おおさかナウ

2021年12月25日

カジノに公金800億円
大阪市 土壌汚染対策で
市民団体 〝カジノ誘致やめよ〟

記者会見するカジノ問題を考える大阪ネットワークの桜田代表(右から2人目)ら=20日、大阪市北区内

 大阪府と大阪市は21日の戦略本部会議で、大阪湾の埋め立て地・夢洲(ゆめしま)にカジノを核とした統合型リゾート(IR)の誘致を国に申請する「区域整備計画」(別項)の骨子案を公表しました。維新府市政がカジノ開業に向けた手続きを加速させる中、大阪でカジノ反対運動に取り組む市民団体が20日、大阪市北区内で記者会見し、カジノ誘致に反対する見解を明らかにしました。
 カジノ問題を考える大阪ネットワーク、カジノに反対する大阪連絡会、カジノに反対する団体懇談会などが開いたもの。ネットワーク代表で阪南大学の桜田照雄教授は、大阪市の松井一郎市長(日本維新の会代表)が同日、IRの建設予定地の土壌汚染対策などに市の特別会計(港営事業会計)から約800億円の公費を出す考えを示したことに触れて報告しました。
 桜田氏は「松井市長が土壌汚染を認めていることは非常に重い意味を持つ」と強調しました。夢洲には1987年から産業廃棄物、しゅんせつ土砂や建設残土が投入されてきたが、土壌汚染対策法に基づく廃棄基準が初めて定められたのは19年後の2006年だと指摘。「法規制がない中で、(埋め立て土砂は)何でもありになっていた」と述べました。
 土壌汚染対策をするというが、夢洲に埋め立てられた汚染土壌をどこに持っていくのかという問題への言及が全くないとと指摘。対策費用の約800億円について、汚染土壌の量や処理費用など積算の根拠を明らかにする必要があるとしました。
 桜田氏は、汚染された土壌の上には商業用の建物を建てないのが常識だと指摘。土地の評価額も激減し、夢洲への投資額6千億円を回収するめどが立たなくなると警告。「大阪市の都市計画審議会で夢洲の用地を準工業地帯から商業地へ用途変更したが、汚染されていることは分かっていた。その事実にふたをして、夢洲開発ありき、万博・カジノありきの行政をやってきた。その責任を松井市長は取るべきだ」と語りました。

負の影響を全く無視

「区域整備計画」

 「区域整備計画」は自治体とIR事業者が共同で作成するもの。骨子案は副首都推進本部で公表後、直後の大阪市戦略会議で決定。パブリックコメントや公聴会などを開いて成案とし、来年2~3月の府市両議会の同意を経て、4月に国に認定するとしています。

カジノの売り上げ4200億円

 骨子案では、IR全体で年間5200億円の売り上げを見込んでいますが、そのうちカジノの売り上げが約8割(4200億円)を占めます。IRの年間来場者の約7割(2400万人)を国内からと見込んでいます。
 IR事業による波及効果や雇用創出効果を掲げる一方、ギャンブル依存症対策への言及はわずかで、社会的な損失については全く触れません。
 夢洲の土壌汚染対策、液状化対策、地中埋設物撤去は「IR事業用地としての適正確保が必須」などとして、約790億円を負担。副首都推進本部会議後、記者団から費用の算定根拠などを問われた松井氏は、「概算であり、工事をするようになれば詳細な見積もりを出していく。今の時点では出せない」と述べました。

(大阪民主新報、2021年12月26日号より)

月別アーカイブ