おおさかナウ

2022年02月05日

カジノの大阪誘致やめろ
IR区域整備計画案公聴会
反対の声相次ぐ

 カジノを核とする統合型リゾート(IR)を大阪湾の埋め立て地、夢洲(ゆめしま)に誘致するための区域整備計画案に対して府民が直接意見を表明する4回目の公聴会が1月29日、大阪市中央区内で開かれました。わずか4回の公聴会は終了しましたが、ギャンブルであるカジノそのものに反対し、計画案の撤回を求める声が相次ぎました。

40人中35人が反対の意見を

IR区域整備計画案に対する4回目の公聴会。公述は10人、傍聴は25人と、いずれも定員を満たしませんでした=1月29日、大阪市中央区内

 公聴会は府市共同設置のIR推進局が1月23日から29日にかけて開きました。公述人として意見を表明したのは1回目9人、2回目(24日)10人、3回目(28日)11人、4回目10人。計40人(2人は欠席のためIR推進局が代読)のうち、カジノ誘致に明確に反対する立場で意見を述べたのは35人に上りました。賛成者の意見はIRの会議場や展示施設機能の充実などを求めたもので、カジノへのまともな言及はありません。
 反対意見では「そもそもカジノは賭博場。そのカジノを中心としたIRを誘致するという発想自体が不健全」(男性)、「カジノの収益は4200億円とするが、これは巻き上げられたお金。このマイナス効果を計算に入れていないのが致命的欠陥だ」(男性)など、多くの批判が出ました。
 夢洲の土壌汚染対策や液状化対策で大阪市が約790億円を公費で負担する問題でも、「夢洲の適性確保に必須というが、肝心の算出根拠が示されていない。不適性であるなら、(誘致の)中止を含め根本的に見直すべき」(男性)などの指摘がありました。

懸念事項ならやめるべきだ

 ギャンブル依存症について「(計画案で)懸念事項だというなら、カジノをやめるべき。これ以上、人が不幸になる原因をつくらないで」(女性)、「身内にギャンブル依存症で苦しむ者がいた。親やきょうだいが借金の肩代わりをして犯罪には走らなかったが、人の心、家族、仕事を奪う恐ろしいもの。真剣に考えて(カジノ誘致を)再考すべき」(女性)などの訴えがありました。

スケジュールありきに批判

 公述は4回とも定員(20人)に満たず、傍聴者(定員60人)は1回目23人、2回目20人、3回目29人、4回目25人にとどまりました。公聴会や住民説明会(計11回)の開催が発表されたのは昨年12月23日。第1回目の住民説明会が開かれたのは1月7日で、翌8日には公聴会での公述や傍聴申し込みが締め切られました。3回目の公聴会で意見表明した男性は、計画案の内容を周知しないまま公聴会関係の申し込みが締め切られているとし、「スケジュールありき。まったくおかしい手続きだ」と批判しました。

破綻すれば5500億円どう返済するのか
大門参院議員ら IR推進局から聞き取り

IR推進局から聞き取りを行う(左から)たつみ、大門、山中の各氏=1月27日、大阪市役所内

 カジノを核とする統合型リゾート(IR)を大阪湾の埋め立て地、夢洲(ゆめしま)に誘致するための区域整備計画案を巡り、日本共産党の大門みきし参院議員・参院比例候補、たつみコータロー前参院議員・参院大阪選挙区候補と、山中智子大阪市議団長が1月27日、大阪市役所内で府市共同設置のIR推進局から聞き取りを行いました。
 府市は昨年末に計画案を公表。住民説明会や公聴会を経て2~3月の府議会・大阪市議会で議決した上で4月28日までに国に申請する構えです。
 計画案ではIRの初期投資額は約1兆800億円で、カジノ事業者のMGMとオリックスを中心に約5300億円(49%)を出資し、残りの5500億円(51%)は三菱UFJと三井住友の両銀行から借り入れて調達するとしています。
 大門氏が「借りる際、大阪市や府の何らかの保証はないのか」と指摘すると、IR推進局は「ない」と説明。「かなりのリスクを負うことになる」との問いにも局側は「(投資額を)回収できるという収支計画になっている」「基本は民設・民営であり、事業者の提案が基本」と述べるにとどまりました。
 大門氏は需要予測はじめ事業計画が過大だとし、「事業が破綻すれば借り入れた5500億円は返せなくなる。どこに返済を求めることになるのか」と懸念を表明。「コロナのような感染症のパンデミック(世界的大流行)はこれからも起こる。オンラインが主流になっている中、古い施設型のカジノを造るのは危ない」と述べました。

2・3月議会にむけカジノ誘致反対の世論を大きく

 日本共産党大阪府委員会の大西淳子常任委員は1月31日、次の呼び掛け文を発表しました。

 日本共産党大阪府委員会は、夢洲へのカジノ誘致について、自民・公明・維新各党に公開質問状を出すとともに、府民向けアピール「『カジノ大阪誘致はノー!』――いまこそ府民的なたたかいと共同を大きく」を発表。アピールを届けた立憲民主党、社民党、れいわ新選組各党との懇談では「カジノにもともと反対の層、大阪誘致は反対の層、いまのやり方はとんでもないと思う層が重層的に広がればストップできる」とも語られました。
 府・市が開催した公聴会では「カジノ業者のために多額の公費を使う必要があるのか」など批判が続出し、メディアも次々と疑問を呈しています。このなかで推進派の自民党のなかからも大阪市議団が異論を唱え、市議会に「住民投票条例案」を出す動きが生まれているのは注目されます。
 いま最大の焦点は、大阪府・市の2・3月議会で「区域整備計画案」の議決を許さないことです。「カジノ誘致ストップ」を府民の多数派にし、その力で「カジノ推進派」を追い詰めましょう。そのために、みなさんが「カジノ誘致ストップ」の行動に立ち上がり、運動を広げることを心から呼びかけます。

  1. 日本共産党府委員会は「アピール」と署名用紙を別刷りにし、カジノ反対大阪連絡会パンフとセットにして、党員数の2倍を届ける措置をとりました。党内外で学習・宣伝・対話行動をつよめましょう。
  2. 広く団体・個人に共同のよびかけをおこないましょう。
  3. 「カジノよりコロナ対策を」などの宣伝や街頭スタンディング、SNSでの発信を広げましょう。
  4. 各地域の府会議員と市議会議員への働きかけ、要請行動をおこないましょう。

(大阪民主新報、2022年2月6日号より)

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