おおさかナウ

2021年01月17日

自治体で進む社会的検査
動かした世論と運動、共産党 議員団の働き掛け
日本共産党府新型コロナ関連対策本部長 辰巳孝太郎

 

 新型コロナウイルスの社会的検査を進めている自治体の独自施策と、大阪府が果たすべき役割などについて、日本共産党大阪府委員会新型コロナ関連対策本部の辰巳孝太郎本部長の寄稿を紹介します。

予算制限で対象が少ないことが課題


各自治体で進む新型コロナウイルスの社会的検査のための施策=自治体ホームページなどより

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、府内の自治体では社会的検査の取り組みが進んでいます。
 寝屋川市は市内20カ所の特別養護老人ホーム等の職員に定期的なPCR検査を実施。豊中市は65歳以上の高齢者を対象に検査を実施します。
 大東市では65歳以上で高齢者・福祉施設等で働いている1千人を対象に、PCR検査を自己負担2千円で実施することが決まっています。
 吹田市では、高齢者施設等の新規入所者の検査費用を、上限2万円補助することが決定。泉佐野市は65歳以上の高齢者と内部機能障害の身体障がい者手帳所持者のうち、「無症状でもPCR検査を希望する市民」1200人が対象で検査が行われます。
 これら社会的検査は日本共産党が各議会で再三にわたり求めてきたもので、世論と運動が行政を動かしたものです。
 共通する課題は予算の制限から検査の対象者が少ないことです。費用の2分の1は市町村負担であり、全額国庫負担とすべきです。
 検査の抜本拡充と社会的検査の実施は、大阪の感染状況からも必要不可欠です。

死者突出の大阪でこそ社会的検査を

 大阪府の新型コロナ感染者の死者数(10月10日~1月5日)は、390人で人口10万人当たり4・43人。同時期東京都は死者227人で人口10万人あたり1・62人です。大阪は圧倒的に死者数が多くなっています。
 その要因の一つに高齢者の感染の高まりがあります。
 11月1日~12月26日における大阪府の60歳以上の感染者の割合は3割超で、東京都の2割弱よりも高くなっています。また大阪は第3波(10月10日以降)における新規感染者の15・5%がクラスターによるもので、そのうち医療・高齢者施設が8割を占めています。死者390人のうち53%に当たる206人が医療・高齢者施設での感染です。亡くなる方を一人でも減らすには、医療・高齢者施設でのクラスターを未然に防ぐことが必要です。

社会的検査忌避する知事の責任重大

 問題は吉村大阪府知事の姿勢です。大阪府は未だに社会的検査を忌避し続けています。大阪府のコロナ対策本部会議では専門家から、「施設のスタッフを定期的にスクリーニングするなどの方策を実施することも考えられる」などと、社会的検査の必要性が繰り返し指摘されてきましたが、知事は無視しています。各市町村との調整役を果たすべき大阪府がその役割を果たさないため、踏み出せない市町村が出ています。
 大阪府は12月25日の本部会議において「高齢者施設等検査センター(仮称)」の1月中の設置を決定しましたが、「職員や利用者に少しでも症状が出た場合にスマートフォンやPCでインターネットから検査の申込みができる仕組み」とされているように、あくまで症状が出た後の対策であり、無症状者も含めた社会的検査ではありません。社会的検査の実施を求める世論と運動をさらに推し進めていく必要があります。

 

(大阪民主新報、2021年1月17日号より)

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