忠岡町の巨大産廃焼却施設誘致を考える会(準備会)」を結成し、たたかいを大きく広げていきます。
 日本一小さな町・忠岡町に〝巨大な200トン産廃炉〟はいりません。泉州地域の環境、住民の健康を守るたたかいで、この計画を断念させていく決意です。(これえだ・かずなり)

(大阪民主新報、2023年1月15日号より)

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