おおさかナウ

2018年11月25日

チェック!維新府政 府民のくらし守ろう
日本共産党府議団レポート

9月府議会前半を振り返って
災害から府民を守る カジノ開発ストップ
日本共産党府議団団長 宮原たけし

 10月24日まで開かれた9月府議会前半は、大阪府北部地震や台風21号などによる被災者の支援と今後の防災に対し、府がどう役割を果たすかが問われた議会でした。また、府民の暮らしと営業の底上げの課題とともに、カジノや関連する大型開発、これ以上の府立高校つぶしを許すかどうかなどが大きな焦点となりました。

 石川たえ府議と私は、北部地震以後に行った6回の政府要望と4回の府要望も力に、論戦に臨みました。

〝一部損壊〟への支援を

質問する宮原たけし府議

質問する宮原たけし府議

 6月の北部地震と9月の台風21号による住宅被害は、判明しているだけで全壊46件、半壊915件、一部損壊11万5042件にのぼります(11月19日現在)。松井一郎知事は今議会に2度の「災害対策」補正予算を提案しましたが、内容は府有施設の復旧が中心で、被災者の生活再建を直接支援するものはわずかです。

 被災地の家屋は軒並み屋根などが破損し、応急的に雨露をしのぐためのブルーシートを求めて市民が行列をなしたり、やっと手に入っても屋根に掛ける人手がない問題が多発しました。ところが私の質問で、京都府や兵庫県はブルーシートを計画的に備蓄しているにもかかわらず、大阪府は備蓄物品の対象にさえしていないことが明らかになりました。

 高槻市の北部地震による全壊・大規模半壊住宅には国から最大300万円の支援金が支給されますが、他の市町村では支給されません。高槻市でも一部損壊や台風21号被害では支給されません。このような国制度を補うため、全国33の道府県が独自に支援策を設けています。しかし大阪府は何の支援策もない数少ない県です。私は、国に支援拡充を求めるとともに府独自に一部損壊も含めた補助制度をつくるよう求めました。

 知事は、私に対しては「大阪版みなし仮設住宅」と「大阪版被災住宅無利子融資」をもって被災者支援をしていると強弁し続けました。ただし議会が終了した後、府内すべての全壊・大規模半壊に国支援金と同水準の支援を市町村と分担して行うことを検討すると表明しました。

ブロック塀撤去など安全対策を

質問する石川たえ府議

質問する石川たえ府議

 開会中の臨時国会で、国の学校危険ブロック塀撤去・エアコン設置補助が実現しました。石川議員は府議会の教育常任委員会で、大阪府もこの制度を活用して学校の安全対策を急ぐよう求めました。

 北部地震後の調査で、府内の小中学校に危険ブロック塀が総延長104キロメートルあることが明らかになりましたが、今年度中の対策予定はこの6割にとどまっています。エアコンも、府全体では小中学校普通教室の86%で設置されていますが、数%しか設置していない市町村もあります(今年9月現在)。

 石川議員は今年度中の危険ブロック塀解消と来夏までの全小中高校でのエアコン設置を求めました。松井知事は小中学校への補助は拒否しましたが、府立学校の体育館へのエアコン設置を検討すると答弁しました。

 また、維新府政はこれまで8つの府・大阪市立高校の廃校を強行してきましたが、さらに8校減らす計画を公表しました。石川議員は、就学の機会を奪うと批判するとともに、生徒数が減少するからこそ少人数学級を取り入れることを提案しました。

カジノ夢洲開発ストップ

 災害対策や暮らしはそっちのけで、維新府政が必死になっているのがカジノと万博の夢洲への誘致です。

 夢洲は台風21号の際に護岸が損傷しただけでなく、現在も地盤沈下が不均等に進行しているため地震時に液状化する危険性が高くなっています。私の質問に対し、当局はカジノと万博用地の沈下状況を調査することを約束せざるをえませんでした。

 カジノは、ギャンブル依存症の懸念や、1200万人の日本人客の財産浪費による消費の落ち込み、巨額の事業費を費やして夢洲へ鉄道延伸をしても万博終了後はカジノ専用鉄道になるなど、さまざまな問題があります。2025年万博誘致はこれらを覆い隠すための隠れ蓑です。

 維新はこれらに頬かむりしたまま、今議会でもカジノの「プラス効果」発信や夢洲の海上アクセス整備を要求しました。

河川上流の倒木撤去実施へ

共産党府議団の府会報告(2018年秋季号)

共産党府議団の府会報告(2018年秋季号)

 これまで述べた他にも、十分ではないものの府民にとって大事な成果があります。

 台風21号では府内森林で甲子園球場189個分の面積で倒木被害が生じました。うち8割以上が高槻市です。淀川支流・芥川の上流では一面が倒木に覆われていました。大雨が降れば倒木が流され、下流で川をせき止め決壊し、高槻市街地に大被害が及ぶ危険がありました。私はただちに党国会議員団に連絡をとり、林野庁と直談判するとともに、府に繰り返し要請して、ようやく倒木撤去工事に着手させることができました。

 また、国と市町村による民間のブロック塀撤去補助に府も補助を行います。台風21号での農業ビニールハウス撤去・改修に最大9割が補助されます。

 私の質問に対し、9月議会中に災害対策のさらなる補正予算を組むと府当局は答弁しました。12月初めに提案される補正予算が、より府民に役立つ内容になるよう働きかけることが重要です。

開発最優先へ旗振る維新

 維新、自民、公明の各党も本会議質問などで被災者支援や防災に口では触れましたが、内容はほとんどありませんでした。21人の本会議質問で、誰一人さらに補正予算を組むことを求めませんでした。

 一方で、様々な開発メニューを示し、推進を迫る維新の旗振りぶりは際立っていました。中央リニアの前倒し開通や北陸新幹線着工、新大阪駅前開発、なにわ筋線、阪神高速淀川左岸線の推進などを迫りました。ある維新府議は関空浸水・連絡橋損壊を口実に、かつて府議会で自民党が主張したものの10年以上も前から立ち消えになっていた「関空南ルート」の建設を要求。さらには「紀淡海峡大橋を架けて南海トラフ地震の防波堤兼用に」まで言い出したことには開いた口が塞がりませんでした。

 「大阪都」構想が府民・大阪市民的に行き詰まるなか、維新による議会の場を利用したごり押しもあからさまでした。都構想の「1兆円の財政効果」を維新議員が入れ代わり立ち代わり強調、「法定協で議論が進まないようなら事業者を呼んでオープンな場で説明質疑」と知事に求めました。

 なお、府大と大阪市大の統合関連議案は採決されず、12月に持ち越しとなりました。

府民の声が届く府議会へ

 10年間の維新府政で府議会の形骸化が進んでいます。今議会でも、腎臓病患者の会から提出された請願のうち、重度以外の高齢障害者への医療費補助継続に維新は反対しました。近大病院(大阪狭山市)が堺市へ移転しても現在地の医療機能を存続してほしいという患者・住民からの請願は、維・自・公が反対し否決されました。

 府民の声が届く当たり前の府議会へ、日本共産党が府議会で議席を増やすことが決定的になっています。

(大阪民主新報、2018年11月25日号より)

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