おおさかナウ

2021年03月06日

大阪市議会開会
コロナも民意も無視の松井大阪市政
日本共産党大阪市議団 山中智子団長に聞く

 

 大阪市議会が2月10日に開会し、25日には松井一郎市長(大阪維新の会前代表)が2021年度当初予算案を提案しました。松井市長が吉村洋文府知事(同代表)とともに大阪市の権限・財源を府が奪う「広域一元化条例」案の強行を狙う中、大阪市政の現状や問題点などについて、日本共産党大阪市議団の山中智子団長に聞きました。

新型コロナ対策 市独自はごくわずか

――松井市政の現状をどう見ますか。

インタビューに答える山中団長

山中 一言で言って、「コロナも無視」「民意も無視」という姿勢が際立っていると思います。いま、何をおいてもコロナ対策に総力を挙げるため、市政のあり方を変えなければならないときです。
 ところが市独自の対策はごくわずかで、金額的に大きいのは小中学校の給食の無償化を来年度も続けることと、時短要請に応じた事業者への水道料減免。それも酒類を提供する飲食店に限られています。時短要請の対象以外にもたくさんの事業者が困っているのだから、多くの人を支える思い切った施策が必要で、職員もそう願っています。
 大阪市では昨年、特別定額給付金の支給に非常に時間がかかったように、本当に人手が足りません。防災面では、危機管理室が水害のハザードマップの最新版を全戸配布し、啓発に取り組もうとしていますが、区役所に人手がなければできません。新型コロナのワクチン接種で要になるのも区役所ですが、松井市長は人員体制を拡充しようとしていません。

カジノ・大型開発 まるで〝聖域〟扱い

――来年度予算案の特徴は。

山中 カジノを核とした統合型リゾート(IR)の誘致や2025年の大阪・関西万博、夢洲の開発、淀川左岸線やなにわ筋線などの大規模事業をこれまで通り推進するものになっています。
 カジノを巡ってIR推進局は、実施方針の修正案を公表しましたが、開業時期も決めず、事業者に求める展示施設などの規模の縮小、段階的な整備も容認するものです。これによると、IRが完成するのは45年先で、カジノ誘致は大きな破たんに直面しています。にもかかわらず、松井市政は「コロナ後」にはインバウンド(訪日外国人旅行者)は回復するなどと強弁してこれまでの路線を見直さず、カジノや夢洲はじめ大型開発は、まるで聖域扱いにしています。
 一方で、大阪市の財政調整基金は1245億円(21年度末見込み)です。他の政令市の財政調整基金をみると京都市はゼロ、横浜市が59億円、名古屋市や札幌市は約100億円、多い福岡市で340億円。松井市政が今後の巨大開発に備えて、けた違いの財政調整基金を持ち続け、思い切ったコロナ対策をしないのは、まさに異常な事態です。

広域一元化条例案 制度いじりに固執

――「民意も無視」という点では、「広域一元化条例」案に対して、住民投票の結果を踏みにじるのかという批判が広がっています。

「松井市長は住民投票の結論を守って」――大阪市議会開会日に宣伝する人たち=2月10日、大阪市北区内

山中 昨年11月1日の住民投票で大阪市の存続が決まりました。2015年の住民投票に続いて2度目の審判です。にもかかわらず、コロナ禍の中で相変わらず制度いじりに固執しています。「都」構想やそれに代わるものを掲げ続けなければ、維新の存在意義がなくなるという党利党略です。そのために税金や時間、エネルギーを費やし、市民と府民を振り回すという政治姿勢そのものが許せません。
 「広域一元化条例」案は、大阪市が長い時間をかけて築いてきた都市計画やまちづくりの権限を府が奪い、大阪市の発展に関わる施策を府の言いなりにさせるものです。地方自治の精神にも反した、まさに「大阪市乗っ取り」に他なりません。
 大阪市と府が大きな開発などで話し合いや連携することは当たり前で、「二重行政の弊害」などと言って、それが今までできていなかったというのは、維新の勝手な言いがかりです。これに決着をつけたのが住民投票でした。
 条例案を廃案に追い込むため、幅広い市民の皆さんと力を合わせると共に、維新政治を転換し、政令市の権限や財源を、市民の命と暮らしと営業を守るために生かす大阪市をつくるために奮闘する決意です。

(大阪民主新報、2021年3月7日号より)

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