おおさかナウ

2021年05月24日

地域医療を守るために
市立病院の職員定数 40人増の条例改定
日本共産党八尾市議団幹事長 越智妙子

 

 コロナ禍の中で、八尾市(大松桂右市長)が市立病院の職員定数40人増の条例改定などを行いました。日本共産党八尾市議団幹事長の越智妙子さんからの寄稿文を紹介します。

 今回の新型コロナウイルスパンデミックとの闘いは、保健所をはじめ、各医療機関や高齢者施設の頑張り抜きにはありえません。なかでも、大阪府からの要望を受け率先して患者を受け入れた公立公的病院の果たした役割は、筆舌に尽くしがたいものがあります。これら従事者のみなさんに心から敬意を表したいと思います。

病院、人員の少なさで医療崩壊

越智妙子市議

 私たち日本共産党市会議員団は、このコロナ禍で奮闘されている市内各病院や高齢者施設を訪問させていただいてきました。八尾市立病院では佐々木市立病院特命総長(大阪府公立病院協会会長)に直接お会いし、お話を聞かせていただきました。
 佐々木特命総長は「新型コロナ感染において、欧米の10分の1の感染者で医療逼迫が起きたり、検査数が世界に比べて異常に少なかったり、ワクチンがこんなに遅れていることは、今までの医療システムの在り方が問われている」と言われました。これはとても印象に残りました。
 また佐々木特命総長は、政府が424の公立公的病院を名指しし、再編統合の検討を迫っているが、新型コロナパンデミックは、明確に日本の医療体制の脆弱さを浮きぼりにしたこと、欧米より桁の少ない感染者数で、日本が医療崩壊に直面している大きな要因の一つが、病院、医師、看護師の少なさにあることを明確に示されました。
 政府の検討会も、「余力がないとコロナ患者を受け入れることができない」と指摘し、知事会も「病院に再編整備の話をもちあげるのはナンセンスだ」と、厳しい批判の声を上げています。

公的病院の意義と必要な体制 

 病院がこのほど策定した「第4期八尾市立病院経営計画」では、「地域医療構想が進められてきたが、新型コロナ感染患者のための病床が不足し、その不足を公立公的病院が中心となり、病床を確保した」と述べた上で、「このことを踏まえて、地域の医療提供体制を考えると、感染症等災害医療等への備えとして、地域ごとに一定数の非常時のための病床を確保していく、医療体制における余裕が必要である」と明確に示しています。
 そしてまた、「今後は、不採算分野を含む医療を提供する公立公的病院の存在意義を踏まえて、地域医療に必要な医療提供体制の実現が求められるべき」とも指摘しています。
 「政府が病床削減先にありきの地域医療構想を推し進めるもとで、新型コロナでの医療崩壊を教訓に、医療体制の構築を求める」と、同計画で明確に示されたことはとても重要なことだと思います。
 地域医療を守るためには、なにより医師、看護師の増加が必要です。

公立病院のあるべき姿を明確に

八尾市立病院

 共産党市議団は12月議会で市立病院問題を取り上げました。コロナ患者が増える中、職員を増員せずに対応している病院の実情に触れ、「一歩間違えれば受け入れができなくなり、一般診療にも影響が出てくる」と指摘。医師、看護師の増員を求めました。
 それを受けて大松桂右市長は3月議会で、「市立病院の職員定数40人増の条例改定」を提案しました。
 市立病院経営計画は、「公務員としての強い使命感、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務するという職員の姿勢」も示しています。これらは、いずれも公立病院のあるべき姿を明確に示すものとなっています。
 4月、市立病院は50名程度の正規職員の募集を始めました。また4月から正規職員で社会福祉士11名、心理士3名、保育教諭が6名採用され、さらに、消防職員5名程度の募集をはじめ、事務職、土木職などの正規職員の募集も始まっています。
 日本共産党八尾市議団は引き続き地域医療を守るために全力を尽くします。(おち・たえこ)

(大阪民主新報、2021年5月23日号より)

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