おおさかナウ

2020年07月25日

新型コロナ・猛暑から子どもたち守る学校を
市教委申し入れ・懇談14回に
八尾教育市民会議 保護者・教員の声届け

 八尾市民らでつくる「八尾の教育を考える市民会議」(八尾教育市民会議)は、コロナ禍の中、市内の保護者、学校関係者らの声を基に、休校中や学校再開後の市教委や学校の対応について十数回にわたって市教委への要望活動などに取り組んでいます。子どもを中心に学校と地域、保護者をつなぐ活動が注目されます。

子どもらはくたくた

市教委に申し入れる八尾教育市民会議のメンバー=7月16日、八尾市内

市教委に申し入れる八尾教育市民会議のメンバー=7月16日、八尾市内

 「子どもはクタクタ!!」「コロナ・猛暑から子どもの健康・安全を守る学校を!」
 八尾教育市民会議事務局が7月13日に発行した「市民会議ニュース第19号」には、学校再開後の子どもたちの様子や、8日、市教委に行った13回目の申し入れの内容、夏休みの期間を巡る市民会議の請願を審議した教育委員会議の傍聴記などが紹介されました。
 8日の申し入れでは、▽猛暑を鑑み、夏期休業前後の1週間は午後の授業をしない▽学校給食の副食を減らしていることについて、理由など保護者にきちんと説明する▽教職員の5日間の夏季特別休暇を保障▽教職員の消毒作業、トイレ掃除の作業の軽減化など、6点にわたって要望しました。
 夏休みを巡る請願は、八尾市の小中学校の夏休みを8月8日から16日の9日間にすると発表されたことに対し、「再考し少なくとも2週間に」と求めていたものです。
 教育委員会議で40分にわたる審議の結果、不採択になりましたが、「7時間授業は考えていない」など市教委事務局の説明と学校現場での状況の食い違いが会議後に判明しました。
 現役教員が新聞に折り込まれていた市民会議のニュースでそれを知り、校長に伝えるなど波紋を広げています。

チャレテ・一貫考える

 「八尾教育市民会議」は、チャレンジテストを考える市民会議と小中一貫教育を考える会を母体にして2018年9月に結成されました。
 以来、八尾の教育全体を考えようと、「今 学校はどうなっている」をテーマにした集いや、市校長会会長との懇談、市での35人学級実現の請願署名運動などに取り組んできました。
 2月以降は、新型コロナを巡って、安倍首相が全国一斉休校を要請した翌日2月28日、市が自主的に判断することや休校下での子ども、学校、家庭の状況把握と対処などを求めて緊急要望を行ったのをはじめ、7月16日までの5カ月半で14回に渡って市教委に申し入れ。懇談も行ってきました。

ネットワークを生かし

 市民会議には、全八尾市教職員組合、新婦人八尾支部、府立高等学校教職員組合中河内支部も参加しています。ネットワークを生かし、各学校や地域での子どもの動きの情報を独自に集めながら、休校中や学校再開後の子どもたちへの支援や対応について具体的に要望してきました。
 4月に入ると、かつて市内の保育園・幼稚園の統廃合への反対運動に参加した親たちと、無料通信アプリのLINEグループ「八尾教育市民会議」で合流。保護者の声が集まるようになりました。
 市教委への申し入れでは、「長い間の家での生活でリズムも狂い学習習慣も失われ、ちょっとしたことで怒ったり不安定になっている」「進級してから学校や先生から子どもヘの連絡がまったくない」「授業再開後はゆっくりと進めてください」「再開したときに勉強が詰め込みになるのでは?」など、LINEに寄せられた親の声も紹介しました。市教委は「保護者の問い合わせには誠実に対応したい」と回答してきました。

親の声を直接届けたい

 通常授業再開を前にした6月4日には、LINEグループに参加している親たちが、親の声を直接届けたいと保護者有志で市教委に懇談を申し入れ。感染防止対応や学校行事、プール授業などについて懇談し、学校再開に向けて、市教委・学校として、「子ども・保護者の声を聞くアンケート」を実施してほしいと要望しました。
 八尾教育市民会議が収集してきた声や保護者らの要望は、市議会本会議でも日本共産党の谷沢千賀子市議が取り上げました。
 分散登校や学校再開後も、同じ給食費で副食が3品から2品になったこと、ある小学校では10分あるはずの休み時間が5分しかとられていないことなどが問題になるとともに、「毎日、消毒で疲れています。授業の準備が大変。とにかく、学校に人を増やしてください」など、現場教職員からも悲鳴が上がっています。「八尾教育市民会議」では、その一つ一つの声を引き続き市教委に届けています。

新しい教育運動として

 市民会議事務局長で元中学校教員の飯田謙二さん(71)は、「市民会議を地域の新しい教育運動として発展させていきたい」と話し、共同代表の馬場野成和さんは「市内全校区に広げて、地元の市民やPTAと共により大きな力にしていきたい」と話しています。

(大阪民主新報、2020年7月26日号より)

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