どう見る参政党
③危険な「日本人ファースト」
「当たり前」だと繰り返し叫んで
参院選で参政党が掲げた最大のスローガン「日本人ファースト」は、差別や排外主義をあおる主張だと批判されてきました。
維新を離れて比例で当選した梅村みずほ参院議員は、選挙戦最終日の7月19日、JR大阪駅前で、抗議する市民に向かって叫びました。
「日本が大好きと言ったら差別だという人は、日本人を差別しているのだ。日本人ファーストは、当たり前のこと。この日本は日本人のための国。日本だからです」
日本人は圧倒的な多数を占める
大阪選挙区で当選した宮出千慧参院議員も、開票結果を受けた会見で、「日本人ファーストは、本当に当たり前。日本で日本人をまず大切にする。アメリカでもフランスでもドイツでもやっている」などと語りました。
しかし、「日本人ファースト」は、梅村氏や宮出氏が言うような「当たり前」の主張でしょうか。
総務省統計局(ことし3月1日現在)によると、日本の総人口は1億2342万人です。日本人は1億1985万5千人で、外国人は356万5千人。「日本人ファースト」は、圧倒的な多数派を優先し、少数派の外国人を追い詰めることにつながります。
参政党の熱心な支持者に、同党の政策や主張に疑問や反対意見を出すと、「あなたは本当に日本人か?」と言い返されることがあります。しかし「日本人」を定義するのは、参政党の側。意見が合わない相手に、いくらでも「反日」のレッテルを貼ることができます。
ファースト(第1)と言い出せば、セカンド(第2)、サード(第3)と順位を付けることになります。勝手な線引きや分断の行きつく先は差別。他者や相手の存在・人権を認めず、排除の対象は「外国人」から、「生活保護利用者」「LGBTなど性的少数者」「高齢者」などへ際限なく広がっていく危険があります。
全ての人間に権利と自由がある
そもそも、世界と日本の歴史の到達点は、人間は誰もが基本的な権利を保障される存在だということにあります。
世界人権宣言(1948年)は第2条で「すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享受することができる」と定めています。
日本国憲法は前文で、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とうたいます。
外国人は長年、国民健康保険や国民年金制度から排除されてきましたが、日本が1979年に国際人権規約、1981年に難民条約の締約国となって以降、加入できるようになりました。
こうした国際的な人権のルールに反して「日本人ファースト」を掲げる参政党は、日本人に何をもたらそうとしているでしょうか。同党の参院選公約には「終末期の延命措置医療費の全額自己負担化」があります。
参政党は「終末期における過度な延命治療に高額医療費をかけることは、国全体の医療費を押し上げる要因」「胃瘻(いろう)・点滴・経管栄養等の延命措置は原則行わない」などとしています。
全額自己負担は何を意味するか
終末期の医療に「全額自己負担化」とは、経済的にゆとりのない人に、「お金がないなら、治療を打ち切って早く死ね」と言わんばかりの異常な政策に他なりません。
「無駄な医療費の削減」では、「薬局で購入可能なOTC医薬品(市販品)で対応可能な疾病は、原則処方しない」ことも公約。自公維3党が合意し、国民民主党も賛同する「OTC類似薬の保険外し」と同じです。(随時掲載)
(大阪民主新報、2025年9月7日号より)