おおさかナウ

2020年12月20日

コロナ拡大 全業種・全世代に深刻な影響
PCR検査広げ感染拡大阻止を
「GoTo」でなく直接の支援を
共産党府委 コロナ緊急WEBシンポ開く

 

新型コロナ感染症の特徴を述べる谷口さん=14日

 日本共産党大阪府委員会は14日、コロナ緊急WEBシンポジウムを行い、辰巳孝太郎前参院議員・党府新型コロナ対策本部長がコーディネーターとなり、国立病院機構三重病院(津市)の谷口清州・臨床研究部長とネット対談しました。第2部では各分野のゲストを迎え暮らしや営業の実態、政治改革の展望などを縦横に語り合いました。シンポジウムは動画投稿サイト・ユーチューブでライブ配信され、「やっぱり感染経路を絶つのが一番。解説を聞き納得した」「共感できる話をたくさんありがとう」などコメントや意見、質問が多数寄せられました。同党府委員会「JCP大阪」チャンネルで視聴できます。

感染経路断つことが重要
三重病院臨床研究部長 谷口清州さん

風邪やインフルとは異なる

 谷口さんは、国立感染症研究所やWHO(世界保健機関)感染症対策部などでも勤めてきた感染症の専門家です。谷口さんは、新型コロナウイルスが血管内部の細胞に感染する特徴や、血が固まってできる血栓が、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす仕組みを解説。認知機能低下など後遺症を残す新型コロナのリスクを詳述し、「新型コロナは風邪や季節性インフルエンザとはまったく違う」と強調しました。
 谷口さんは、大都市圏を中心に感染者が急増する実態を取り上げ、「大阪の医療関係者には頭が下がる思いです」とし、経済重視の国のコロナ対策については、「ロックダウンに発展しかねない」と指摘。医療体制がひっ迫する中での需要喚起策「GoToキャンペーン」などは中止すべきだと語りました。

収束したNZの経験に学ぶ

 ウイルスに感染していても症状の見られない無症候性感染者が多くいる問題で、辰巳氏は感染拡大を抑えるためPCR検査を増やす必要があると指摘。これに応じて谷口さんも、感染の有無を調べる検査のガイドラインを示す必要があるとし、先手を打った厳しい検査体制を敷き、コロナ感染をほぼ収束させたニュージーランド政府の取り組みを紹介しました。
 同国では、発熱や上気道炎症状のある人をコロナ疑いと捉えて検査を繰り返し、検査しない人には10日間の自宅隔離を徹底。これらの厳しい基準を設定することで、臨床現場の医師が迷うことなく検査と対策を進めることが可能となり、世界に先駆けて市民生活や経済活動を正常化させたと述べました。
 谷口さんは、クラスターなど感染源と合わせ「感染経路」を断つことの重要性を強調し、「経済を回すということは、人と人とが関わり合っていくこと。人と人の接触を維持したまま感染を減らすには、感染経路を断つしか有効な手立てはない」と述べ、マスク着用や手指消毒など、感染状況を理解して国民一人一人が感染予防に取り組むことが大切だと呼び掛けました。

国が思い切った支援策を
日本城タクシー社長 坂本篤紀さん

誰も見過ごさない社会を
大生連事務局長 江田有子さん

 第2部では日本城タクシー代表取締役の坂本篤紀さん、全大阪生活と健康を守る会連合会事務局長の江田有子さんをゲストに迎えて語り合いました。

消費税などの減免・免除を

緊急WEBシンポで語り合う各氏=14日

 タクシーとバス運行、旅行業を営む坂本氏は、コロナ第1波の売上減少で保有する観光バス10台のうち3台を売却し、「バス事業は現在も約97%ダウンの深刻な状態」と窮状を訴えました。
 「毎日のように相談が寄せられ、あらゆる業種、世代に深刻な影響が広がっています」。江田さんはコロナの影響で失業した30代青年やラウンジ経営者の苦境を紹介し、生活保護制度や家賃給付金など支援制度の運用改善、給付期間延長が必要だと訴えました。
 辰巳氏は、コロナ対策で創設された「緊急資金」などの返済が来年以降始まる課題を示し、暮らしを支える施策の拡充や、税金などの猶予期間延長や減免・免除を制度化するべきだと指摘。特に消費税の負担が庶民生活を苦しめ、事業者の経営を危機に追い込んでいると語りました。

自殺に追い込まれる政治に

 坂本氏は、「自助」を強調する菅政権の無策ぶりを批判し、「貧乏人いじめの政治で自殺に追い込まれている」と指摘。高齢者への医療費負担増など悪政への怒りを表明。持続化給付金の再延長など中小事業者を支えることと合わせ、奨学金の返済免除や低所得者への思い切った支援策を国が実行するべきだと語りました。

行政が施策活用呼び掛けを

 江田さんは「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めた憲法25条の理念を示し、「だれ一人として困っている人を見過ごさない社会を、みんなの力で実現したい」と発言。国や行政が困窮者を救うため、給付金や生活保護などの制度活用を積極的に呼び掛けてほしいと訴えました。

 

 

(大阪民主新報、2020年12月20日号より)

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