おおさかナウ

2020年05月31日

新型コロナ 府議会本会議で論戦
日本共産党 内海公仁府議が要求
吉村知事 冷たい対応に終始

 新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言が大阪で解除(21日)された中、26日に開かれた府議会本会議で日本共産党の内海公仁議員が一般質問し、新型コロナに最前線で対応し、物資不足や億単位の減収、過重労働などに直面している医療現場への支援を求めました。吉村洋文知事は、医療への支援策に一般事業者への25万円の支援金を挙げるなど、冷たい対応に終始しました。日本共産党府議団はこれまで4度に渡り府に申し入れし、新型コロナウイルスから暮らしと営業を守る緊急提案を行っています。しかし5月府議会で成立した補正予算の内容は国の施策に横並びのものも多く、医療従事者などへの支援も府民の募金に頼るものです。

内海府議

内海府議

感染拡大防止 PCR検査の抜本的強化 医療現場への財政支援を

大阪の検査数は少ない

 PCR検査数が大阪はあまりに少ないと指摘されています(グラフ)。
 しかし吉村氏は、「決して検査件数が少ないという状況ではない」「1日当たり1400検体実施できる体制を整えた」と答弁。しかし実際の1日の検査数は、陰性確認検査を含めても、5月14日の793件が最大です。
 内海府議は「保健所は電話がつながりにくく、検体採取が決まっても2~3日かかり、結果が出るまで数日待機するのが実態だ。検査を必要十分な規模とスピードで実施することが必要だ」と強調し、検査体制の抜本的強化を求めました。

資材不足を繰り返すな

 新型コロナに対応する医療機関でマスクや防護服が不足し、吉村氏らが雨がっぱの提供を呼び掛ける事態になりました。内海府議は「医師や看護師が何日も同じマスクをつけざるを得ないなどという事態を、2度と繰り返してはならない」と述べ、防護資材の不足や人的体制の確保などへの支援強化を求めました。

軽症者の家族に支援を

 無症状や軽症の感染者がホテルなどで療養する場合、「残された家族が濃厚接触者である場合は、各市町村の福祉機関ではとても対応できない」と内海氏は指摘しました。
 吉村知事は「市町村が適切に対応することとなっている」と応じるにとどまりました。

暮らしと営業 要請外の協力金は拡充し 非正規に「給付金」創設を

休業要請外へ支援金を

 府は休業要請した事業所への協力金を給付しますが、対象は府内中小企業の約4分の1と限定的です。内海氏は「緊急事態宣言が5月まで延びた下で、影響は広範囲に及んでいる」と指摘し、減収要件の緩和や期間の延長、複数回の給付などを提案しました。
 東大阪商工会議所の調査で前年同時期比の売上が「減少見込み」の答えが、2月下旬から3月上旬には41・5%でしたが、約1カ月後の調査では73・7%へと激増しています。しかし吉村知事は「要件緩和や対象拡大の予定はない」と突き放しました。
 一方で新たに設ける、休業要請対象外の事業者への支援金について、内海氏が「予算が不足する事態になったら増額すべき」と求めたのに対し、吉村知事は「その時点で適切に判断する」と応じました。

非正規にも「給付金」を

 府商工労働部は4月末に府民3千人を対象にネット調査し、そこでは「収入や貯蓄が減り、生活費の支払いに困っている」という回答が、非正規雇用者と自営業者それぞれで29%を超えています。
 内海氏は、収入が減少した非正規労働者に、最低1人当たりの「暮らし応援緊急交付金」を創設するよう提案しました。
 吉村氏はこれにまともに答えず、緊急小口資金や住宅確保給付金など既存の制度を挙げただけでした。内海氏は「苦しい府民の実態に向き合い、踏み込んだ施策として提案を受け止めよ」と述べ、引き続き実現を求めていくと表明しました。

国保減免に水を差すな

 新型コロナの影響で収入が減少した世帯に、国民健康保険(国保)料の減免をした市町村に、国は財政支援するとしています。
 内海氏が「減免した市町村が、府からの交付金で不利にならないようにすべきだ」と求めたのに対し、吉村氏は「国の財政支援kouroues-^よる減免が不利な取り扱いにならないことを念頭に、市町村と協議する」と応じました。
 内海氏は合わせて、「市町村が国に上乗せして独自減免する場合でも、府がそれを理由に交付金の加算から除外することは、国や市町村の努力に敵対する行為になる」と釘を刺しました。

子どもと教育 子どもたちは深刻な状態 小中学校に相談支援員を

 内海氏は「子どもや学校の実態をつかみ、時間をかけて丁寧に対応するための人的補強が必要だ」とし、府内すべての市町村立小中学校に「子ども相談支援員」を複数規模で、今年度いっぱい配置することを提案しました。
 国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が3月発表したアンケートから「3食コンビニ」「登校日でも友だちと遠く離れて座り、ランチも一人で黙々と食べ、話したらダメ、一緒に遊んだらダメ、とてもつらい」「自分は友だちと会わないようにしているが、普通に遊んでいる子がいる。学校が始まったら自分が孤独を感じるのではと不安」などの声を紹介しました。
 内海氏は「現場で必要なのは、子どもと直接対応できる体制の強化だ。教員加配の活用はもちろん、学校での指導体制の増員を」と強く求めました。

政治的立場超え全力を

 内海府議は「今は新型コロナ対策に、政治的立場を超えて全力を尽くす時。大阪市を廃止する『都』構想議論は府民・市民に大きな『分断』を持ち込む。本当に新型コロナ対策での『出口』を見出すため、PCR検査体制の抜本的拡充と医療崩壊を防ぐための緊急支援、すべての府民、事業者に対して長期を見据えた補償をすることなど課題が山積している。知事はそのためにこそ職責を果たすべきだ」と主張。大阪で進めてきた保健所や医療機関の削減、インバウンド頼みの「成長戦略」、「何でも民営化」「公的責任放棄」から大きく舵を切らなければならないとし、「カジノ誘致や『都』構想などは直ちに中止して、財源と職員体制を新型コロナ対策に集中すべきだ」と主張しました。

人口1千人当たりのPCR検査件数

5月20日現在。厚労省「各都道府県の検査陽性者の状況(空港検疫、チャーター便案件を除く国内事例)」および「Our World in Data」より作成

5月20日現在。厚労省「各都道府県の検査陽性者の状況(空港検疫、チャーター便案件を除く国内事例)」および「Our World in Data」より作成

(大阪民主新報、2020年5月31日号より)

月別アーカイブ