おおさかナウ

2021年04月05日

「生活保護は国民の権利」「ためらわずに申請を」
府内自治体 HPへの明記広がる
大生連の運動・共産党の論戦など実る
堺・豊中・高槻・吹田・寝屋川などで

 コロナ禍の下、生活に困窮する人が増えている中で、住民の命と暮らしを守る自治体のあり方が問われています。生活保護制度がどのように案内されているのかを、府内各自治体のホームページなどで見てみました。

田村参院議員の質問への答弁で

 生活保護の申請を巡っては、日本共産党の田村智子副委員長・参院議員が、昨年6月15日の参院決算委員会で質問。コロナ禍で生活困窮に陥った人が生活保護申請を諦めることがないよう、「『生活保護はあなたの権利、ためらわずに申請してほしい』と政府が国民に広報を」と迫りました。
 これに対し、安倍晋三首相(当時)が「文化的な生活を送る権利があるので、ためらわずに(生活保護を)申請してほしい」と答弁しました。後に厚生労働省がームページや発行するリーフレットで「生活保護の申請は国民の権利です」「ためらわずにご相談ください」と呼び掛けるようになりました。
 こうした中、自治体の広報にも変化が出てきています。
 3月26日現在で、自治体ホームページに、生活保護が「国民の権利」「ためらわず申請を」とどちらも明記しているのは堺、豊中、高槻、吹田、寝屋川の5市で、いずれも、「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください」と書かれています。
 吹田市では昨年9月市議会で、日本共産党の村口久美子議員が「多くの方がコロナの影響を受けて生活が大変になっている今のような時期にこそ、最後のとりでである生活保護の申請をちゅうちょしている方々に、生活保護はあなたの権利だと、市としても市民の方々に向けて広報」するよう求めたのに対し、福祉部長が「ホームページや市報において、生活保護申請は権利であることを周知した上で、適切な保護の実施に努め」ると答弁していました。
 堺市では、日本共産党の石谷泰子市議が、国の姿勢を反映したものにするよう担当課に求めたところ、3月5日に更新された新画面で明記されました。
 寝屋川市のホームページではこのほかに、扶養義務者の扶養が保護に優先するとしているものの、同居していない親族に相談していなくても申請できること、住むところがない、持ち家がある、必要な書類が揃っていない、自動車や不動産をもっている人なども申請できることを明記しています。ホームページの内容は、日本共産党の中林和江議員が3月議会で取り上げた後に更新されました。
 豊中市でも田村智子参院議員の質問に先駆けて、昨年3月市議会でいつき澄江議員が質問していました。
 5市の他、枚方市も「生活保護は国民の権利」「生活にお困りの方はまずは生活福祉課へご相談ください」と明記。岸和田市は3月1日更新したホームぺージで、「生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください」の言葉を加えました。

憲法25条に触れているのは18市

 全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)では、予算要望の中で、生活保護の民主的実施を求め、自治体に対し、「生活保護制度は、憲法25条に基づく国民の権利であることを府民(市民)に広報などを通じて、周知すること」を求めてきました。
 「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とうたった憲法25条に触れているのは、府内18市でした。
 大生連は2021年度予算要望書で、「今後さらにコロナ禍の影響で、失業・廃業に追い込まれ、住民のいのちと暮らしがますます脅かされる状況が広がることが懸念される中、自治体が住民の命と暮らしを守る『地方自治の本旨』の精神を発揮」するよう求めています。
 コロナ禍の中、住民に寄り添う自治体のあり方が問われています。

「生活保護は国民の権利」「ためらわずに申請を」と呼び掛ける各自治体のホームページの画面

(大阪民主新報、2021年4月4日号より)

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