おおさかナウ

2020年04月05日

少数会派・無所属を議運から排除
堺市議会 維自公ら条例改悪

 3月27日の堺市議会本会議で、議会運営委員会の委員数を削減し、少数会派と会派に属さない議員を排除する「堺市議会委員会条例の一部を改正する条例」が、大阪維新の会、公明党、自民党、市民クラブにより突如提案され、強行可決されました。
 改正案は、これまでの議事運営のルールを無視し、最終本会議直前の3月25日に議会運営委員会に突然提案されました。維新、公明、自民などの提案会派が多数で押し切って、本会議に提案。日本共産党や無所属議員が反対しましたが、多数決で可決されました。
 党市議団は本会議後、市内で抗議宣伝を行い、共産党堺地区委員会は同日、抗議声明を発表しました。

歴史的暴挙

 声明は、議会運営委員会は地方自治法に基づき、議会運営を円滑に行うために設けられていること、堺市議会では、少数会派や会派に所属しない議員も表決権を持って参加することを保障し、議会制民主主義を連綿と続けてきたと指摘。強行的な条例提案・可決を「この誇るべき歴史を破壊する歴史的暴挙」と批判しています。
 また、共産党や長谷川議員を排除し「密室」で事前調整を図っていたことも本会議で明らかになったとし、「内容もやり方も、民主主義を根底から乱暴に踏みにじり、堺市議会の歴史に最悪の汚点を残すもの」だと指摘。暴挙に断固抗議するとともに、「民主主義と市民の命・くらしを守るため、多くの市民の意見が反映され民主的な議論が保障される堺市議会を目指して、全力を尽くす」と述べています。

 堺市議会で、議会運営委員会の委員数を削減する条例改正が自民・維新・公明などによって強行された問題について、日本共産党の森田晃一幹事長の寄稿を紹介します。

堺市議会 議会運営委から少数会派等排除
議会制民主主義の歴史を破壊する暴挙
維新主導の堺市政にストップを

日本共産党堺市議団幹事長 森田晃一

議会ルール無視し提案

条例の改悪が強行された本会議後、街頭で訴える日本共産党堺市議団の森田晃一市議=堺市堺区内

条例の改悪が強行された本会議後、街頭で訴える日本共産党堺市議団の森田晃一市議=堺市堺区内

 3月25日の最終議会運営委員会で問題は起こりました。議運室で着席するなり、初めて見る資料がいきなり配布されました。交渉会派と少数会派を代表する議員12人で構成する議会運営委員会の委員数を11人に削減して、実質的に少数会派を排除するという市議会委員会条例を改悪する条例案でした。
 堺市議会における議事運営に関する要綱の第4条の3項には、「議員提出の条例案は、原則として2日目本会議に上程するものとし、あらかじめ各会派等の意向を徴するため、初日運営委員会に当該文案を提出しなければならない」という申し合わせが規定されています。その最低限のルールを完全に無視し、提案されたのです。
 私は無所属の長谷川俊英議員と共に、提案会派の大阪維新の会、公明党、自民党に対して、本条例案の趣旨や目的、緊急性の有無等について尋ねました。ところが、維新の委員は、「目的は鑑(かがみ)に書いている」旨の発言を繰り返し、「本会議で質問すればそのとき答える」「自らの持論を展開してください」といった旨の発言を行い、不誠実な態度に終始しました。共同提案した公明党と自民党は一切、口を開きませんでした。
 議運委員長が「これ以上話をしていても水かけ論になる」という旨の発言をし、無理やり多数決で表決をとりました。
 さらに3月27日の最終本会議の議論の中で明らかになったのは、この問題をめぐって、日本共産党と長谷川議員を除いた維新・公明・自民など4会派だけで密室会議が行われていた事実です。非民主的な議事運営を平然と行い、最終本会議に強行的に上程し、数の力で採決しました。

議員平等原則ないがしろに

 地方自治法では地方議会の諸原則として、「議員は平等であって、当選の際の得票数や年齢、当選回数やその他、性別、信条等にかかわらず平等に発言の自由を有し、また、各一票の表決権をもつものであり、最も基本的な原則である」と謳われています。
 ところが条例改悪に伴う「堺市議会運営委員会要綱の一部を改正する要綱」には、「非交渉会派等の議員の全てを代表して1人が委員外議員として委員会に出席できる」とある一方、「委員外議員は表決権を有しない」と明記。議員平等の原則をないがしろにするものに他なりません。

堺市の民主主義を破壊する

 1987年5月13日の堺市議会の各会派代表者会記録(抄)に記されている議会運営委員会設置要綱を見ると、交渉団体でない会派も議運で、委員会を組織する委員として規定されていました。91年に議会運営委員会が国会において法制化され、堺市議会は、94年に堺市議会委員会条例を改正、「交渉団体でない会派の委員 これらを代表して1人」という民主的な組織規定を含めました。堺市議会は、議会運営委員会においても、多様な市民の意見をしっかりと受けとめるという議会制民主主義の歴史を連綿と続けてきたのです。
 提案会派が条例改悪の根拠にしたのは、「他の地方議会はすでに1人会派は議運に参加していない」「堺市議会の方がイレギュラー(不規則)」といったものです。しかし、議会力を向上させる、多様な市民の声をより一層議会に反映させる、という観点からすれば、「イレギュラー」といわれる堺市議会の議事運営こそ、胸を張って自慢できる、誇るべき議会制民主主義の在り方です。
 数の力で押し切る議事運営のあり方や採決された条例は、堺の自由と自治を重んじる市民と共に築いてきた堺市議会の議会制民主主義の歴史を自ら破壊する「歴史的暴挙」であり、条例改正ではなく「改悪」そのものです。
 今回の歴史的暴挙を市民に知らせ、誰が賛成し、誰が反対したのか、後世にも暴挙の事実を残すために、日本共産党は長谷川議員と共に「記名投票」を共同提案しました。党堺市議員団は、引き続き市民の皆さんと力を合わせて、維新主導の悪政にストップをかけるために全力を尽くします。

(大阪民主新報、2020年4月5日号より)

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