おおさかナウ

2020年03月08日

政令市の力を市民のために
「カジノいらない」「大阪市つぶすな」
日本共産党大阪市議団の懇談会 山中団長の報告(大要)

 日本共産党大阪市議会議員団が2月25日、大阪市役所内で、予算議会に向けた市民団体などとの懇談会を開き、山中智子団長が2020年度市予算案や市政を巡る動向について報告しました。その大要を紹介します。

明るい兆しと将来の暗雲が

 予算案は橋下・吉村市政を踏襲するとともに、予算の編成方針では「市民サービスの拡充」よりも、「大阪の成長」の名でカジノ誘致などを重視する考え方に立っています。
 市財政は1990年代の無駄な開発の借金返しにめどがたち、通常収支は前年度比で75億円好転し、市債残高は16年連続して減少するなど、明るい兆しが見え始めています。前年度よりも予算を一律に削減するマイナスシーリングが続いてきましたが、来年度予算案ではわずか1%ですがプラスシーリングに転じ、暮らし・福祉の充実や、防災対策の向上に向けて展望が生まれています。
 ところが中長期的には、新たな投資が財政運営に暗雲を投げ掛けています。
 カジノ・万博関連では夢洲の基盤整備(75億6千万円)、カジノ誘致(1億2200万円)などが本格化。なにわ筋線(26億4300万円)、万博開催中にシャトルバス専用道路として使うための淀川左岸線2期事業の前倒し(336億5500万円)はじめ、巨大開発が目白押しです。市立大と府立大を統合した新大学の森ノ宮キャンパスの建設に着手しますが、総事業費は1千億円ともいわれます。
 市が発表した財政収支の「粗い試算」(20年2月版)によると、今後10年間の通常収支不足は207億円。これは地方交付税収入を楽観視するなど、新たな前提条件に基づくもので、従来の前提条件なら542億円です。今回の試算は非常に恣意的です。

国保料値上げ市民負担増が

日本共産党大阪市議団が開いた懇談会=2月25日、大阪市役所内

日本共産党大阪市議団が開いた懇談会=2月25日、大阪市役所内

 防災など安全・安心のまちづくりでは、22年度までに全中学校の体育館にエアコンを設置する方針の下、28億5900万円を計上。緊急交通路の無電柱化や埋め立て地の浸水対策などが盛り込まれています。
 可動式ホーム柵への補助は、JR環状線鶴橋駅や地下鉄御堂筋線、四ツ橋線など5億3千万円が含まれています。
 市立高校の府への移管やテスト漬けなど橋下・吉村市政の教育壊しを引き継いでいます。
 生野区西部地区の学校再編で施設整備の予算を計上すると同時に、条例化してまで統廃合を強行しようとしています。塾代助成事業(23億4千万円)などは、施策の内容や効果を検証していくことが必要です。
 市民の長年の運動や時代の要請で、児童相談センターが4カ所体制に向かい、児童虐待防止のさまざまな施策などが新たに始まります。大津市の交通事故で保育園児が死傷した事件(昨年5月)を受け、未就学児のお散歩時の安全対策へ支援者の配置や危険箇所の解消の予算(6億3500万円)も盛り込まれました。
 一方、国民健康保険料が3年ぶりの値上げです。医療費増加分が3%、府の統一保険料(24年)に1・2%と、計4・2%の値上げです。後期高齢者保険料は5%も値上げされ、市民に負担が襲い掛かっています。

何でも「民営化・統廃合」に

 ごみ収集の民営化を順次拡大し、市立大と府立大の法人統合に続き、22年度には一大学にする議案が、2月21日の本会議で維新・公明の賛成で可決されました。
 水道管路の更新事業は民間に丸投げし、天王寺動物園の独立行政法人化を狙うなど、「何でも民営化・統廃合」を進めています。
 大阪市交通局が18年4月に民営化されましたが、大阪メトロでは御堂筋線の終電延長や改札の顔認証のための実証実験など、公共交通としての安全・安心にとって疑問を抱くような動きばかり目立ちます。
 都市交通局はシティバスの赤字補助(4億4200万円)、地下鉄駅のエレベーター設置や可動式ホーム柵設置への補助(8億3千万円)を出しますが、大阪メトロの事業にものを言う権限はありません。公共交通の役割を果たさせるため、市民の大きな運動が必要だと思います。

党派を超えた対話を広げて

 「カジノはいらない」の声はいよいよ大きくなっています。「時事通信」の2月の世論調査でも、カジノを含む統合型リゾート(IR)の国内誘致に「反対」が62・4%、「賛成」は22・8%です。
 大阪の事業者公募に応じたのは、米カジノ資本のMGMとオリックスの共同グループだけでした。府市はカジノ事業者の言いなりになる恐れがあります。大きな運動で包囲して、カジノ誘致を断念させましょう。
 大阪市を廃止して「特別区」に分割することの是非を問う、2度目の住民投票が11月にも行われようとしています。しかし時間が経てば経つほど、「コスト抑制」を理由に新庁舎を造らず「合同庁舎」とするなど、制度案は支離滅裂なものになっています。協定書に「住民サービスを維持するよう務める」と書きこんでも、何の担保もありません。推進派は市民の不安や批判を打ち消すことに躍起です。
 こうした事実が市民の皆さんに伝われば、住民投票で負けるはずはないと思います。「カジノはいらない」「大阪市をつぶすな」という声を大きく広げ、政令市が持つ大きな力を市民のために生かす大阪市にしようという対話を、党派を超えて進めましょう。中央区の再選挙(13日告示、22日投開票)で小川陽太さんの当選を勝ち取り、住民投票で必ず勝利しましょう。

(大阪民主新報、2020年3月8日号より)

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