やめてんか「都」構想
いりまへん維新政治 私の一言
住民投票の落とし穴
帝塚山学院大学教授 薬師院仁志さん
橋下徹氏は「都」構想をめぐり「住民投票こそ究極の民主主義」と主張してきました。住民投票は有権者が政策の是非を直接判断するので、これほど民主的な手続きはないように見えます。しかし、そこには大きな落とし穴があります。
日本国憲法は、前文の冒頭から「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と始まりますね。自治体の首長やその議会の議員も、そこに住む住民の直接選挙で選ぶと定めています。この国は代表制が原則であり、議会制が土台なのです。
民主主義の原理は「全員による統治」であり、多数決ではありません。多様な利害を調整し、少数意見を尊重して合意形成を図るのが民主主義です。そのプロセスをすべて飛び越え、「住民投票で決めればいい」というのは、「多数が勝ちだ、少数は負けだ」と言っているのと同じ。「勝ち負け」で決める橋下氏のやり方は、民主主義とは無縁です。
「都」構想より生活を
阿倍野民商婦人部長 小林禎子さん
1975年から、大阪市交通局の労働組合互助会から請け負って印鑑や年賀状、退職はがきなどの注文をいただいてきました。ところが橋下市長になってから、局内での仕事を禁止されました。私たちだけでなく、眼鏡屋や靴屋など十数軒が仕事をできなくなりました。
昔からのお客さんも、「橋下さんになっていいことは何もない」とよく言います。バスの本数も減って赤バスもなくなり、「病院に行けない」という声も聞きます。敬老パスも有料化されて、「チャージが必要です」と言われても、言葉の意味が分からない人もいます。
中小業者は大変で、業者婦人は外へ働きに出てる人も多い。「お父ちゃん元気でおるかな?」と考えながら深夜の家路につきます。
「大阪都」構想なんて大きなことよりも、生活にゆとりを持てるようにしてほしいです。橋下さんの今までのやり方を見ていたら、大阪はもっと悪くなるのではないですか?
政治の中身こそ問題
新日本婦人の会府本部事務局長 杉本和さん
新婦人では、女性4人が「都構想」の問題点を語り合う会作成の紙芝居、横断幕、シール投票の3点セットを手に、大阪市内外で宣伝してきました。
シール投票では、賛成・反対だけでなく対話を大事にしています。「よく分からないから」と「都構想」に賛成した人も、「大阪市がなくなるんですよ」と話すとびっくりしていました。
同じく賛成と答えた40代の女性は、「暮らしが大変。大阪を変えてほしい」と言っていましたが、大阪市の税金が府に吸い上げられてカジノや大型開発に使われ、市民の暮らしはよくならないことなどを話すと、「一度ビラを読みます」と答えていました。
「都構想」に賛成の人も「橋下さんがいい」という人も、現状を憂い、何とかしてほしいと思っている人が少なくありません。変えるべきは政治の中味です。市民の暮らしを応援する大阪市にするためにも、「大阪都」構想も維新政治も絶対ノーです。
(大阪民主新報、2015年2月15日付より)