おおさかナウ

2022年09月10日

統一協会と政治の関係 徹底解明を
協会と対峙してきた日本共産党
元「しんぶん赤旗」記者 柿田睦夫氏が講演

 「統一協会問題と日本共産党」をテーマにオンライン学習会がこのほど開かれ、フリージャーナリストで『しんぶん赤旗』元社会部記者の柿田睦夫氏が講演しました。柿田氏は長年の取材を通して裏付けされた具体的事実を紹介し、自身のコメントを付ける形で講演。日本共産党の辰巳孝太郎・元参議院議員がコーディネーターを務め、視聴者からの感想、質問を交えて意見交換しました。

マインドコントロールで「霊感商法」

統一協会・勝共連合の問題を報じてきた大阪民主新報

 講演の冒頭に柿田氏は、奈良市内で起きた安倍晋三元首相の銃撃事件を巡り、逮捕された容疑者の母親が統一協会に1億円を献金するなどして家庭崩壊に至った問題に触れ、「財産を奪い取られただけでなく、母親の人格まで壊されたことへの怒りは相当強かっただろうと思う。もし彼が霊感商法対策弁護士連絡会や被害者家族の会などと出会っていれば、また違った結果だったかもしれず、それが残念だ」と語り、統一協会が長年続けてきた霊感商法の被害の実態について詳述しました。
 まず統一協会の教義について、「『旧約聖書』と『新約聖書』の言葉を断片的に使っているけれど、本質は『祝福』と『万物復帰』の2つ」と述べ、「祝福」は俗に言われる集団結婚で、『万物復帰』は霊感商法を合理化する教えだと指摘しました。

キリスト教の原罪を曲解し

 「祝福」は、韓国の土着宗教『混淫派』の教義である血分け(性交)がルーツにあり、『旧約聖書』の原罪思想を巧妙に利用。アダムの恋人エバの不倫で原罪を負い、汚れたサタンの血統になった人類を救うために、教組・文鮮明によって清められた女性が子どもを産むことで、人類の血統が転換されて救済されるというものです。
 「万物復帰」も『聖書』が利用され、この世の人と財すべてをサタンの世界(一般社会)にあるから本来の所有者である神、文鮮明に「復帰」させるのは善なる行為で救いとなると説いたのです。

1・2億円にも上る被害が

文鮮明の「御言葉」をまとめた『天聖経』

 例えば霊界で苦しむ先祖を救うためだと献金させ、悪霊を吸い込むという壺や、幸福になれるという印鑑などを高額で買わせ、土地に悪霊が付いていると言って不動産まで手放させる。福祉や難民救済と言って寄付やカンパを集める。「これらを総称して霊感商法と呼ぶ」と柿田氏は説明し、大事な問題は、世界各国に統一協会は多数あっても、霊感商法の形で大金を集めている国は日本だけだと語り、洗脳とマインドコントロールの手法で被害は拡大したと語りました。
 全国霊感商法対策弁護士連絡会がまとめた被害額は判明しているだけで1181億円、消費者センター集計分と合わせて1237億円に上るとし、柿田氏は「被害者が損害賠償を求めた民事訴訟では多くの原告が勝訴し、統一協会の使用者責任を認めた判決も多い」と述べました。

立件された事件は1つだけ

 統一協会の霊感商法で2009年、教団のダミー組織である印鑑販売会社「新世」の印鑑販売業務が特定商取引法に違反するとして、会社幹部の有罪判決が出た裁判について触れた柿田氏は、「不思議なことに、霊感商法を刑事事件として立件したのは、この1件だけだった」とし、統一協会のもう1つの顔である勝共連合について解説しました。

反共性と謀略性で反動政治を下支え

 統一協会の教理解説書『原理講論』には、「第3次世界大戦に勝利して、共産主義を壊滅させ理想世界を実現しなければならない」とあり、柿田氏は、「単なる反共ではなく、共産主義の思想そのものを壊滅させるというのが勝共思想」だと語り、当時の韓国軍事政権に取り入る形で、反共性と謀略性を強めていったと述べました。

日本の反動勢力と結び付き

 「この活動に目を留めたのが日本の反動勢力だった」と柿田氏。1967年7月に文鮮明を迎え、富士山麓の山梨県・本栖湖畔で会談が開かれ、日本からは、アジア・太平洋戦争のA級戦犯でもあった日本船舶振興会(現・日本財団)会長の笹川良一氏らが参加。翌68年4月、国際勝共連合日本本部が創設され、この発起人には、安倍晋三元首相の祖父である岸信介元首相らが名前を連ねています。
 勝共連合は、国政選挙や地方自治体選挙などで大型宣伝カーを出し、反共演説や反共謀略ビラを大量発行。特に1978年の京都府知事選では、「共産党の人殺し」などと書いた事実無根の謀略ビラを9種類280万枚配布し、「宮本(顕治党委員長=当時)を証人喚問しろ」と、京都・四条河原町周辺にゼッケン・白ハチマキ姿の部隊を集結させるなど、異常な反共攻撃を繰り広げました。
 当時の週刊誌では、「ボクが彼らの行動力に関心したのは京都府知事選のときだ。実によく働いてくれた。できたら自民党に入党させたい。そして党青年部に筋金を入れてもらいたい」(週刊文春70年10月5日、自民党の辻寛一全国組織委員長)と書いています。
 統一協会(勝共連合)は、自主憲法制定運動やスパイ防止法制定運動など反動政治を下支えし、さらに各候補者の選挙支援や秘書を送り込む形で、政権中枢との結び付きを強めていきました。

安倍元首相に引き継がれて

 柿田氏が取材した統一協会信者は、選挙応援では、日頃身に着けている文鮮明の写真を外して、「勝共連合から来ました」と言って統一協会を隠したこと、荒川河川敷の清掃ボランティア団体をつくって、そこから来たと言ったことなどを証言しました。統一協会で養成訓練を受けた政治家秘書の人件費も協会が負担し、「非常に使える」と全国規模で浸透。1986年総選挙では、埼玉二区や大阪三区で統一協会会員が出馬、地方議会や首長選挙にも進出し、当選者も出しています。
 岸信介元首相の統一協会との人脈は、義理の息子の安倍晋太郎元外相、孫の安倍晋三元首相へと引き継がれ、2015年の「世界家庭平和統一連合」への名称変更問題など、統一協会に政治的行政的援助が行われてきたと語った柿田氏。

報道なかったメディアにも

 日本共産党国会議員団による質問・追及の活動に触れながら、「統一協会とつながってきた政治の責任は重い。同時に、目の前に被害がありながら報道してこなかったメディアにも責任がある。国民も〝無関心〟であることは許されない。決して他人事とせず、日本の政治を変えていくために徹底的に究明し、解決しなければならない」と語りました。

質疑応答 活発に議論

 質疑応答では、統一協会による政界工作や高額献金問題について質問が出され、1990年代に日本共産党国会議員団の正森成二衆院議員や橋本敦参院議員らが、海外調査するなどして政治工作の実態を追及したことを紹介しました。
 統一協会を巡るメディア報道では、霊感商法を批判的に取り上げた報道機関に、4千件の抗議電話が殺到するなどの嫌がらせがあったと紹介。「しんぶん赤旗」が一貫して追及キャンペーンを続けてきたと語りました。
 社会福祉協議会への寄付やボランティア団体名で地方自治体に食い込む統一協会の実態を巡り、柿田氏は、「行政自身も問題意識を持ち対応することが重要で、地方議員がストレートに指摘していく必要がある」と強調しました。
 刑事事件として立件された霊感商法が過去1件しかないという問題については、柿田氏は「あまりに不自然」と強調。憲法上の「信教の自由」とは問題の次元が違うとし、政治権力の癒着や捜査機関の課題など国会で取り上げるべきだと強調しました。

(大阪民主新報、2022年9月11日号より)

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