ダイキンPFAS
公害調停申請人団を結成
思想信条の違い超え共に
発がん性が指摘されているPFAS(有機フッ素化合物の総称)を製造・使用・排出してきたダイキン工業淀川製作所(摂津市)に対し、地元の摂津市民らによる公害調停が、いよいよ動き出します。調停の申請人団となる「ダイキンPFAS公害調停をすすめる会(すすめる会)」が13日、摂津市内で結成総会を開催。思想信条や立場の違いを乗り越えて、取り組みを進める決意を固め合いました。今月23日に大阪府公害審査会に調停を申請します。
「すすめる会」23日に調停申請へ
ダイキン工業淀川製作所は1960年代後半からPFOA(PFASの一種)を使用し、82年からは製造も開始。2012年に製造を中止しましたが、大阪府の調査(ことし7月)では、淀川製作所周辺で全国一高濃度のPFOA汚染が確認されています。
今回の調停では、淀川製作所が製造・使用・排出してきたPFOAについて①同社が公表していない環境調査など一切の資料開示②継続的な環境調査と健康調査③住民参加の協議会による汚染対策・被害者補償の枠組みづくり――を求めます。
すすめる会は地元摂津市民を中心に、1千人規模での申請を目指しており、結成総会までに約650人の申請人が集まりました。17日現在で730人となっています。
団結を積み重ね
総会では、申請呼び掛け人の清水信行氏(淀川製作所の東側に位置する摂津市一津屋在住)が、「近くに住むだけでなく、ダイキン工業で40年間勤めてきた。発展してきた運動が、大きな一歩を踏み出す総会に」とあいさつ。一津屋在住で「公害問題を考える会」の和田壮平氏も、「一人一人の力は小さくても、団結して声を上げてきた。その積み重ねが、きょうの総会につながっている」と話しました。
PFAS問題を長年研究し、PFOA汚染の発生源が淀川製作所であることを突き止めた小泉昭夫・京都大学名誉教授は、「党派を超えた『何が正義か』が問われるたたかいだ」と強調。京都府立大学の原田浩二教授は、「ダイキンは2012年以降もPFOA以外の有機フッ素化合物を作っているだけに、PFASは現在進行形の問題」と述べました。
大阪PFAS汚染と健康を考える会専門委員長の金谷邦夫医師は、1190人を対象にした血液検査(2023年)では、大阪府民のPFASの血中濃度は全国平均の2倍で、摂津市や東淀川区で血中濃度が高い人が多いと話しました。
弁護団長の池田直樹弁護士は、ダイキン工業が「企業秘密」の名で情報公開しないなど、さまざまな「壁」を突破する必要があると強調。「そのためには、地元を中心に多くの人が声を上げることが大切。政党支持や考え方の違いを、『摂津をきれいにする』という一致点で乗り越え、ダイキンに対策をとらせよう」と呼び掛けました。
命に関わる問題
世話人の一人で、摂津市一津屋連合自治会の穂積範仁会長は、「(PFAS公害は)命に関わる問題であり、わが事とすることが一番大事。人間として、この問題をどうするかを、私は絶えず自分に問い掛けているし、ダイキン工業と同じテーブルについて、誠実に対話したい」と話しました。
共同代表の一人、渡辺勝彦氏(農業法人アグリズム摂津代表取締役)は、摂津市内で米と特産品の「鳥飼ナス」を栽培しています。渡辺氏は閉会あいさつで、「住んでいる人や農作物を作っている人には不安がある。現実はどうなのか、今後どうするのか、見極めていきたい。不安を取り除くため、より多くの(人々の)輪をつくろう」と呼び掛けました。
引き続き申請人を募集
支援・募金も呼び掛け すすめる会
ダイキンPFAS公害調停をすすめる会は、引き続き申請人を募集しています。申請人になれるのは、ダイキン工業淀川製作所からのPFAS汚染による影響を受けた恐れがあり、または今後受ける恐れがあると考える人で、年齢・性別・国籍は問いません。
具体的には摂津市とその近隣市町村に居住、通勤、通学している人や、過去にそのような状況にあった人が対象。参加費は1人2千円(家族で申請人になる場合は、1世帯当たり2千円)です。
また、公害調停を支援する「サポーターズ」への参加や、活動費用のための募金を広く呼び掛けています。連絡先06・6268・3970(代)大阪PFAS汚染と健康を考える会気付。募金の振込先は三井住友銀行歌島橋支店(店番126)、普通預金3643047、ダイキンPFAS公害調停をすすめる会。郵便貯金の口座も開設予定。
すすめる会のホームページ
http://d-pfas.jp/
(大阪民主新報、2025年12月21日号より)

