おおさかナウ

2022年03月19日

ロシアはウクライナ侵略やめろ
日本ウクライナ文化交流協会会長の小野元裕さん
「九条科学者の会」呼びかけ人で宇宙物理学者の池内了さん

 ロシア軍のウクライナ侵略問題について、日本ウクライナ文化交流協会会長の小野元裕さんと「九条科学者の会」呼びかけ人で宇宙物理学者の池内了さんに話を聞きました。

胸張り裂ける街の破壊 即時撤退を強く求める
日本ウクライナ文化交流協会会長 小野元裕さん

 天理大学のロシア学科に進み、大学4年の時に日本語教師としてハバロフスクの大学に行きました。卒業後、大阪の出版社で勤めながら、日本とロシアの交流と研究をする中でロシアの発祥の地がウクライナだと知り、2005年1月から1年間、ウクライナで過ごしました。
 そこで「日本ウクライナ文化交流協会」をつくり、お茶会や上方落語寄席、日本の芸術家を招いてさまざまなイベントに取り組みながら、ウクライナの全ての州を回り、取材しました。インターネットで記事を読んでたくさんの日本人がウクライナを訪ねてきました。
 帰国後も、お互いの文化に触れてもらおうと、毎年ツアーを組んでウクライナに行ってきましたが、コロナの中で2020年以降はできなくなりましたが、ウクライナの人たちもこのツアーを楽しみにしていました。
 ウクライナ人は日本のことが大好きで、お茶やお花、武士道など日本の文化をよく知っていますが、日本ではウクライナというと、チェルノブイリ以外あまり知られてきませんでした。ロシア料理で有名なボルシチもウクライナ料理なのです。
 ウクライナは人と人の距離が近く、古いスラブの物やヨーロッパの古い風習などが残っています。ロシア軍による侵攻で、キエフをはじめ私もよく親しんできたウクライナの町が破壊されているのを見ると、胸が張り裂けそうです。大阪の心斎橋、京都の四条の町などが壊されているのと同じです。
 現地の人とも毎日連絡を取り合っていますが、彼らは家族離れ離れになり、国外に出られない18歳から60歳までの男性は、最後の1人までたたかう、絶対に屈しないと言っています。
 ウクライナはどこも攻めたことがない国です。豊かで攻める必要などなかったからです。ところがいろんな国に攻められてきた。それでもウクライナの人々は、ロシアが出て行ってくれたら、自分たちは追いかけていかないと言っています。
 3月5日、JR大阪駅前で行われた、ウクライナの平和を願う集会に私も日本ウクライナ文化交流協会会長として参加し、プーチンに対する抗議スピーチをしました。
 侵略行為は決して許されるものではありません。即時撤退を強く求めます。

ウクライナ問題に重ね 頼ってならない軍事力
「九条科学者の会」呼びかけ人・宇宙物理学者 池内了さん

 ロシアのウクライナ侵攻が熾烈になる中で、最も心配するのは、軍事力に頼る世界政治がいっそう露骨になるのではないかということです。核の威力によって戦争を抑制するという核抑止論は、プーチンの核を使うぞとの威嚇の言明によって核脅迫論に転化しました。
 一番心配されるのは、日本がウクライナのように侵攻されることを恐れて、軍備強化をとの世論が強くなることです。安倍元首相が語ったように、非核三原則を止めて米軍と核を共有しようとの強硬論や、改憲して自衛隊を先頭にして戦争をできる国にしないと国が守れない、との声は高まると思われます。
 このような危険な動向に対し、自衛のためであれ武器を取って戦うことに断固反対します。それでは侵略軍に無残に殺されるだろう、やられたらやり返せと思いたくなりますが、武装による抵抗は敵の総攻撃を誘発し、結果的に味方の犠牲を増やすだけです。
 ウクライナには、西欧からの武器援助が行われています。また、すぐ取りやめになったそうですが、外国人部隊を「義勇兵」として募るというニュースも流れました。
 日本からは「防衛装備移転三原則」の運用指針を変更して、ウクライナへ防弾チョッキやヘルメットの提供を決めました。いずれも敵を殺傷しない装備品だから構わないとしたのですが、今後祖国防衛のためだからとして、これを拡大していく危険性があります。
 そんなことより、避難民を受け入れ、食糧や薬品や日常備品などを送る方がどれだけ役立つことでしょう。ウクライナ支援の募金も、何に使うのか確かめてみる必要があります。武器購入に使われるのなら寄金すべきではありません。
 そして日本が、侵略を招かない日常の政治姿勢を貫き、平和のための外交交渉の先頭に立つ国であるかどうかを冷静に点検し、批判し続ける必要があります。ウクライナの状況を直ちに日本に重ね合わせて、軍事の強化に走ってはなりません。
 7月の参議院選挙において、世論が軍事強化の方向に流れていけば恐ろしい現実になりかねません。そのような事態を招かないために、ウクライナ問題をしっかり学習した上で、理不尽な侵略戦争を引き起こしたプーチン大統領の弾劾を叫び続けましょう。

(大阪民主新報、2022年3月20日号より)

月別アーカイブ