おおさかナウ

2021年02月06日

逼迫の医療 罰則でなく支援・補償を
目の前の命を守る
医療機関 懸命の救命・治療活動

 大阪府内で新型コロナウイルスの感染が確認(2020年1月29日)されてから1年。菅政権の無為無策もあって、猛威を振るう新型コロナウイルスに、府内では4万3900人(1日現在)が感染し、全国最多の930人が亡くなっています。患者の生命と生活を守ろうと最前線の医療現場では懸命の救命・治療活動が続けられています。

苦しむ患者に寄り添いたい

防護服を着て発熱外来の業務にあたる看護師(西淀病院提供)

 「私の命大丈夫かな…」。大阪市西淀川区の西淀病院(約200床)で、新型コロナウイルスの陽性患者(20代男性)が、隔離室のベッドの上でそんな不安を口にしました。
 肺炎症状があり呼吸状態は時間を追うごとに悪化。重症度を表す血中酸素飽和度も低い数値を示し、身体を少し動かしただけで、酸素状態は低下し続けました。
 呼吸さえ苦しいはずなのに感染した自分が悪いと責め続け、「看護師さんを呼ぶのも申し訳ない」と、ナースコールを鳴らすことはなく、体力消耗を抑えるため、身動きさえできない状態になりました。
 「孤独に苦しむ患者に寄り添いたい」。隔離室に入る看護師は、ヘアキャップとゴーグル、ガウンなど個人防護具(PPE)を着用し、検温、投薬、食事や清潔介助など、感染リスクに細心の注意を払って看護を継続。男性は、ほどなく重症者を専門に扱う病院へ転院することができました。

未知の感染症治療は未確立

 24時間体制で救急患者を受け入れる「二次救急医療機関」の同病院は、新型コロナ患者の「受入医療機関」ではありませんが、第1波から「発熱外来」を開設し、1日平均30~40件の受診相談をしてきました。
 外来診療に加え、最大月300件ほどの救急搬送を受け入れる中、肺炎や呼吸症状などコロナ感染を否定できない患者は、PCR検査の結果が出るまで院内で隔離措置を取り、常時、4~6人が入院しているといいます。
 「コロナ患者の容態は常に変化し、決して油断はできません」。経鼻チューブの酸素投与で安定していた軽症患者が夜中に急変した事例もありました。
 大島民旗病院長は、一般的な肺炎症状と違って、コロナ患者への決定的な治療は未確立だとし、未知のウイルス感染症との戦いの困難さを指摘します。

感染する恐怖とたたかって

 自力呼吸が弱くなった患者に人工呼吸器を使うため、急変時は医師と看護師によるチームで、気管挿管の処置を行うことがあります。挿管では、気管への刺激に伴うせき込みで、ウイルスを含んだ微細粒子(エアロゾル)が発生するなど、感染暴露のリスクが一気に高まります。
 小玉裕加子看護部長は、「コロナウイルスに関する知見も少ない時期の対応で、病棟スタッフ誰もが恐怖とたたかいながら処置を尽くした」と振り返ります。
 重症者を扱う病院に転院し、その後、病状が回復した患者の家族から、「ありがとう」と感謝の手紙が届けられました。
 「1人の命を守り抜くことができ、本当に良かったとみんなで喜び合いました」(小玉看護部長)

役割果たせなくなる恐れが

 昨年秋以降の第3波で大阪府は12月4日、「医療非常事態」を宣言しました。同病院では、「重症コロナ患者の受け皿が広がらなければ、慢性疾患や救急患者を受け止めてきた地域医療が役割を果たせなくなる」(大島病院長)と真剣な議論を重ね、人員不足が問題となった「大阪コロナ重症センター」(昨年12月15日運用開始)に看護師1人を派遣しました。近く、コロナ患者を受け入れる病床を新たに1床確保する決断をしました。
 同病院にとって苦渋の選択です。看護現場は常に人員不足が深刻で、同じ人員のまま陽性患者が増えれば、一般病棟の一部ベッドが使用できないため、コロナ以外の病気で亡くなる人が出る恐れもあります。

新たな分断を生む罰則措置

 感染症法改正議論の中、コロナ病床確保を巡って吉村知事が病院名公表など制裁措置に言及した問題で、大島病院長は「医療機関に新たな分断を生むことになる」と批判。「地域住民の命と健康を守る役割を必死に果たそうとしている医療従事者の心をくじかないでほしい」と訴えます。
 診療圏外から搬送依頼が増えるなど、救急患者の受け入れ件数が例年より大幅に増える中、医療提供体制は限界に近づいていると指摘。「医療人として、コロナを含めすべての患者の命を守るため、全力を尽くしたい。地域社会に感染抑止の行動を呼び掛けながら、行政には自粛に対する補償、医療機関と特に負荷がかかっている看護師ら医療従事者への支援を求めていく」と話しました。

医療守るために立ち向かう

 「私たちの願いは、もっと患者に寄り添い、手厚い医療を提供したいということです」と小玉看護部長。「目の前で苦しむ患者から逃げ出すことはできません。長く苦しい戦いになると思うけれど、専門職としての使命を自覚して、命を守り支えるためにコロナ感染症に立ち向かっていく」と決意を込めました。

(大阪民主新報、2021年2月7日号より)

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