おおさかナウ

2019年06月16日

特別対談(下)
憲法9条を変えちゃダメ 作家 室井佑月さん
もっと届けたい声がある 参院議員 たつみコータローさん

 作家の室井佑月さんと日本共産党参院議員のたつみコータローさんの対談企画の続編です。バッシングに見舞われながらも社会へ発信し続ける室井さんの原動力はどこに? 「政治を変えたい」との信念で走り続けるたつみ議員の思いは…。(特別対談(上)はこちら)たつみ議員対談写真minpou

社会批判の原動力は

室井 第1次安倍政権の時から、安倍さん嫌いと批判を書いてきました。

たつみ 発信力が素晴らしいと思います。その社会批判の原動力はいったいどこから来ているのでしょうか?

室井 私の祖父は宮城県のお寺のお坊さんでした。戦争から逃げてきた人をかくまったりして、特高にボコボコにされたと聞いています。

たつみ 権力に決して屈しないおじい様の生き方があったのですね。

室井 祖父に直接会ったことはないのですが、俳句を詠む人だったと父から聞きました。父も製薬企業で組合活動をして、圧力を受けました。

 祖父だったら、今の安倍さんを見たら絶対に味方するわけはないと思って。

たつみ 貫かれた反骨精神に自分自身の姿を重ね、言うべきことは必ず声を上げるという思いがあるのですね。

室井 ただ思ってることを素直に言っているだけのことなんですけどね。

たつみ なかなかそれが普通にできない社会だと思います。発信するたびに大変なバッシングが返ってくる。でも問題の本質にズバッと切り込む室井さんの言葉に、どれだけ多くの人が勇気付けられているかしれません。

本質見え始めた維新

たつみ 大阪の維新政治をどう見ていらっしゃいますか?

室井 安倍さんや菅さんと仲がいいし、安倍自民に最も近いのが維新ですよね。

たつみ 先の府知事・市長ダブル選で、安倍さんは1度も自民党候補を応援しませんでした。憲法改正に協力する維新を勝たせたいというのが本音だと思います。

室井 そこが十分に伝わらず、逆に「反自民」のように見えてしまう。気付いてほしいって思うけど、考えてみたら東京都民も言えないですよね。

たつみ 確かに歴代知事の顔ぶれをみると、東京も混迷していますよね。

 今回の丸山穂高衆院議員の「戦争発言」や長谷川豊氏の差別発言問題が起き、憲法9条を敵視する維新の実態が、少しずつ見え始めていると思います。

国民の権利守る憲法

室井 憲法について、人権条項はもっと手厚くした方がいいと思っているんです。ただ安倍さんのもとでは憲法改正しちゃ駄目だと思う。

たつみ 世論調査を見ると、憲法改正に賛成の人はかなりいますが、9条に関しては、もう何年も反対が上回っています。安倍政権下での9条改憲に関しては、さらに反対が増えるんです。

室井 本当にそうですよね。憲法の話題になると、「国民の義務と権利はセット」って話し方がされるけど、それはうそで、憲法って権力側を縛るもので、国民の権利を守るものですよね。

たつみ 日本国憲法には納税など義務規定がいくつかありますが、権利保障の条文ははるかに充実しています。

室井 この憲法が改悪されたら具体的にどれだけ自分たちが損するのか、そんな憲法改悪の理不尽さを誰もが納得できるような易しい言葉で伝えていかなければならないと思います。

党名は変えないの?

室井 共産党っていう党名は変えないの?

たつみ はい。1922年以来の大切な党名ですから。

室井 党名聞いただけで嫌っていう刷り込みイメージがあるからさ。共産党がおかしいって言ってるんじゃない。野党共闘の中心になってほしいから。ねぇ、駄目?

たつみ そこまで期待を寄せていただいていることがうれしいです。

室井 名前変えたら、偏見が一気に解決されるんじゃないかと思うんだけど。

たつみ 戦前、戦中の暗黒のような時代に命懸けで反戦・平和を貫いた「共産党」は、希望の存在だったと思うんです。党員みんなの気持ちが込められています。

芸術大切にする政治

室井 芸術は、人間にとって大切な根っこを育てます。共産党が政権とったら文学や演劇、映画とか芸術分野にしっかりと税金を使ってくれますか?

たつみ そこは大丈夫です。共産党ほど芸術分野で政策を持っている政党は他にないと自負しています。私自身も映画が大好きで、映画監督になろうとアメリカの大学に留学して勉強しました。

室井 映画界でも、権力批判を扱った作品が、次々と生まれてきています。今よりもっと野党の影響力が強まっていけば、自分の意見をはっきり主張できる関係者も増えると思います。だからもっと野党が力をつけなきゃ。

たつみ もちろんです。そのために頑張ります。

室井 文学の世界で古今東西変わらないテーマは、愛、生と死、そしてもう一つが反権力。権力にまかれて自分の意見を言わないってことはかっこ悪いし、痛々しいことでしょ。声を上げ行動したいと考える人は多いし、もっと私も頑張りたい。

本当の「愛国心」って

室井 学校の道徳教育も何かおかしくなっていると思います。素晴らしい作品にいっぱい接して、後は自由にした方が心は豊かになると思います。

たつみ 愛国心を育てるといって道徳に点数つけるって、一番やってはいけないことですよね。

室井 私なんて記事を書くたび、愛国心ないのかとか、売国奴って言われて、なんでよって思う。

たつみ 逆なんですよ。日本人の命を危険にさらす憲法9条改悪や、原発の海外輸出、アメリカの武器爆買いとか、それこそ売国政策でしかない。

室井 欧米の新聞読めば、原発政策やトランプ大統領への批判もしっかり書いているけど、国内メディアはできない。

たつみ トランプさんへのノーベル平和賞で推薦状を出したり、今回の日米首脳会談での安倍さんの対応を見ると、従来の自民党政治に輪をかけて、日本を切り売りする異常ぶりです。

力合わせ政権倒して

室井 で、どうですか次の選挙。大変でしょ。

たつみ 安倍政権を今のまま続けさせてはいけないという動きは、必ず大きくなっていくと思います。国会のエレベーターで自民党議員に会うと、「森友疑惑はまだ終わっていない」「追及の手を止めないで」と声を掛けられることもあります。

室井 与党の中にも変えたいという思いがあるんですね。

たつみ 各地の自衛隊駐屯地の宿舎近くなどで演説すると、好意的な反応が返ってくるんです。憲法9条は絶対に守ってほしいと。

室井 自衛官OBも「しんぶん赤旗」に登場したでしょ。いまとても危険なところに来ていると、見るに見かねて声を上げ始めているのだと感じますね。

たつみ この声にしっかり応える政治を実現しないといけない。もっともっと国会に届けたい「声」があります。安倍政権に破壊された平和主義や人権、民主主義を国民の手に取り戻すために、精いっぱい走り続けたいと思います。

室井 野党の皆さん本当にお願いします。力を合わせて、必ず安倍政権を倒してください。お願いします。お話できて楽しかった!たつみさんはどうでした?

たつみ 私も楽しすぎる時間でした。今日はありがとうございました。

(大阪民主新報、2019年6月16日号より)

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