万博工事費未払い救済へ
野党4会派 特措法改正案提出
日本共産党、立憲民主党、れいわ新選組、衆院会派「減税保守こども」の野党4会派は15日、大阪・関西万博工事費未払いの業者を救済するための議員立法「大阪・関西万博特措法改正案」を衆院に提出しました。与党や他の野党にも賛同を呼び掛け、来月召集の通常国会での成立を目指しています。
万博協会・国にも責任
30社10億円にも上る被害が
大阪・関西万博(4月~10月、大阪市此花区夢洲)の海外パビリオン工事を巡っては、国、大阪府、万博協会(日本国際博覧会協会)に、マルタ、ドイツ、ルーマニア、セルビアなど11カ国のパビリオンの建設に関わった各業者から工事費未払いの相談があり、被害企業、被害総額は少なくとも30社、10億円に上ると言われています。
協会が債権買い取り立替え
法案は、万博協会の業務の特例として、万博の会場やその他の施設に関する工事(解体工事も含む)での工事請負代金の債権の買い取りなどを認め、被害事業者に立て替え払いができるようにするもの。
提出後の会見で、提案者の立憲の米山隆一議員は、同法案で「万博協会が、さまざまな未払い債権の実態に応じ、柔軟な対応ができる」と説明しました。
与党議員も問題だとの認識
同党の大西健介議員は、万博開催中の10月、衆院経産委員会が大阪市内で被害業者からの聞き取りを行った際、与党議員からも問題だとの認識が示されたとし、「与野党関係なく問題を共有できている。粘り強く働き掛けていきたい」と述べました。
同党の尾辻かな子議員は、「当事者の皆さんは、今年1年笑ったことがないとか、不払いになると下請けの仕事も来ないなど、八方ふさがりの状態だと聞いている。とにかく審議に入って、成立に持っていけるように力を合わせて頑張りたい」と述べ、同党の森山浩行議員は「当初は『民民』の問題だと言われていたが、国会で政府は放っておかないというメッセージを出した。ゼロゼロ(無利子無担保)融資など他の方法、法改正を必要としないやり方も含め、しっかり推進していく」と述べました。
れいわの大石晃子議員は、「工期が間に合わないとか、被害が生まれるのは有識者も指摘していた。主催者である万博協会、自民・維新連立政権に一刻も早い被害救済を求めたい」と述べました。
法律違反を処分する責任が
日本共産党の辰巳孝太郎議員は、政府や万博協会が責任を持って解決しなければならない理由は二つあると指摘。未払いを起こしている元請企業の一つは、会場建設の遅れが指摘されていた中で、経産省や大阪府知事などが乗り出して集めた企業だと指摘し、「遅れが分かっていながら、延期や中止をせず進めた万博協会や国にも責任があると述べました。また、国や都道府県には建設業法に基づく監督処分の権限があるのに放置されているとし、「民民の問題ではない。法律違反を処分する責任が政府にはある。一刻も早い解決を求める業者の声に応えるためにも、まず債権を買い取って解決する責任がある」と述べました。
(大阪民主新報、2025年12月21日号より)
