おおさかナウ

2021年02月20日

無症状者に無料で検査
生活保護利用者の入所時 厚労省が見解
泉南市の女性

 生活保護の利用者が高齢者施設に入所する際の新型コロナPCR検査で、無症状の人でも無料で検査が受けられることが明らかになりました。同法28条に基づく福祉事務所の「検診命令」で、泉南市の70代保護利用者が制度の医療扶助でPCR検査を受けることができました。
 女性は軽度の認知症があり要介護1。高齢者施設への入所が決まった昨年12月に施設側から、新型コロナのクラスター対策として「陰性証明」の提出を求められました。
 しかし一般に、症状のない人は保健所などが指示する「行政検査」の対象外。女性の相談を受けた日本共産党の元泉南市議、松本かよ子さんが「生活保護費でPCR検査費用を出せないか」と問い合わせると、同市の福祉事務所は「医療扶助の項目にない」と返答しました。
 蓄えもない女性は1回約1万7千円のPCR検査費用を負担できず、途方に暮れました。

倉林参院議員に厚労省回答

 2月初旬の入所予定日が迫る中、日本共産党の倉林明子参院議員事務所が国に見解を尋ねると、「陰性証明を求める施設側がPCR検査費用を負担することもできる。もしくは福祉事務所の検診命令があれば生活保護の医療扶助でPCR検査費を出すことができる」(厚労省社会・援護局保護課医療担当)と回答しました。
 生活保護法第28条1項は、保護の決定・実施などで必要なときに、「指定する医師もしくは歯科医師の検診を」命じることができると定めています。検診命令は生活保護費の不正受給調査で多く実施されますが、本来は生活保護者の健康のために認められている制度です。新型コロナが拡大する中で、同法28条を活用し、介護サービスを必要とする保護利用者に、無症状でもPCR検査を受ける道が開かれました。
 女性は無事に2月介護施設に入所し、新たな生活をスタートさせました。
 自治体への問い合わせやケアマネジャーなど施設側の橋渡し役となってきた松本さんは、「身近なところで困っている人はたくさんいます。今後も泉南市議団とも連携して相談活動に力を尽くします」と話しています。

(大阪民主新報、2021年2月21日号より)

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