おおさかナウ

2025年11月01日

大阪教職員のつどい
競争主義と管理主義をやめさせ
子どもと教育を守るたたかいを

「大阪教職員のつどい」で参加者からの質問に答えながら講演する志位氏=10月25日、大阪市中央区内

「大阪教職員のつどい」で参加者からの質問に答えながら講演する志位氏=10月25日、大阪市中央区内

 「志位和夫・日本共産党議長としゃべろう 大阪教職員のつどい」(10月25日、大阪市中央区内)は、事前に寄せられた教育現場の実態や教職員の悩みなどに基づいて、実行委員会がまとめた質問に、志位氏が答えました。
 「維新政治と教育を巡る問題をどう見るか」との問いについて、志位氏は「維新政治ほど、教育の 条理と最も合わない邪悪な政治はない。徹底した競争主義、管理主義と いう政府・自民党の教育政策を、最悪の形で押し付けてきた」と強調。維新の「教育破壊の三悪政治」を告発しました。

連帯責任という前代未聞の学テ

 第1は、全国一斉学力テストよりもひどい、大阪府独自の学力テスト体制。小学校の「すくすくウォッチ」、中学校の「チャレンジテスト」に全国学力テストが加わります。中学3年の「チャレンジテスト」は「団体戦」で、その学校の平均点が低ければ、その学校の生徒全体の内申点が下がるという、「前代未聞の連帯責任制」(志位氏)をとっています。
 「これでは、テストの苦手な子どもはたまらない」と、志位氏。「クラスで『明日のチャレンジ(テスト)休もうかな』とつぶやくと、まわりの子どもが拍手したということも起きた。どれだけ子どもたちの心を傷付けているか分からない。こんなテスト体制は中止を」と話しました。

教職員に対して異常な締め付け

 第2は、教職員への締め付けも、全国有数のひどさだということ。維新がまずやったのは、卒業式などでの「君が代」起立の強制。知事時代の橋下徹氏は、「起立しない教員は絶対に辞めさせる」と憲法違反の放言を行い、行政の方針に逆らう教職員を徹底した処罰で脅そうとしたことは許せないと、志位氏は語りました。
 府の「教育評価育成システム」では、教員は校長の経営目標の達成に、どう寄与するかの目標を決めさせられ、その達成度を4段階で評価。一段階下がると、一時金が最大10万円も下がるという締め付けが行われています。
 志位氏は、「教育は自由な空間でこそ輝く。国民に対してではなく、維新 に対して直接責任を負わされる教育になっている。こんなあべこべな事態は、たださなければならない」と語りました。

維新政治がまぶした〝2つの毒〟

 第3は、全国に例を見ない露骨な高校つぶし。大阪で私立高校の無償化が、全国に先駆けて進んだことについて、志位氏は、「大阪の私学関係者、高校生の皆さんの長年の運動の成果」と指摘。「問題はここから先にある。維新は、これに高校つぶしの〝2つの毒薬〟をまぶした」と述べました。
 第1の毒は、私学経常費への助成方法の改悪です。それまでは学校の規模、授業料、教員数や人件費、生徒数など、学校の教育全体を基準に配分していましたが、維新は生徒数だけを基準に配分し始めました。そうすると、私学は生徒獲得の競争に走らざるを得ません。
 志位氏は、「競争に勝った私学は生き延び、負けた私学は淘汰されるという、弱肉強食の世界を高校に持ち込んだ。しかも、大阪の私学助成はワースト2の水準。私学助成を増やすべきなのに、私学の淘汰に使うのは、言語道断だ」と批判しました。

私学も公立も淘汰の高校つぶし

 第2の毒は、府立高校の淘汰の仕組です。府立学校条例(2012年)では、入学志望者の数が3年連続して定員割れした高校で、その後も改善の見込みがないと認められるものは、「再編整備」の対象に。136校あったのが10年間で21校減らされ、40年までに104校まで減らす計画です。志位氏は「私学も公立も淘汰するやり方は、中止を」と話しました。
 志位氏は、「この三悪政治をやめさせる一番の早道は、維新政治を終わらせることだ」ときっぱり。「日本共産党と協力して、子どもたちと教育を守るたたかいをやって、一歩でも二歩でも現状を変えていく。悪いこと には毅然と立ち向かおう」と呼び掛けました。
 また私立高校の経常費助成金の配分基準を、生徒数頭割り(パーヘッド方式)にするのをやめ、学校全体としての実態に即したものにすべきだと強調。授業料が63万円を超える分を学校法人の負担とする「キャップ制」も、経営の大きな圧迫となり、私学ならではの特色ある教育を行う上で障害となるとし、抜本的に改めるべきと話しました。

権力的介入止め教育条件整備を

 「教育をこれからどう変えるか」という質問に志位氏は、「政治が教育に対して『やってはならないこと』をやめ、『やるべきこと』をしっかりやる。これに尽きる」と強調しました。「やってはならないこと」は、教育内容に対する権力的介入であり、「やるべきこと」は教育条件の整備です。
 志位は「この二大原則を守る教育が必要。自民党や維新は、これと正反対のことをやっている」と指摘。教育内容に対する権力的介入の最たるものは、競争と管理の教育の押し付けだとし、全国一斉学力テストを中止するなど、競争原理と序列主義を教育現場から一掃しようと話しました。
 一方、「やるべきこと」をやっていない最たるものは、教員不足だと強調。教育予算を増やし、小中高で30人学級を実現し、大学の学費は無償を目指して半分にするなどの日本共産党の抜本的な提案を示しました。

子どもたちには一瞬一瞬が大切

 「共産党が地方自治体や国会で実現したことは」との問いに、志位氏は来年度から国の制度になる予定の学校給食無償化や、少人数学級の前進を挙げました。教員定数の改善は、全国知事会など地方三団体も求めるなど、党派を超えた要望になる中、文科省は来年度予算の概算要求で、不十分だが基礎定数を計画的に増やす「定数改善計画」を盛り込んだことを紹介しました。
 志位氏は、「大阪の教職員の皆さんは、現場で本当に苦労されて、たたかっておられる。政治が変われば教育は一気に変わる。ただ、政治が変わるまで子どもたちは待ってくれない。子どもたちにとっては一瞬一瞬が大切。教育を良くするために一緒に頑張りたい」と話しました。
 参加者からは「政治が変われば
 教育が変わるという言葉に、勇気付けられた。いま大変な思いをしている子どもたちの顔が、たくさん思い浮かんだ」などの感想が寄せられました。

(大阪民主新報、2025年11月2日号より)

 

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