おおさかナウ

2020年10月05日

「都」構想では無駄はなくせない
維新の「二重行政」解消宣伝を検証
日本共産党大阪府委員会政策委員会

松井一郎大阪市長(大阪維新の会代表)らが掲げる「二重行政の解消で無駄遣いをなくす」との主張を検証した、日本共産党大阪府委員会政策委員会の寄稿を紹介します。

 松井市長は、「都」構想で二重行政を解消し、無駄遣いをなくすと宣伝します。無駄遣いをなくすのは当然です。ところが「都」構想という制度いじりでは、無駄をなくすどころか新たな無駄が生まれます。検証してみましょう。

制度ではなく政策を変えてこそ

 維新は「今は、松井市長、吉村知事の人間関係で二重行政を解消させている」「都構想という制度で二重行政を完全になくす」と言います。
 では、「都」構想で、維新が二重行政の象徴と宣伝している「りんくうゲートタワービル」「旧WTCビル」のような無駄なハコモノは、なくせるのでしょうか。
 府議会で、この点について質問され、府は〝特別区で(旧WTCビルなど)はつくれる〟と答弁しています。また、「都」構想という制度で、「二重行政を解消」することは出来ないとも言っています。「都」構想という制度では「解消できない」のです。
 実際、橋下元市長も旧WTCビルなどは、二重行政でつくられたのではなく「政策の失敗」と言っています。政策を変えないと無駄遣いはなくせません。
 また、旧WTCビルなどのようなハコモノは、今は建設されていませんが、それは「知事、市長の人間関係で」ではなく、「無駄遣いはやめよ」の世論と運動によってです。
 無駄遣いをなくして欲しい――この願いは、制度を変えるのでなく、政策を変えることによってこそ実ります。

無駄と遅滞生み出す都構想  

 地方分権が叫ばれ、全国の自治体は、国に集中している権限や財源を自治体に移すことを求めています。
 ところが、「都」構想では、大阪市が廃止され、「特別区」になると、府を経由しての国庫補助金や区債の発行、行政指導・届出・許認可などが必要となります。地方分権どころの話ではありません。真逆です。その上、多額の行政経費の増と国、府、特別区の調整による行政の遅滞が生まれます。
 「都」構想は、「二重行政の解消で無駄遣いをなくす」どころか、「新たな二重監督、二重申請」で、多額の経費と時間、調整エネルギーを要する無駄遣いを生み出します。

住民の利益は、二重、三重に 

「二重行政の象徴」として廃止された住吉市民病院で進められている解体作業=9月29日、大阪市住之江区内

「二重行政の象徴」として廃止された住吉市民病院で進められている解体作業=9月29日、大阪市住之江区内

 維新は、府立と市立の病院や大学、図書館、体育館があるのは二重行政で、無駄と言います。そんなことを言い出すと、例えば大学も図書館も体育館も国立大学だけがあればよいことになってしまいます。「二重行政=すべて悪」は暴論です。
 しかも、維新の市政は、「二重行政の象徴」といって住吉市民病院を廃止し、中小企業信用保証協会を統廃合してきました。その弊害が、コロナ禍で鮮明になっています。
 また、コロナ対策では、命と健康、くらしと経営を守るため、国、府、市町村が二重、三重にやることの大事さも明らかになりました。住民の利益になることは、府も市も充実させることこそ重要なのです。

司令塔一本化でカジノを推進 

 松井市長らは、二重行政を解消し、司令塔を一本化して大阪を成長させると言います。その柱は、橋下元市長が「都」の試金石というカジノです。「都」構想で、住民が反対しても大型開発を推進できる体制をつくる――これが狙いです。
 また、今は大阪市を廃止しなければならない二重行政はありません。
 それなのに、大阪市を廃止、解体するために1300億円もかける――これこそ無駄遣いです。
 「都」構想をキッパリ否決することこそ、無駄遣いをなくし、くらしと経営の願いにこたえる府、市政にする確かな道です。

(大阪民主新報、2020年10月4日号より)

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