おおさかナウ

2020年07月25日

支援の輪に〝元気もらった〟
民青同盟 学生支援でフードバンク

 コロナ禍の下、学生に無償で食品を提供しようと民主青年同盟が「学生応援!ふーどばんくプロジェクト」に取り組んでいます。コメやパン、野菜など、新聞折り込みやSNS、口コミを通じて寄せられた食品を手にした学生たちから、「温かい支えに元気をもらった」「大変だけど頑張りたい」と感想が寄せられています。

コロナ禍で学生生活ぎりぎり

学生を支援しようと多くの食品が提供されました=16日、堺中区内

学生を支援しようと多くの食品が提供されました=16日、堺中区内

 「おいしそうな食品がいっぱい!」。16日午後4時過ぎ、堺市中区の府立大白鷺キャンパスのそばにある喫茶店に姿を見せた学生から、歓声が上がりました。
 コメとジャガイモ、ニンジンを手にした女子学生は、「久しぶりに肉じゃがを作ってみたい」と笑顔を浮かべ、別の女子学生も「コロナに負けず、しっかり栄養を摂って勉学に励みたい」と言いました。
 食料支援プロジェクトは、民青同盟大阪府委員会(酒巻眞世委員長)と同堺泉北地区委員会が、「奨学金やアルバイトで生活費を賄う大学生を支えたい」と企画し、7月初旬から毎週実施しています。
 日本共産党堺地区委員会の協力を受け、『しんぶん赤旗』読者への折り込みビラで食品提供を告知すると、SNSや口コミで支援の輪が広がり、缶詰やレトルト食品、菓子、野菜ジュースなど大量の食品が寄せられました。

卒論準備や就職活動が進まずに

 農家から生鮮野菜や果物などの差し入れも届き、「コロナに負けないで!頑張ろう」とメッセージカードを付けて、コメ3合の袋詰めを準備しました。
 7日の第1回目に続き、2回目の実施となったこの日は、開店前から長い列ができ、終了時刻まで約50人の学生が途切れることなく訪れました。
 「コロナの影響でバイト収入がゼロに」、「何を食べたらいいのか毎日困っている」「卒論準備や就職活動が進まない」など、コロナ禍での学生生活の厳しさを打ち明ける学生たち。工学部2年の女性は、オンライン講義に対応するため月額5千円のモバイルルーターを新たに契約。「アルバイト収入も激減し、生活費はぎりぎりの状態」と訴えました。

「協力できれば」と地域の支援が

 受け渡し会場は、大学そばの喫茶店「儀間コーヒー」のオーナー、伊集多美さん(77)が店舗の一部を提供。常連客の桝田ルリ子さんは「自分も何か協力できれば」と缶詰を提供しました。食品配布を手伝った日本共産党の藤本幸子堺市議は、「学生たちの笑顔にこちらもうれしくなりました。学費軽減や生活支援に取り組みたい」と話していました。
 7月中は22日に3回目が実施され、8月初旬にも第4回目を予定。7月31日まで食品の提供を呼び掛けています。

学生アンケートを実施

「1日2食」「バイトゼロ」…
学費軽減など支援策を

 「週3回のバイトがゼロになり、収入が途絶えた」「1日2食で過ごしています。これ以上食費は削れません」
 食料支援の取り組みを通し、生活をアルバイト収入に頼る学生たちがコロナ禍で深刻な困窮状態に追い込まれている実態が、浮き彫りになっています。
 民青府委員会が実施した学生アンケート。オンライン講義による修学への影響の他、学費や奨学金、食費や家賃の支払いを巡る悩みが多数寄せられ、入校禁止が続く中で、「サークルにも加入できず、友達もつくれない」など、孤立している新入生がいることも見えてきました。

研究テーマ変更や実験の中断も

 講義・研究に関しては、「大学に入れない状態が長く続き、図書館利用の制限など研究テーマの見直しを余儀なくされている」、「オンライン講義だけで対面での質問と議論が十分行えず、研究課題が深めきれない」、「マウスを使った実験室での研究が行えず、卒業論文の作業が進まない」など、多くの学生が影響を受けています。
 生活面では、「2カ月間アルバイトができなくなった」、「バイト先の飲食店が休業し、7万円の月収が3万円に減った」など、収入減による生活不安が共通して語られました。
 「下宿生活を続けられるか検討中。このまま収入減少が続けば、家賃の支払いが困難になる」との声も出ています。「自宅まで3時間半かかるので、できれば下宿生活を続けたい。奨学金も受けており、学費軽減が願い」と切実な訴えがありました。
 プロジェクトを企画した民青府委員会の佐田佳祐常任委員は、「困っている学生を見過ごすことはできないと、食料支援に取り組み本当に良かったです。学生も笑顔になり、私たちも民青同盟の役割を再認識できました。アルバイト頼みだった学生生活が、新型コロナで一気に立ち行かなくなっています。1人で不安を抱え込み、経済的困窮を相談できない学生が多いことも実感しました。学生支援をいろいろな形で広げていきたい」と話していました。

(大阪民主新報、2020年7月26日号より)

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