おおさかナウ

2018年09月09日

声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
セブンイレブン本社が「賃金泥棒」

質問するたつみ議員=2016年3月28日、参院予算委(「しんぶん赤旗」提供)

質問するたつみ議員=2016年3月28日、参院予算委(「しんぶん赤旗」提供)

 「日本共産党は、法令違反を繰り返すいわゆるブラック企業によって若者が苦しめられていることを国会で何度も告発し、2013年にはブラック企業規制法案も提出しました。若者が使い捨てられる社会に未来はありません」

 たつみコータロー参院議員は2016年3月28日の参院予算委員会で、コンビニ最大手セブンイレブン本社が、独自の勤務管理システム「ストアコンピュータ(SC)」を用いて、労働者の勤務時間を違法に切り捨てている実態を告発しました。

 労働基準法第24条は、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と規定。勤務時間や残業時間の切り捨ては違法行為です。

 セブン社では、アルバイトスタッフの出退記録はコンピュータ管理され、出勤の際にバーコードを読み取り機械にかざすと、1分単位の時刻が「出勤スキャン時刻」として表示されるのに、実際は15分未満を繰り上げた「始業時刻」を自動的に記録。逆に「終業時刻」は15分未満が切り捨てられていました。

 たつみ議員は、コンビニで働くアルバイト学生が、ひどい場合は1時間も勤務時間を過小に計算され、正当な賃金をカットされている実態があると告発しました。

 答弁で塩崎恭久厚労相は「労働時間は分単位で把握する必要がある。切り捨てることは原則、労働基準法違反だ」とし、「(正当な賃金が支払われるため)労働時間を正確に把握するのは使用者の責務だ」と述べました。

首相も「違法行為」

 たつみ議員は、「違法行為を可能にするシステムを作成することそのものが問題だ」とただしたのに対し、安倍晋三首相は、「若者の使い捨ては許されない。アルバイトで働く学生も労働者である以上、適正な労働条件が確保されなければならない。違法行為が発生していることは極めて重大な問題だ」と答弁しました。

 たつみ議員は、時給900円の労働者の場合、月20日(年間240日)働いた場合、始業と終業で最大14分ずつ繰り上げ、切り捨てられれば年間10万800円もの賃金が正当に支払われないとし、「まさに賃金泥棒だと言わなければならない」と批判しました。

 セブン本社への指導を強く求めたのに対し、塩崎厚労相は、「指揮命令下におかれた時間の切り捨てや、賃金や割増賃金の支払いが生じている場合は労働基準法違反になる。こういう事例であれば指導しなければならない」と答弁しました。

 たつみ議員は、セブン本社の「従業員労務管理の手引き」が、「効率的な業務を実現するため、就労は15分単位を基本としている」と告発しました。「問題は本社が堂々と違法行為を『基本』に位置づけていることだ。店舗オーナーは家族経営も多く、高すぎるロイヤリティーに苦しんでいる人も多い。空前の利益が店舗オーナーやアルバイト、労働者の犠牲の上にあるのは問題だ」と批判。「こういった実態は、産業界に広くまん延している可能性がある」とし、「実態を調べて、再発防止を徹底するべきだ」と強く求めました。

 たつみ議員の質問をきっかけに、セブンイレブン本部は国の行政指導を受け、加盟店オーナーに対して「従業員給与システムの変更について」とする文書を送付(8月23日付)しました。

 「行政からの要請をふまえシステム変更を行います」とし、システム運用の手引きには、「労働時間は1分単位で管理することが必要です」「15分単位で計算することで労働時間を切り捨てることは違法とされますので、注意が必要しなければなりません」と記述され、シフト時間前後の着替えや朝礼、片付けも勤務時間に含まれることが説明されています。

(大阪民主新報、2018年9月9日号より)

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