おおさかナウ

2022年09月10日

大阪メトロ運賃10円値上げ
利用者の立場から容認できぬ
連絡会議で日本共産党・井上浩議員

質問する井上議員=2日、大阪市議会特別委員会室

 大阪市議会と大阪メトロ・シティバスの第7回連絡会議が2日、大阪市役所内で開かれ、日本共産党の井上浩議員が、国の「鉄道駅バリアフリー料金制度」に基づいて大阪メトロが来年4月1日から全路線で一律10円値上げする問題について質問しました。
 同制度は昨年12月に国が創設。都市部の鉄道駅で可動式ホーム柵やエレベーターなどを整備するための費用を、国への届け出だけで運賃に上乗せできるというものです。
 大阪メトロは8月10日に国に申請。1回の乗車につき10円値上げし、通勤定期は1カ月で380円、3カ月で1080~1090円、6カ月で2050~2060円の値上げに(通学定期は対象外)。年間約57億円の増収を見込みます。
 大阪メトロは2021年度までに133ある駅のうち、御堂筋線の全駅をはじめ76駅(57%)に可動式ホーム柵を設置し、25年度までに全駅で設置を完了する計画です。
 大阪メトロの株式は大阪市が100%保有しています。井上氏は、今回の値上げは「株主の市民にとって寝耳に水だ」と強調。パブリックコメントなども行われておらず、「市民や利用者の声が反映されていない」と述べました。
 市営地下鉄の民営化議論の中で、大阪メトロの資金計画には可動式ホーム柵を設置する費用が盛り込まれていなかったと指摘。市交通局は当時、民営化後も国の補助金制度を十分に活用し、銀行借り入れなど資金を調達すると説明していたとし、「そうした企業努力の議論はなかったのか」とただしました。
 大阪メトロ側は、バリアフリー料金制度は受益者負担の考え方に立って利用者に負担を求めるもので、都市部では国の補助制度が採択されるのは難しいと答弁しました。
 井上氏は「視覚障害者がホームから転落し、尊い命を失うケースがある。バリアフリーは福祉であり、国が責任を持つべき。大阪メトロは純資産5300億円の超優良企業であり、運賃値上げは利用者の立場から容認できない」と述べました。
 また大阪メトロは、この日の質疑で、70歳以上の大阪市民に交付される敬老パスの取り扱いに言及。値上げ分を市が負担しない場合、現行1乗車当たり50円が60円になるとの考えを示しました。

(大阪民主新報、2022年9月11日号より)

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