おおさかナウ

2021年02月20日

生活に困ったら遠慮なく
食料支援の「フードバンク」
コロナ禍 みんなで力合わせ

大阪市東淀川区 民青など実行委で実施
各地の経験にも学んで

 新型コロナ感染拡大の影響で生活が苦しくなっている学生や市民に、食料品や日用雑貨を無料で配る「フードバンク」が、府内各地で広がっています。大阪市東淀川区では11日、民青同盟淀川東淀川地域班が呼び掛けた実行委員会が学生向けに第1回目の「フードバンク」を開催。各地の経験にも学んで細かな工夫をこらして準備し、「少しでも生活に困ったと思ったら、遠慮なく受け取りに来て下さい」と呼び掛け。利用した約120人の大学生や専門学生、地域の人たちに喜ばれました。

地元の寺院が賛同し会場に

民青同盟淀川東淀川地域班、民主団体や労組などが力を合わせて開いた食料支援の「フードバンク」=11日、大阪市東淀川区内

 東淀川区には大阪経済大学や専門学校などがあり、多くの学生が通学・下宿しています。「フードバンク」の会場は、阪急京都線の上新庄駅に近い、臨済宗妙心寺派の瑞光寺(ずいこうじ)。住職の遠山明文さん(71)は、「本来なら国がやるべきことだが、わずかでも役立ててほしい」と、地域の米屋さんと相談して1・5㌔の滋賀県産コシヒカリ50袋分を提供しました。
 米やレトルトカレー、カップ麺、ジュースなどを詰め合わせた1人1袋の「基本セット」は各地のフードバンクで提供されています。東淀川区では「炊飯器がない学生もいるはず」と、米の代わりにパックごはんを入れたセットも用意し、どちらかを選べるようにしました。
 食料品は「しんぶん赤旗」読者や実行委員会の参加団体を通じて寄せられたほか、果物などは集まったカンパで購入しました。当日までに学生の下宿が集まる地域に、約3千枚の案内チラシを配布。3月12日に開く第2回目のチラシも「基本セット」に入れ、会場アンケートには「きょうなかったもので、次あればうれしいもの」を書いてもらうようにしました。

コロナ禍で大学もバイトも

 開始時刻の2時、学生が集まりはじめました。大阪経済大学1回生の男性(19)は「コロナでまともに大学に行けていない。飲食店でアルバイトしていたが、夜8時までしか入れず、シフトも減らされた。食べ物をもらえるのは、うれしい」と語り、要求アンケートには「学費を半減に」「学生生活や恋愛などのしゃべり場がほしい」と答えました。
 府内の大学で学ぶ中国人留学生の女性(29)は、東淀川区内に住む友人を訪ねて来たところ、たまたま「フードバンク」と出会いました。「コロナで思うようにアルバイトできず、生活費に苦労しているので、ここで皆さんと出会えたことに、感謝します」と話しました。
 学生だけでなく、呼び込みの看板を見て、親子連れなど地域の人々も訪れるように。「コロナで収入が減ったが、家賃など固定費がかかり、困っている。食料支援は助かります」と、ほっとした表情で語ったのは事務職の女性(24)。営業職の男性(32)も「コロナで働きにくくなり、お金に苦労している。将来が不安だ」と苦境を訴えました。

食べなければ生きていけぬ

会場ではアンケートで「次あればうれしいもの」を記入してもらいながら対話=11日、大阪市東淀川区内

 終了時刻の午後4時、用意した物資はほぼなくなりました。実行委員長で大学生の男性(21)は「僕の周りにも、コロナでアルバイトをやめた学生がいる。アルバイト先には飲食店が多く、学生が打撃を受けているし、お金が苦しくなれば削るのは食費。みんな、食べなければ生きていけない。困っている人にまず必要なのがフードバンクだと思う」と話します。
 見学に来た大阪経済大学非常勤講師の石原幸一さん(64)は、門真市で子ども食堂に取り組んできました。「コロナで子ども食堂自体の活動が困難になり、代わりにフードバンクができないかと思いました。見学してイメージが湧きました」と話します。
 会場に直接、カンパや支援物資を届けた人たちも。「コロナに負けないで/貧者の一灯」と書いた封筒を実行委員に手渡した下田純子さん(73)は語ります。
 「困っている学生さんや、フードバンクのことを『しんぶん赤旗』で読んで、ささやかでも自分も何かしたかった。いろいろな問題で国民が力を合わせ、世の中を明るい方向に進めることに、つながってほしい」

(大阪民主新報、2021年2月21日号より)

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