おおさかナウ

2022年01月01日

あなたの声で政治を動かす
夏の参院選 共産党躍進・大阪選挙区で議席奪還を
前参院議員たつみコータローさんに聞く

 2022年夏に参院選が行われます。日本共産党府委員会が、たつみコータロー前参院議員を大阪選挙区候補に擁立すると発表したのは19年10月でした。この間、たつみ氏は新型コロナから命と暮らしを守る取り組み、大阪市の廃止・分割の是非を問う住民投票、昨年の総選挙などのたたかいの最前線で奮闘。選挙本番の年の幕開けに当たって、たつみ氏にこの間の活動、日本共産党躍進と議席奪還への決意などを聞きました。(聞き手・本紙編集部)

コロナ禍の中 立党の精神を

参院選勝利へ街角で行動する日本共産党のたつみコータロー氏

――日本共産党府委員会のコロナ関連対策本部長として活動してこられました。
たつみ コロナ禍の中、日本共産党の活動の中核部分を担わせていただいてきたという実感があります。困っている人を放っておかない、小さな声にも寄り添う。国民の苦難軽減に努力するのが私たちの立党の精神です。
 私たちがすぐに取り組んだのは聞き取り。医療・教育・保育などの現場の皆さん、中小業者、ライブハウスのオーナーはじめ文化関係者など各分野の方々から実情を聞き、地方議員の皆さんの声を集めて、いま何が必要なのか、緊急提言も繰り返し発表してきました。
 議員になる前、私は此花区の生活と健康を守る会で活動していました。政治家としての原点、ライフワークは生活相談活動です。食料支援のフードバンクでの相談会場や、2020年から21年の年末年始にかけて緊急電話相談窓口も開設し、生活保護の相談なども寄せられました。
 コロナの影響から暮らしや営業を守るための制度を紹介する冊子を作り、党地区委員会などを通して普及しました。住居確保給付金は、家賃の一部が給付される返済不要の制度で、コロナ前からものですが、なかなか使いにくかった。私がSNSで発信したところ大きな反響があり、市民から上がった声が政府を動かし、使いやすいものに改善できました。

命と暮らしを最優先にして

――「あなたの声で政治を動かす」という、たつみさんのキャッチフレーズそのものですね。

インタビューに答えるたつみコータロー氏

たつみ はい。ライフワークとしてきた生活相談の経験が、コロナ禍の中で生かすことができたと思います。
 同時に、コロナ感染による死者数は、全国の都道府県の中で大阪府が人口比で最多。昨年の第4波では医療崩壊を起こし、救える命が救えませんでした。対策本部の大きな使命は、その要因を分析し、改善させることでした。
 一つには維新の吉村洋文知事の「イソジン発言」にみられるように、科学を無視した場当たり的なコロナ対策。私たちが当初から訴えていた無症状者に対するPCR検査の実施は、オミクロン株の市中感染を受けて、やっと取り組む姿勢を見せていますが、もっと拡大すべきです。第3波では甘い見通しで、緊急事態宣言を1週間前倒しで解除して重症病床を減らしたことが、第4波での医療崩壊を引き起こしました。
 さらに、10年に及ぶ維新政治で住吉市民病院の廃止はじめ医療・保健の体制が脆弱にされ、命を守るとりでが壊されていたことが、大阪での死者の多さにつながっていることを明らかにし、命・暮らし最優先の大阪に変えようと訴えてきました。
 救える命が救えないというじくじたる思いも抱えながら、二度とこういう事態を起こさせないために、大阪でも国でも進められている急性期のベッド削減をやめさせるなど、命を守る政治が何よりも求められると実感してきました。

極まる悪政に怒りいっぱい

――コロナ禍の中で、ケア労働の重要性も改めてクローズアップされてきました。
たつみ 岸田政権は医療や保育、介護などケア労働に携わる人々の処遇改善策を出しましたが、給与の加算額は看護師は月4千円、保育士や介護福祉士は月9千円で、しかも時限的なもの。まったく足りません。こういうところにお金をかけず、軍事費などかけなくていいところにお金を出すのが自公政治の限界で、私は怒りでいっぱいです。
 ある集会で「国会に戻ったら何をしたいですか」という質問が出ました。私は現職時代の6年間に約200本の質問を行いましたが、取り上げ切れなかったのが障害者施策の分野。コロナ禍の中で重症化リスクが高い障害者の方々、ご家族の苦労にも接しただけに、国会に戻ってぜひ取り組みたいです。障害がある人も、ない人も、すべての人々が個人の尊厳を保って生きていける社会を日本でつくりたいのです。

住民投票でも世論を動かし

たつみ コロナ禍の中での活動の大きな部分を占めたのは2020年の住民投票のたたかいでした。日本共産党の果たした役割は非常に大きいと思います。大阪市をよくする会、明るい民主大阪府政をつくる会と力を合わせ、大阪市廃止・分割の問題点について情報提供して対話を進め、共同を広げました。
 私も自分が議員になったつもりで、法定協などの資料を読み込んで問題点をすべて手のひらに乗せ、どんな疑問にも答えられるように努め、発信しました。住民の皆さんと共に世論を動かし、再び大阪市存続の審判を勝ち取ったという手応えがあります。

「認諾」を行い疑惑にふたを

近畿財務局職員だった赤木俊夫さんを死に追い込んだものを明らかにするために、妻・雅子さんが起こした裁判を終結させた国への抗議行動が近畿財務局前で行われ、たつみ氏もマイクを握りました=2021年12月23日夜、大阪市中央区内

――たつみさんは現職時代に森友疑惑を一貫して追及してこられました。公文書改ざんを強要され自死した元近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻雅子さんが「私は真実が知りたい」と国などに損害賠償を求めて提訴。赤木さんが改ざんの経過を記録した「赤木ファイル」が開示されたのは昨年6月です。ところが国は昨年末、賠償責任を認める「認諾」を行い、国との裁判は終結しました。
たつみ 赤木さんが自死したのは、彼が優秀な職員だったからです。公文書の改ざんが犯罪行為だと最も認識していたからこそ、良心の呵責にさいなまれ、自ら命を絶ったのです。そこまで赤木さんを追い込んだものは何か。私たちも国会で論戦しましたが、十分明らかにし切れていません。
 雅子さんが大変な勇気を出して声を上げていただいたことで、「赤木ファイル」も出てきました。財務省の報告書では佐川宣寿元理財局長が「改ざんの方向性を決定付けた」としか書いていませんが、「赤木ファイル」では佐川氏の指示となっている。少なくとも第三者による再調査が必要ですが、政府は拒み続けています。

真相の究明へ必ず参議院へ

 今回の「認諾」には私も驚きましたが、裁判で明らかにしたくないものがあることを逆に示しています。いわばボールは国会に投げ返されたわけで、真相を明らかにしなければなりません。ボールは国民にも投げられたと思います。国は請求額の1億700万円を支払いますが、これは国民の血税で疑惑にふたをするものです。
 国会と国民が力を合わせて真相解明するという段階です。衆参で追及が必要。総選挙で国会に戻った宮本岳志さんと力を合わせて真相究明を進めるため、必ず参議院に戻りたいと思います。

大阪選挙区で改憲派が独占

――夏の参院選まで一直線。大阪選挙区は定数4で3年ごとに改選です。現在選出されている8人の議員のうち維新が4、自民が2、公明が2。改憲勢力が議席を独占しています。
たつみ 参院選は憲法にとっても平和にとっても大きな正念場です。岸田政権が改憲に前のめりになり、維新が国民民主党などと共に改憲論議をあおっていますが、狙いは9条改憲です。
 日本共産党は2022年に結党100周年を迎えます。あの暗黒の時代に自由と民主主義を求め、侵略戦争に反対して命懸けでたたかってきた党として、「戦争する国」づくりを何としても止める責任があります。日本共産党の出番以外の何ものでもありません。国民は憲法改定ではなく、憲法が生きる社会こそ願っています。この大阪で市民と野党の共闘を広げて、「改憲ストップ」の声を参院にも国会にも届けなければなりません。

カジノ阻止の声を大阪から

――大阪では維新府市政がカジノ誘致のための「区域整備計画」の申請に向けて手続きを加速させています。
たつみ カジノ問題は私も現職時代に国会で追及しました。自民や維新もさることながら、公明党の責任も大きい。カジノ実施法を強行した2018年、西日本豪雨で大きな被害が出ているにもかかわらず、担当大臣の石井啓一国交相(現公明党幹事長)はカジノ推進に明け暮れていたのです。
 推進派は「カジノではなくIR(統合型リゾート)」で、会議場や展示場をつくると言いますが、そこに本当に人は来るのか。カジノの客の6割は日本人という事業です。私は3年前にシンガポールのIRを視察しましたが、ギャンブル依存症患者を支援する団体のスタッフは、報道されないが、自殺者も出ていると話してくれました。
 カジノは人の不幸の上に成り立つもの。関連事業に公費を投入しようとしていますが、巨大開発の破綻のつけを府民・市民に押し付ける「いつか来た道」を許してはなりません。参院選は「カジノストップ」の声を大阪から参議院に届ける選挙でもあります。

小学6年生の質問にも答え

――昨年の総選挙後、「コータローキャラバン」に取り組んでこられました。
たつみ 府内で20ある党地区委員会の活動地域を一巡する第1次キャラバンが終わりました。約1300人の方が参加、ネット中継も多くの方が見てくれました。
 街頭や屋内で、対話形式の「トークセッション」で質疑応答も行いました。驚いたのは、八尾市で共産党とつながりのなかった小学校6年生の男の子が親御さんと一緒に参加し、「中国共産党と日本共産党はどこが違うの?」と質問を出してくれたことです。
 「『共産党』という名前以外は全部違う」と、これまでの歴史などを説明しました。共産党が政権をとれば独裁になり、言論の自由がなくなるのではないかと心配する人もいるが、日本共産党は、みんなの力で一歩一歩変えていこうと綱領に書いている政党。戦前から、自由にものが言える社会を目指して命懸けで頑張ってきた党が政権に入れば、もっと自由にものがいえる社会が保証される――そう話すと納得してくれました。

今まで隠れて応援してたが

 宣伝カーに記された「ジェンダー平等社会の実現」のスローガンを見た、小学校6年生の女の子が「これ、写真に撮っていいですか」と声を掛けてきたこともあります。「どうしたの?」と聞くと、ジェンダー平等について「学校で習っています」とのこと。世の中は動いています。私たちの政策は、最も先駆的であり、当然国政の課題に押し上げなければならない問題だと確信しました。
 ネットで私の訴えを聞いてメールをくれた障害をもつ女性が、ヨドバシカメラ前の街頭演説(12月5日)に来てくれました。「今まで陰で共産党を応援していたが、表立って応援しようと思った」という彼女は、近所の党員に声を掛け、自分の家に私のポスターを張ってくれているそうです。
 こんな新たな出会いが、いろんなところで生まれています。日本共産党がぶれずに頑張り抜いてきたからこそ、「共産党はどんな政党か」と、子どもたちも近づいてくれる時代になっているのです。外に踏み出し、訴えれば実感できます。今こそ、私たちが元気な姿を見せようではありませんか。

共産党躍進の先頭に立って

 総選挙で日本共産党は党史上初めて政権交代を掲げてたたかいました。改選前の12議席から10議席に後退する断念な結果になりましたが、自公政権を倒し、野党連合政権で新しい政治を実現する第一歩を踏み出したのです。
 選挙後も、さまざまな共闘攻撃、反共攻撃が行われていますが、支配勢力にとっていかに日本共産党が恐ろしい存在かということの証明です。参院選で日本共産党が躍進することが、市民と野党の共闘を広げる推進力。大阪で比例70万票、大阪選挙区議席の奪還へ、先頭に立つ決意です。

(大阪民主新報、2022年1月2日・9日合併号より)

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