おおさかナウ

2021年12月25日

〝夫はまた国に殺された〟
赤木裁判 国が「認諾」で終結させる

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、公文書の改ざんを強いられて自殺した近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)の妻雅子さん(50)が国に損害賠償を求めた裁判で、15日に国が突如、賠償責任を認める「認諾」を行い、裁判を終結させました。

雅子さん「隠蔽のための認諾」と抗議

 雅子さんは2020年3月に、国と佐川宣寿・元財務省理財局長に賠償を求めて大阪地裁に提訴。国は全面的に争う姿勢を見せていましたが、態度を一転、15日、請求を認めて訴訟を終結させました。
 国側は認諾の理由として、赤木さんが強く反発した決裁文書の改ざん指示への対応などの業務に忙殺され、精神疾患を発症、自死に至ったことに対して国家賠償の責任を認めるのが相当との結論に至ったとした上で、「いたずらに訴訟を長引かせるのは適切でな」いなどとしています。
 国の「認諾」を受けて雅子さんは17日、鈴木俊一財務相宛てに財務省に抗議文を提出。「これ以上裁判が進むと事実が明らかになっていくので、真相を隠すために認諾をしたのでしょう」「私は夫が国に殺されたと思っています。そして認諾によって夫はまた国に殺されてしまった」「私も夫も国の認諾は絶対に許しません」と述べ、認諾に至った経緯や理由を説明すべきだとしています。
 訴訟のうち、佐川氏に賠償を求めた裁判は継続しています。

許すわけにいかない対応
志位共産党委員長が批判

 日本共産党の志位和夫委員長は16日の会見で、「政府は認諾して幕引きを図った。許すわけにいかない対応だ」と指摘。「雅子さんが解明を求めているのは改ざんの詳細な事実だ」とし、事実を裁判で明らかにすることを断ち切り、真相にふたをする政府の対応を厳しく批判しました。

(大阪民主新報、2021年12月26日号より)

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