おおさかナウ

2014年12月29日

道理ない
〝プレ住民投票〟

法律で住民投票は不可能

大阪市議会野党4会派
共同会見で見解

「住民投票のための住民投票」の問題点について見解を表明する日本共産党の山中智子幹事長(右端)ら大阪市議会野党4会派の幹事長=12月19日、大阪市役所内

「住民投票のための住民投票」の問題点について見解を表明する日本共産党の山中智子幹事長(右端)ら大阪市議会野党4会派の幹事長=12月19日、大阪市役所内

 大阪市を廃止して特別区を設置する「大阪都」構想の「協定書」が、大阪市議会と府議会で否決されたにもかかわらず、維新系の「市民団体」が「協定書」の是非を「住民投票で決めるかどうかを決める住民投票(プレ住民投票)」を行うための条例制定を求めて直接請求署名運動を進めている問題で、大阪市議会の日本共産党、公明党、自民党、民主系の4会派の幹事長が2014年12月19日に共同で記者会見を行い、条例案や署名運動には多くの問題点があるとした共同見解を発表しました。

 橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)らは「協定書」を議会ではなく、「住民投票で決めるべき」などと主張していますが、「大都市における特別区設置法」では、住民投票は関係議会の承認がなければ実施できないと決めています。

 見解では「多くの不備があった協定書は10月27日(2014年)に大阪府・大阪市の両議会で否決されている。すでに協定書は無効となって存在していないので、いくら署名を集めても住民投票は実施できない」と強調しています。

 また署名運動は市民団体が行っているとはいえ、提唱者は橋下市長であり、維新の会が深く関与しているのは明白であり、いっせい地方選挙の事前運動の疑いがあると指摘。そもそも条例案の提案は橋下市長や維新の会でも可能であり、署名活動の必要はないとしています。

 日本共産党の山中智子幹事長は「(見解で指摘した)重要な情報は隠しつつ、市民の中で対立や混乱が生まれることを大々的にやろうとしていることには、『違う』と申し上げたい」と批判。「『協定書』は存在せず、署名集めは意味がない」(公明党)、「直接請求の代表者には維新議員の後援会長などが名前を連ねており、維新の会がバックで署名運動を先導しているのは明白」(自民党)、「否決され、存在していない『協定書』を選挙目的の手段にするもの。見当違い」(民主系)などの発言がありました。

 一方、橋下市長は19日の記者会見で「『協定書』はある。議案が否決されただけだ」などと強弁。事前運動との疑いについて「選挙運動にならないような形で署名をやればいい。きちっと線を引けば問題ない」などと述べました。

 署名運動を進める維新系の市民団体は20日夜に大阪市中央区内で集会を開催し、橋下市長、松井一郎知事、名古屋市の河村たかし市長らが出席しました。「住民投票のための住民投票」は「都構想の賛否を問うものではない」という建前ですが、橋下氏はあいさつの大半を「大阪都」構想の説明に費やしました。

 橋下市長は「府議会、市議会が了承すれば住民投票で決めるという状況になっているにもかかわらず、維新の会以外は十分な議論もなく否決した」と攻撃。今回の署名運動について、「民主主義を成熟させる重要な機会になる」「世界と勝負する大阪をつくるために、皆さんと力を合わせて挑戦する」などと語りました。

(2014年12月28日・2015年1月4日付「大阪民主新報」より)

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