おおさかナウ

2018年09月02日

庁舎整備だけで637億円
大阪市廃止は無理な相談
日本共産党・山中氏「理解は得られぬ」

 大阪市を廃止して「特別区」に再編する、いわゆる「大阪都」構想の制度設計を議論する大都市制度(特別区設置)協議会(法定協議会)の第14回会合が8月24日、府庁内で開かれました。日本共産党の山中智子大阪市議は、制度いじりの不毛な議論を終わりにして、防災をはじめ安心・安全の街づくりへ取り組むべきだと主張しました。

第14回法定協開く

総初期コストは800億円超に

山中智子氏

山中智子氏

 副首都推進局が「特別区」の庁舎整備案と費用試算などを新たに提示。「総合庁舎」案によると、庁舎の新築・改修費用は計637億円。当初の「特別区素案」に盛り込まれていた庁舎整備コスト341億円より296億円も増えます。

 第4区(天王寺・生野・阿倍野・東住吉・平野)の場合、現在の阿倍野区役所を本庁舎として使い、その近隣に約1万2千平方㍍の用地を確保して庁舎を新設するとしています。これに対して山中氏は「(こんな用地確保案は)あまりにも非現実的。机上でいくら絵を描いても仕方がない」と批判しました。

 山中氏は「特別区」設置の初期コストは庁舎関連以外のシステム改修などを含めると800億円を超えると指摘。「『特別区』にするメリットは皆無で、膨大な初期コストがかかることははっきりしている。大阪市を廃止して『特別区』に分割することは無理な相談であり、市民の理解は到底得られない」と断じました。

安心・安全の街づくりこそ

「特別区」の庁舎案などが議題となった第14回法定協=8月24日、府庁内

「特別区」の庁舎案などが議題となった第14回法定協=8月24日、府庁内

 さらに山中氏は、大阪北部地震や西日本豪雨災害に直面する中で、ブロック塀の対策や老朽水道管の更新など行政の課題が明らかになっており、「『大都市制度改革』などと不毛な制度いじりをしている場合ではない」と強調しました。

 西日本豪雨災害では猛暑の中、多くの人々が「被災者を助けたい」という熱い思いでボランティアとして被災地に駆け付けていると力説。「こういうマンパワーと響き合って、安全・安心・命を守るという確固とした立場に立った政策の方向性や中身こそが大切。不毛な議論はおしまいにして、安心・安全の街づくりに、府も大阪市もそれぞれ役割を発揮して、全力で取り組むべきだ」と主張しました。

(大阪民主新報、2018年9月2日号より)

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