おおさかナウ

2020年08月29日

コロナ感染拡大する大阪
署名広げ世論と運動でPCR検査の抜本拡大を
日本共産党府新型コロナ関連対策本部長 辰巳孝太郎

 大阪で新型コロナ感染が拡大する中、日本共産党大阪府委員会は、PCR検査の大規模実施を求める緊急署名に取り組んでいます。大阪の実態とPCR検査を抜本的に拡大する意義などについて、党府委員会新型コロナ関連対策本部の辰巳孝太郎本部長の寄稿を紹介します。

深刻な感染増大

辰巳孝太郎 大阪での感染拡大が極めて深刻です。
 府は8月7日に陽性者数で過去最高255人を記録。以降も100人以上の陽性者を出し、幅広い年代層に感染が広がっています。池田、八尾、松原各市などの高齢者施設、大東、貝塚の医療機関などでは7月25日以降、19のクラスターが発生しています。
 大阪市では高齢者施設や障害者施設、医療機関へのクラスターが続出しています。
 大阪市の8月3日から16日までの陽性率は13・1%、大阪市を除いた大阪府は5・8%と、大阪市内での感染拡大が顕著です。大阪市が感染震源地化し、隣接市への感染につながっている可能性があります。

ひっ迫する病床

 府では8月23日現在、重症患者68人、軽症中等症患者506人(入院待機者6人含む)。府の発表によると重症病床使用率36%、軽症中等症病床使用率は47%ですが、現在すぐ活用できる病床「実運用数」を分母で計算すると、病床使用率は重症病床で54%、軽症中等症病床で59%となります。このままでは医療崩壊を引き起こす深刻な事態です。
 大阪府専門家会議の朝野座長も8月19日の会議で、「これから数週間、重症患者が1週間に100人近く発生する可能性も視野に入れた対策が必要」と述べました。
 最優先課題は感染の急拡大を押さえること。吉村知事は高齢者に早めの受診をとしていますが、PCR検査を抜本拡大しつつ、検査までの時間を短縮することが決定的に重要です。

検査を増やす鍵

 大阪府のPCR検査数は1日平均2100件(8月1日~23日)で、検査能力数では東京都の4分の1、神奈川県の半分です。茂松大阪府医師会会長もPCR検査を増やすべきと指摘しています。
 PCR検査を増やすカギは、保健所を介さない検査を増やすことです。受診調整機能付地域外来・検査センターは、かかりつけ医などが判断し、センターを紹介する仕組みで、府下で8月中に17カ所設置見込みです。
 また保険適用による検査があり、現在府下221カ所の医療機関で実施されています。(帰国者・接触者外来86カ所との重複含む)
 自治体と医師会が集合契約を結んで、地域のクリニックや診療所などでPCR検査の実施を模索するところもあります。こうした病院や診療所を充分な財政支援とともに増やすことが大事です。

最大のネックは

 ところが吉村知事は「PCR検査は足りている」と繰り返しており、これがさらなる拡大への最大のネックとなっているのです。8月6日から20日までのミナミでの時短・休業要請も、地域や従業員に対する網羅的なPCR検査は実施しませんでした。
 WHO(世界保健機関)によると陽性者の40%が無症状の陽性者からうつされており、無症状者の発見と保護がカギです。クラスター対策だけでは不十分で、市民と世論の力で自治体にPCR検査の拡大を決断させることが重要です。
 検査拡大のためには保健所の体制強化が欠かせません。早急に職員を増強するべきです。

共感を得る署名

 党府委員会は「PCR検査の大規模実施を求める緊急署名」を作成しました(上)。市民から、「PCRをもっとやれというのは『当然』」「こんなときになぜ住民投票か」という声が寄せられ、「1時間で39筆」(住之江区)、「商店街で21筆」(大正区)集まるなど、署名にとりくんだ方からは「訪問でも街頭でも対話をしやすい」と好評です。大阪府委員会のホームページでも掲載しています。署名を活用し世論と運動を広げて、PCR検査の抜本拡大を求めていきましょう。
 ニューヨークでは初動が遅れ、医療崩壊が起こりロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされました。その後PCR検査を増加させ現在では1日10万件実施。人口で比較しても大阪府の20倍の数です。結果、経済を徐々に動かしながらも感染率は1%未満に抑え込んでいます。必要なのはイソジンではなく、PCR検査です。

都構想が足かせ

 大阪府はGoToトラベルキャンペーンとの相乗効果を狙った「大阪いらっしゃいキャンペーン」もスタートさせました。感染者が減少した時こそ、PCR検査の体制強化が求められるのに、二人の首長はそれを怠り、経済再開のアクセルを踏み込んだため感染が広がったのです。
 「客観的な数値基準」と言われた「大阪モデル」は数度に渡って変更され、「赤信号」にはほとんどならず「壊れた信号」に。「都構想」住民投票は「緑ならやる」と言っていたのに、今は「赤でも延期とは限らない」と強弁しています。
 感染が広がる大阪市は「バーチャル大阪都」といいながら、貯金である財政調整基金の活用も極めて少なく、独自の施策をほとんどやっていません。「都構想」が足かせとなりコロナ対策に大きな支障がでています。「大阪市廃止分割の都構想よりコロナ対策に全力を」が府民の声です。

(大阪民主新報、2020年8月30日号より)

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