おおさかナウ

2022年05月28日

国連憲章と憲法生かした平和外交を
大阪革新懇・大阪平和委員会が緊急シンポ
戦争か平和か――進路問う参院選

進行を務めた桜田照雄さん

 ロシアが2月24日にウクライナへの侵略を始めてから3カ月となるのを前に、進歩と革新をめざす大阪の会(大阪革新懇)と大阪平和委員会が22日、緊急シンポジウム「今こそ、国連憲章と憲法を生かした平和外交を」を大阪市天王寺区内の会場とオンライン併用で開きました。大阪革新懇代表世話人で阪南大学教授の桜田照雄さんの進行で、大阪大学大学院教授の木戸衛一さん、元外務省職員で大阪女学院大学教授の樋川和子さん、日本平和委員会常務理事の川田忠明さんが発言しました。

 シンポジウムには会場に80人が参加し、ユーチューブの配信は34人の接続がありました。
 開会あいさつした大阪革新懇代表世話人の杉本和さん(新婦人府本部会長)は、ロシアによるウクライナ侵略にあらためて抗議。「7月の参院選は、戦争か平和かが問われる選挙。憲法を生かした社会をつくり、平和な未来を次の世代につなげるため、大いに学び、交流を」と呼び掛けました。
 大阪平和委員会副理事長の岩本悟さんが閉会あいさつ。憲法記念日に100人の若者を対象に取り組んだアンケートで、「憲法を変えるべきか?」との問いに、61%が「分からない」と答えた一方、憲法9条(1項)を「変えるべきではない」が60%、日本が核兵器を「持つべきではない」が86%だったと報告し、「戦争か平和か、関心が強まっている中、若者を含めて広範な人々に発信していきたい」と語りました。

自民や維新の「核共有」議論は核不拡散条約を無視するもの

大阪大学大学院教授 木戸衛一さん

 木戸氏は、ロシアがウクライナでやっていることは「否定しようのない侵略戦争」と告発し、国際刑事裁判所がウクライナで、ロシア軍による虐殺の証拠を集めていると指摘しました。ウクライナの多くの人々は家や土地、家族を失うなど人道上の危機にあると述べました。「国際ルールは無力だ」などの論調に対し、「ルールがあるからこそ戦争犯罪の告発につながり、世界各地で市民が戦争反対の声を上げている。ここに確信を持とう」と話しました。
 ドイツやイタリアにNATO(北大西洋条約機構)の核が置かれているのは、核不拡散条約(NPT 1968年署名、70年発効)以前に既成事実化していたためで、今になって自民党や維新が「核共有」の議論を持ち出すのは、国際条約であるNPTを無視するものだと批判しました。
 木戸氏は、ストックホルム国際平和研究所の調べで、世界の軍事費が7年連続で増え、2兆ドル(約256兆円)に達していると指摘。「さらに軍拡を進めれば、戦争がなくても人が殺される。人類が課題を抱えている中で、戦争なんかやっている場合か。日本から平和の価値を発信する必要がある」と力説しました。

安全保障は平和の達成に必要 いまこそ軍縮に向かうべき時

大阪女学院大学教授・元外務省職員 樋川和子さん

 樋川氏は、国連の目的は「国際の平和及び安全を維持すること」にあり、安全保障はあくまで平和を達成するために必要で、安全保障の確保に必要なのが軍縮・不拡散だと指摘。国連は「人間の安全保障」の概念を掲げて取り組んできたが、気候危機に直面する中で「地球の安全保障」を考え、持続可能な世界のために何をすべきかが問われるとしました。
 樋川氏は、広島県の「へいわ創造機構ひろしまHOPe(ホープ)」がことし4月に設立した国際市民社会グループ「持続可能な平和と安全をすべての人に」を紹介。持続可能な開発目標(SDGs)の達成期限(2030年)以降に、核兵器廃絶が目標として位置付けられるよう国際社会への働き掛けを始め、自らも活動に関わっていると語りました。
 昨年9月にグテレス国連事務総長の報告で、核兵器の問題を含む「新しい平和の課題」を策定することを提案し、来年9月には国連が「未来に関するサミット」を計画するなど大きく動いていると強調。「ウクライナ情勢を受けて、一部で軍事増強に向かう短絡的な動きもあるが、今だからこそ軍縮に向かわないといけない」と話しました。

武力衝突を起こさないことが日本の安全保障の最優先課題

日本平和委員会常任理事 川田忠明さん

 川田氏は、「朝日」(5月3日付)の世論調査で、9条を「変えない」が59%、「変える」が33%で、安全保障を考える上で重要なのは「軍事面」が19%なのに対し「非軍事」が73%に上ると紹介。国民の中では非軍事に徹した外交努力こそ求める声が強いとし、「世界の平和の世論を味方につけることが、安全保障の最大の土台」と話しました。
 「日本の安全保障の最優先の課題は、武力衝突を起こさないこと」と強調。日本の輸出入の相手国は中国はじめアジア、オセアニアの諸国が過半数で、そのほとんどを海上輸送に頼っている。「日本の周辺で武力衝突が起きれば、この物流が絶たれる。日本は攻めても、攻められてもいけないし、紛争が起きてもいけない」としました。
 欧州には北大西洋条約機構(NATO)という軍事ブロックがあるのに対し、アジアには東南アジア友好協力条約(TAC)という紛争を平和的に解決する枠組みがあると指摘。1988年以来、欧州には正規軍の大きな衝突が約10件起きているが、南シナ海ではゼロだとし、「ここに9条を持つ日本が積極的に働き掛けるべきだ」と述べました。

大阪革新懇と大阪平和委員会が開いた緊急シンポジウム=22日、大阪市天王寺区内

(大阪民主新報、2022年5月29日より)

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