暮らし、府政、国政と
日本共産党の値打ち
日本共産党府議団の政策パンフ2015春季号「府民とともにくらしの改善、景気回復へ—日本共産党の前進で維新政治退場、安倍政権の暴走ストップ」発行にあたり、宮原たけし団長の寄稿文を2回に分けて紹介します。
府議団「パンフ2015年春季号」とその後の情勢にふれて(下)
日本共産党府議団長 宮原たけし
4、大型開発が進めば、府民の暮らしはもっと切り捨てられる
松井一郎知事は昨年10月に、私が「『大阪都』構想で進めたいのは新しい開発計画(表)では」と質問したのに対し、「最良の成長戦略」と答弁し、「大阪都」構想の狙いがカジノも含む新しい開発だと公言しました。
うめきた2期開発の公園事業費(府・大阪市の折半)やリニア中央新幹線整備促進事業費は、パンフ作成時にはありませんでしたが、すでに15年度予算案には計上されています。府のグランドデザイン計画にある森ノ宮周辺の開発も進めるため、大阪市への負担金も計上されています。なにわ筋線の検討調査、カジノの大阪立地の促進、万国博覧会大阪開催の検討事業費なども予算案には組まれています。淀川左岸線延伸部の都市計画素案も作られています。約1兆5千億円といわれる開発計画は、増えることはあっても減ることはありません。
新しい開発計画や近現代史を学ぶ施設(開設時のテーマは東京裁判)は、「大阪都」構想で実現する計画ですが、住民投票で大阪市分割が否決されたり、松井知事や橋下徹市長が辞めることがあっても、府・市で共同して進めるための覚書まで結ぶことになっています。その1号がうめきた開発であり、いずれも全国には例のない(府関係者)、異例の覚書であり、維新の会の開発や「歴史修正」への執念がよく分かります。
ところで、これらの建設事業費は、国や民間の金は一部に限られ、大半は府・市の金、それも借金が大半です。建設事業費(公共事業)は30年ローンで行われ、いくら低金利時代でも、返還総額は元本の1・4倍は越します。1兆5千億円を大きく超す建設事業費の大半を借金で賄った場合、府・市の30年ローンの総額は1兆8千億円以上、返済額は年平均600億円という規模になることも想像できます。
「大阪都」の財源は、府や市の生活関連施策のいっそうの切り捨てや市の税源の府への一部吸い上げ、府の基金などで賄われますが、足りなくなり、借金に頼らざるを得ないことは目に見えています。
実は、規模はもっと大きいし国の負担ももっとありましたが、いまの府・市の財政危機は1990年代の建設事業費の借金の返済が2030年まで続くからです。1992年から2000年までの9年間の起債(借金)総額は3兆5768億円で、年平均も前年度までの3・4倍になりました。毎年の返済額も1995年の約1724億円が2000年には3052億円になり、今日まで続いています。(グラフ)
ところで、維新府政が08年度から6年間で削った住民施策は1770億円で膨大ですが、年にすると300億円です。
要するに、「大阪都」(実際は「都」にはならない)によって、不要不急の開発が進めば、維新府政によるいままでの住民施策カットと同規模の住民負担がプラスされるのです。まるで乾いた雑巾を絞るようなものです。
5、大阪府の財政を今後30年間圧迫する
90年代と違って今後は必要な建設事業は増えます。一つは、防潮堤や道路、橋、河川、鉄道、学校、公民館、住宅などの耐震改修が急務となっています。来年度予算案でも防潮堤液状化対策207億円余り、府立高校や私立学校の耐震化などに88億円余り、などが組まれています。
さらに、大阪では、これらの公共インフラは60年代から70年代にかけて作られ、ほとんど寿命が来ています。大規模な補修そのものが必要になっています。いずれも必要額は膨大です。
いま必要なことは、1,子育て応援、高齢者の健康づくりと特養や老健施設の建設、2,防災、減災型の公共事業の促進、3,正規雇用の拡大や中小企業、農林業振興——など、足下から内需を温める政治で景気を回復させ、税収も増やすことです。しかし、これすら財源は足りず、国にもっと財源を要求する必要があり、府・市だけでは十分にはできません。
その上、あと十数年は90年代の負の財産遺産が残っているときに、カジノや新しい開発などを進める財政的余裕はないのです。
新しい開発計画が具体化されれば、「大阪都」で「財源」を吸い上げても、全く足りません。新たな財政負担によって、府財政は破綻する可能性が強いのです。いっせい地方選挙で、安倍政権の悪政から暮らしや大阪の自治を守り「大阪都」構想による大型開発ストップを訴える日本共産党の前進と、住民投票否決は、私たちの責務です。
(大阪民主新報、2015年2月22日付より)