おおさかナウ

2022年02月19日

痴漢ゼロの大阪を目指して
被害アンケート始まる
日本共産党府委がキックオフ集会

 「痴漢ゼロの大阪へ」「誰もが安心して出歩ける大阪へ」と日本共産党大阪府委員会ジェンダー平等委員会は、2月1日から痴漢被害アンケートをスタート。半月足らずで約600人から回答が寄せられるなど大きな反響を呼んでいます。13日にはアンケートを大きく広げようとオンラインでキックオフ集会が開かれました。

 痴漢被害調査アンケートは4月末までの3カ月間実施。「あなたの声を聞かせてください」と、2月1日からツイッターでアンケートへの協力を呼び掛けるとともに、ミニリーフレット(右下)も作成し、各地で配布しています。

痴漢は性犯罪で人権侵害

 キックオフ集会では、ジェンダー平等委員会責任者の渡部結さんが、アンケートの趣旨やこれまでに寄せられている声や回答の特徴などを報告しました。
 渡部さんは、痴漢被害について「最も身近な性犯罪であるにもかかわらず、個人的な問題と扱われ、被害者が気を付けるべきだとされてきたのではないか。自分もそのことに気付けずにきた」と語り、「痴漢被害の実態を可視化して、社会全体で実態の深刻さ、痴漢が性犯罪であり人権侵害であること、政治が向き合うべき課題であることを共通の認識にし、社会的世論をつくっていきたい」と述べました。
 また、2020年から痴漢被害調査を取り組んできた東京で、調査に基づく共産党の活動が、都営地下鉄などでの痴漢防止のアナウンスをはじめ行政を動かしてきたこと、国会でも共産党が痴漢被害の問題を取り上げて、岸田文雄首相に実態調査を約束させたことなどを紹介。「大阪でも具体的な対策を一歩ずつ前に進めていく力にしたい」と語りました。

上げられぬ声をくみ取る

 これまでに寄せられた回答の特徴(別項)を紹介した渡部さんは、「痴漢被害の具体的な状況についても生々しい実態や、やり場のない怒りが込められた切実な思いがびっしりと書き込まれている」と報告。「痴漢が日本社会で日常的に繰り返され、声を発することができずに泣き寝入りをさせられている人たちがいることを痛感した」とし、「アンケートを1人でも多くの人に広げることが、これまで見えなくさせられ、上げられなかった声をくみ取る重要な活動になる」と述べました。

議会・国会でも取り上げ

 集会には議員も参加。長岡ゆりこ大阪市議は、自身の被害体験も紹介し、「痴漢は性犯罪であることを明確にし、被害者の多さ、被害の深刻さを社会の常識にすることが必要。アンケートに寄せられた実態を市議会でも取り上げたい」と述べました。
 石川たえ府議は、啓発や教育の重要性を語るとともに、日本が「買春大国」であることや性情報が垂れ流されている問題を指摘。警察に被害届を出すことで2次被害が起きないよう、行政が責任を持つ必要性も強調しました。
 性暴力の加害者への無罪判決が相次いだことを国会で取り上げてきた、たつみコータロー元参院議員(大阪選挙区候補)は、「警察や検察官、裁判官などのジェンダーバイアス(偏見)を払拭し、認識を深めていくことも大切」だと指摘。医療や専門家と連携している被害者救援のワンストップセンターを視察し、補助拡充を求めてきたことを報告。石川府議は、センターを利用した被害者の治療費助成を求めてきたことを紹介しました。

学校関係者や男性からも

 学校関係者は、「被害を可視化する上でアンケートはありがたい」とし、自分の体は自分のものだという認識などを早くから育むために性教育を行うこと、困った時にSOSを出していいことを伝えていくことが大事だと強調。「GIGAスクール構想」の下、学校で子どもに端末機を持たせる一方、インターネットでポルノ動画などの発信を放置していることの問題を指摘しました。
 性被害の相談を受けてきた男性の党地区委員長は、「男性も実態を知り、被害をなくしていく立場に立つ必要がある」と述べ、娘が電車内で痴漢被害に遭ったという女性からは、警察の対応への疑問が出されました。東大阪市からは、高校生などを対象にした痴漢被害調査アンケート宣伝の取り組みなどが報告されました。

女子高生から「頑張って」
東大阪でアンケート宣伝


日本共産党東大阪地区ジェンダー平等委員会が行った痴漢被害アンケート宣伝。右は内海府議=12日、東大阪市内

 日本共産党東大阪地区ジェンダー平等委員会は、「東大阪から痴漢をなくそう」と12日、近鉄河内小阪駅前で、痴漢被害調査アンケートの宣伝を行い、12人が参加しました。「#痴漢ゼロの大阪へ あなたの声を聞かせてください」と呼び掛けたオリジナルののぼりや横断幕を掲げ、党府委員会作成のミニリーフを配布。党東京都委員会が行った痴漢被害調査アンケートの結果などもパネルにして知らせました。
 下校途中に通りがかった女子高生が、「頑張ってください」と声を掛ける姿もありました。内海公仁府議、上原賢作、嶋倉久美子東大阪市議も参加しました。

幼いころから断続的に被害に遭った
恥ずかしくて怖くて 周りは無関心
「大したことない」「気にするな」とも

これまでに寄せられたアンケートの回答から

 日本共産党大阪府委員会の痴漢被害調査アンケートでは、回答者の9割が女性。30代が3割で最も多く、40代、20代など続きました(以下、すべて複数回答)。
 被害内容では、約67%が「お尻を触られた」、約57%が「体を密着させられた」、約50%が「相手から見せられた」と続いています。
 被害に遭った年齢は、5歳、7歳という人もあり、小学校低学年だという人も少なくありませんでした。また小さい頃からずっと被害に遭っている人や、10代から30代までなど断続的に被害に遭っているケースも多くみられました。
 被害に遭った場所は約8割が「電車の中」、約7割が「路上」で、約35%が「駅構内」などでした。
 被害に遭った時の行動を尋ねたところ、約58%が「何もできなかった」、約52%が「怖くて反応できなかった」、約39%が「怖くて逃げた」、約32%が「周りは無関心だった」で、約19%が「声を上げた」、約10%が「警察に通報した」、約4%が「駅員に通報した」で、孤独な状況で恐怖にさらされた人が多く、声を上げられない実態が浮き彫りになりました。
 被害を誰かに話せたかとの問いでは、約22%が「話したかったができなかった」、約23%が「話そうと思わなかった」となり、その理由で一番多いのは、約50%が「恥ずかしかった」、約39%が「誰に話していいかわからなかった」、約39%が「分からない(感情を整理できない、など)」でした。
 家族や友人・知人に話せた人の中には、警察に一緒に被害届を出しに行ったり、男友達が一緒に帰ってくれるようになった人もいましたが、「話したからと言って何も変わっていない」「どうにもならない」などの声や、「大したことではないから気にするな」などと言われたり、「無反応で取り合ってくれない」などの体験も寄せられ、あきらめさせられたり、二重に傷付けられている実態も明らかに。「何十年経っても思い出すと怖くなる」「フラッシュバックで急に涙が出てくる」「電車に乗れない」「一人で歩けない」「自分が汚れた存在のように思える」などの声も寄せられ、痴漢被害がその後の生活に影響を及ぼしていることも分かりました。
 どんな支援があればいいかとの問いには、「相談しやすい仕組みや体制をつくってほしい」「警備の強化」「駅の構内で相談しやすい窓口」「駅員の増員」などの要望や、「被害者だけでなく加害者への呼び掛け」「痴漢は犯罪だとはっきりと社会の認識にしてほしい」などの声も少なくありませんでした。
 アンケートは、府委員会ホームページ、ツイッター、左のQRコードまたはhttps://onl.la/zXrGnTuから進んでください。

共産党府委が作成したミニリーフレット(表裏)

 

(大阪民主新報、2022年2月20日号より)

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