おおさかナウ

2019年03月17日

声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
タクシー労働者の環境改善を 供給過剰の弊害ただす

質問するたつみ議員=2013年11月18日、参院国交委

質問するたつみ議員=2013年11月18日、参院国交委

 「タクシー業界では長時間労働や低賃金、劣悪な労働が広がっている」「大阪ではタクシー供給量が多すぎるのが現場の実感であり、労働者の収入も下げ止まったまま」(2013年11月19日の参院国土交通委員会)。

 たつみコータロー参院議員はタクシー適正化・活性化法改正案の質疑で、規制緩和がもたらしたタクシー供給過剰の実態を取り上げ、長時間・低賃金労働が蔓延する事態を告発し、供給削減の命令措置対象となる「特定地域」の指定など実効ある対策を求めました。

競争激化で消耗戦

 たつみ議員は、大阪府下で1995年当時に4万3千円だった営業収入が、2011年には2万7千円に落ち込んだと指摘。初乗りが特に安い「下限割れ運賃」や、5千円以上の料金部分を半額にする極端な遠距離割引などを大阪で認めた弊害を示し、「下限割れ運賃は過当競争を生じさせた原因の一つであり、長時間労働など業界全体の労働条件を下げている」、「長距離を走る割には運賃水揚げが少なく、事業者にとっては売り上げが上がらず、各社共に消耗戦となっている」と改善を要求しました。

 「タクシー業界は景気後退の影響を一番早く受け、景気が良くなったときは一番最後にくるとも言われています」

 97年の消費税増税から3年間で、大阪の総運送収入が2割以上も激減したと指摘し、「規制強化にかじを切っても、消費税が上がれば業界は苦境に立たされる。公共交通機関としての役割が果たされなくなる」と述べ、消費税の増税は中止すべきだと求めました。

法の趣旨を生かせ

深夜に客待ちするタクシーの列

深夜に客待ちするタクシーの列

 たつみ議員は2015年5月19日の参院国土交通委員会で、タクシー供給過剰の解消を進める「特定地域」の対象が、内閣府の規制改革会議の意見によって狭められたことを批判し、法改正の趣旨を踏まえた見直しを強く求めました。

 タクシー事業をめぐっては2009年にタクシー規制強化法が施行され、13年に、供給過剰が著しい「特定地域」で強制的に減車を行うなど、規制強化が盛り込まれました。

 国交省は当初、全車両数の最大6割の地域が「特定地域」対象となると試算しました。ところが14年6月、規制改革会議が「特定地域の車両数は全国車両数の半数を有意に下回るべきだ」とする意見を公表すると、15年1月に公示された国交省の指定基準は、「特定地域」の候補を大阪、札幌、福岡など全国29地域、車両総数の約34%に限定。東京や「人口30万人以上」の基準を満たさない55地域などが指定対象から外れることになったのです。

 たつみ議員は、国交省幹部による「規制改革会議のご指摘を勘案しながら指定基準をつくってきた」などの発言を取り上げ、規制改革会議の求めに応じて「30万人」の基準を設け対象地域を限定したと批判。供給過剰の解消、運転者の労働条件の改善という法改正の趣旨に従い、基準を見直すべきだと主張しました。

 太田昭宏国交相は、「供給過剰解消の観点からは多くの特定地域の指定が求められるが、法的効果が強いため、スタート時において厳格な基準とした」「運用状況や効果を見極め、法改正の趣旨に照らして見直しを行う」と答弁しました。

 たつみ議員は、規制を骨抜きにした政府の対応を批判し、「供給過剰の解消、運転者の労働条件の改善という法改正の趣旨をゆがめている。改正趣旨に沿った指定基準の見直しを行うべきだ」と重ねて求めました。




(大阪民主新報、2019年3月17日号より)

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