おおさかナウ

2018年08月05日

対談 日本共産党参院議員
山下よしきさん たつみコータローさん
野党共闘勝利・共産党躍進必ず

 来年の参院選まで1年を切りました。日本共産党副委員長の山下よしき参院議員(比例候補)と、大阪選挙区で再選を目指すたつみコータロー参院議員に、通常国会での論戦や野党共闘の発展、日本共産党が果たした役割などについて、語り合ってもらいました。(司会・本紙編集部)

安倍政治終わらせ新しい政治をつくろう

山下氏 労働者と家族を守るため、暴挙忘れず悪法廃止へ
たつみ氏 私の認識が遅れれば、日本の森友追及が遅れる

山下たつみ対談minpou国民の願いに背を向け強行

――182日に及ぶ通常国会が7月22日に閉会しました。全体の印象はどうでしょうか。

山下 私は、安倍政権の特徴がはっきり表れた国会だったと思います。国民が「やってほしいこと」は絶対やらず、「やってほしくないこと」を次々強行する。森友・加計疑惑の真相究明、大阪北部地震や西日本豪雨の被災者支援には背を向け、「働き方改革」一括法やカジノ実施法など国民多数が反対している悪法を押し通したのです。こういう政権は一日も早く終わらせなくてはいけません。

たつみ まさにその通りですね。私自身の実感は、政権としての「たが」が外れているということ。森友疑惑では公文書改ざんが大問題になりましたが、国会論戦の中で官僚自身が改ざん、虚偽答弁、隠蔽の事実を認めたのは、憲政史上初めてです。民主主義を土台から壊す異常事態が引き起こされているのに、開き直り、うそとごまかしを続ける。政権の資格そのものが失われていると思います。
 だいたい、国会で一国の総理に「うそつき」と言っても、何も問題にならないのです。7月11日の参院本会議である野党議員が、災害対応よりカジノ審議優先の姿勢を取り上げ、「総理は国会議員以前に、人間失格」と批判しましたが、自民党からの抗議はありません。

山下 そう言われても仕方がないと認めているわけです。なぜそこまで「たが」が外れたのか。公文書改ざんも、虚偽答弁も、捏造も、震源地は安倍首相その人だからです。森友問題は安倍首相と夫人の昭恵氏が関わる事件だったからこそ改ざんが起きたのです。

たつみ 憲法62条の国政調査権が国会議員に与えられているのは、立法府が行政府のチェック機能を果たすため。公文書改ざんはこれを踏みにじるもので、本来なら与党も問題解明のために動かなければならないのに、やらなかった。

論戦力発揮し国会をリード

山下よしき参院議員

山下よしき参院議員

山下 さらに言うと、憲法前文には「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」とある。安倍政治は「国民の厳粛な信託」からどんどんかけ離れ、首相とそのお友達だけが利益を「享受」するものとなっています。これに対して、日本共産党は論戦と運動で国政の権威を国民に取り戻す役割を担ったと思います。

――通常国会を振り返った「朝日」の記者座談会(7月24日付)は、「森友・加計問題の追及で気を吐いた野党は共産党だった。独自に文書を入手して政府を責めたてた」と書きました。たつみさんは森友問題追及チームの責任者として、宮本岳志衆院議員とともに、文字通り追及の先頭に立ってこられました。

たつみ 森友疑惑では昨年から追及チームを立ち上げ、宮本さんと力を合わせて取り組んできた蓄積がありますが、衆参連携して追及したのは日本共産党だけだと思います。わが党にいろんな情報が次々に寄せられ、それを基に安倍政権を追い詰めてきました。情報が寄せられるのは「共産党なら安心して託せる」という信頼と、安倍政権はおかしいという義憤に駆られてという、両面があると思います。

山下 先の「朝日」は「官僚の中立性を保ち『忖度政治』をまん延させないためにも、役所からの『通報』の窓口になれるような野党議員たちが必要だった」と続けていますが、わが党はまさにその役割を果たした。たつみさん自身が森友疑惑に関する膨大な資料を読み込んできましたね。

たつみ ええ。ことしの正月には6時間分の音源を自分で聞いて文字に起こしました。大変でしたが、私自身が真実を知りたい、こちらが主張してきたことが正しいということを証明したい。うそつきは許せないという、こちらも義憤に駆られていますから。
 約1千㌻の交渉記録がいきなり出て、次の日に質問という局面もありました。それでも私自身の認識が遅れてしまえば、日本全体の森友疑惑追及が遅れる。一歩も引けないという思いでした。

山下 なるほど!そういう熱い使命感に燃えていたのですね。

たつみ ええ。森友問題はまだ終わっていません。私は6月18日の決算委員会で、国有地取引をめぐる内部文書を暴露しました。公文書の公表をめぐって財務省と国交省がすり合わせをしたことを記したメモには、財務省理財局と近畿財務局のやりとりの記録を「最高裁まで争う覚悟で非公表とする」と記していますが、そこに何が書いてあるのかということです。
 また佐川宣寿前理財局長らの刑事処分について「官邸も早くということで、法務省に何度も巻きを入れている」と記されており、官邸が法務省を通じて検察に圧力をかけていた疑いがあります。安倍首相を退陣に追い込むまで徹底追及します。

内閣不信任に反対した維新

たつみコータロー参院議員

たつみコータロー参院議員

たつみ 忘れてはならないことは、森友事件の発端は、完全に“維新案件”だということです。籠池泰典前理事長の要求を受けて小学校の認可基準を緩和したのは維新府政。さらに「教育勅語」を暗唱させるような教育を容認する政治姿勢が安倍政権にあり、維新も同調してきたわけで、維新政治や松井一郎知事の責任追及も欠かせません。

山下 安倍政治と維新政治が一緒になって咲かせた“あだ花”が森友問題であり、カジノ、改憲です。両者は国民多数の願いを踏みにじり、反対を押し切って悪政を進めるパートナーになっています。

たつみ まさに二人三脚ですね。カジノ実施法を急ぐ必要はないし、大阪北部地震や西日本豪雨で災害が起きている時に、賭博の議論をする必要はどこにもなかったのです。あれほど強行を急いだのはなぜか。2016年のカジノ解禁推進法強行の時もそうでしたが、一つは海外カジノ資本の強い要求。もう一つは維新で、2025年の国際博覧会(万博)と一体に大阪でカジノをやりたいという野望です。
 衆院本会議での安倍内閣不信任決議案に維新は反対しましたが、驚くべきことに、その理由は安倍政権が「野党よりまし」というものです。

山下 まさに与党宣言です。野党による不信任決議案提出そのものを攻撃し、採決でも反対する。安倍政権の方が「良い」とジャッジしているわけです。その犯罪的な役割を大阪の皆さんにしっかりと伝えることが、大阪の政治をよくするためにも必要です。

カジノ強行は「究極の売国」

――カジノ実施法をめぐる論戦で日本共産党が果たした役割はどうでしょう。

山下 日本でのカジノ解禁が米国のカジノ資本の要求であり、カジノ実施法案は「究極の売国法案」だという点は、わが党が先駆的に追及してきたものです。それが野党全体の追及点となるまで認識が発展し、一致するようになりました。

たつみ 日本進出を狙う海外のカジノ資本が、カジノ解禁推進法を提案した推進派国会議員の政治資金パーティー券購入の形で「脱法献金」を行っていた問題の追及も日本共産党ならではでした。
 私は参院内閣委員会(7月17日)で大阪への万博誘致に向けたオフィシャルパートナー(公式スポンサー)に大手カジノ企業5社が名を連ねていることを指摘しました。石井啓一カジノ担当相(公明党)は「大阪が誘致する万博はIR(カジノを核とする統合型リゾート)と関係するものではない」と言いますが、一体不可分であることは事実が示しています。カジノ業者が万博に関与するのは、カジノだけでは、税金を使った夢洲のインフラ整備の大義が立たないからです。
 カジノを開設すれば、ギャンブル依存症は絶対増える。「経済成長」や「観光振興」を口実に強行することは、国民の命や生活を顧みなくていい、犠牲にしていいと公言しているようなものです。とんでもありません。

山下 ギャンブル依存症対策基本法案をめぐる参院内閣委員会の参考人質疑(7月3日)で、大阪いちょうの会の山口美和子幹事が、〝ギャンブルや借金で自死する人を防ぐ私たちの活動をあざ笑うようにカジノを解禁するなど到底認められない〟と強調しました。人生をかけた証言です。立場は違っても、まず正面から受け止めるのが国会議員の最低限の役割ではありませんか。それを何ら顧みずカジノ実施法に賛成票を投じるのは、まさに国会議員以前に人間としてどうなのかと問いたい。

裁量労働制の削除勝ち取る

――通常国会では政府の「働き方改革」一括法から裁量労働制の拡大を削除させました。

山下 はい。これはこれまでにない大きな成果です。安倍首相が「働き方改革国会」と豪語し、政府が今国会の最大の目玉と位置づけた法案から、主要部分の一つを削除させたのです。私は党の「働かせ方大改悪阻止闘争本部」の責任者でしたが、国民の運動と野党共闘が非常に大きな威力を発揮しました。
 過労自殺した電通の高橋まつりさんも、私も予算委員会(3月5日)で取り上げた、過労死したNHK記者・佐戸未和さんなど、若者や働き盛りの人が長時間労働で命を失うという不幸な出来事が繰り返されている。これを何とかしてほしいというのが遺族、労働者と家族、圧倒的多数の国民の願いです。

たつみ ところが政府が出した法案はまったく逆で、長時間労働を助長し、過労死を激増させる内容です。

山下 そうです。あれだけ高橋まつりさんのことが社会問題となり、安倍首相が遺族と面会して「二度と過労死の悲劇を繰り返しません」と約束していたにもかかわらずです。使用者が労働時間を把握しない裁量労働制の対象業務の拡大は、確実に過労死を拡大します。「人の命を、過労死の事実を何と心得るのか」という憤りから、野党は結束して立ち向かい、「野党合同ヒアリング」で労働時間のデータ捏造を一つ一つ追及し、削除に追い込みました。

たつみ 通常国会では毎週水曜日に開かれる野党国対委員長連絡会(野国連)を軸に、野党の国会共闘が画期的に前進しました。11テーマ、累計118回に及ぶ「野党合同ヒアリング」が始まったのも、労働時間のデータの捏造問題からでしたね。

山下 ええ。さらに小池晃書記局長の論戦などで「残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)」も、過労死を促進する異次元の危険をもつものであることを明らかにしました。
 参院厚生労働委員会で法案が強行可決された夜、国会周辺に集まった労働者からは抗議や怒りと同時に、「こんなひどいものを職場に持ち込ませない」と、新たな決意の声が直ちに起こりました。この暴挙を絶対に忘れず、労働者とその家族を守るために、安倍政権を終わらせ、悪法を廃止しようではありませんか。

9条改憲発議食い止めた力

たつみ もう一つの成果は、安倍政権が執念を燃やしている憲法9条改定の国会発議を、この国会では阻止したことですね。

山下 安倍首相はことし1月に自民党の改憲案を通常国会で示すと公言し、施政方針演説でも「与野党の枠を超えて建設的な議論」をと呼び掛け、改憲論議を加速させようとしました。

たつみ しかし思惑通りにはいかなかった。

山下 昨年5月3日の憲法記念日に安倍首相が突然、憲法9条に自衛隊を書き込むことを打ち出しました。「自衛隊明記」の狙いは、これが海外での無制限な武力行使に道を開くことにあります。ただ、安倍9条改憲阻止の「3千万署名」の取り組みでも当初は、この本質を国民に分かってもらうことは大変だったと思います。

――大阪でも「自衛隊を認めないのか」「北朝鮮が攻めてくればどうするのか」などの声も出され、「なかなか署名が集まらない」という声も聞きました。

山下 本当に苦労があったと思います。しかし、運動の中で繰り返し学習し、自分たちの言葉を紡ぎ出して粘り強く訴えた。署名を呼び掛けた全国市民アクションや総がかり行動に結集する人々、多くの市民が、「安倍9条改憲ノー」で手をつないだことが、大きな世論をつくり、安倍政権を追い詰めたことは間違いありません。

たつみ 同時に、森友問題での公文書改ざんなど、安倍政治のひどすぎる実態が日々明らかになりました。署名の広がりに励まされて、野党も「憲法を守らない安倍政権に、憲法を語る資格なし」ということで、結束して対抗しました。

山下 歴史的な米朝首脳会談を機に、北朝鮮や北東アジアをめぐる情勢が劇的に転換し、安倍政治への批判が高まる中で、「ことし中に発議」という安倍首相の思惑に大打撃を与えたわけで、「3千万署名」を集め切り、改憲策動そのものの息の根を止めたいですね。

たつみ 本当に、“攻め時”ですね。

被災者支援で蓄積のある党

――通常国会最終盤、大阪北部地震や西日本豪雨の被災地をよそに、カジノ実施法などの強行へ暴走する与党や維新に、「なぜ災害対応より、賭博の議論なのか」という怒りの声が起き、安倍首相も出席した酒宴「赤坂自民亭」も批判を浴びました。

山下 大きな災害が発生したとき、まず第一級の課題として現場に身を置かなければならないと思います。大阪北部地震が発生した時、ちょうど上京する新幹線の車中にいました。列車は止まり、刻々と被害状況が入ってくる中で、「大阪に戻らなければ」と判断し、東京駅に着いてからその足で羽田空港に向かいました。
 大阪に帰り、党中央の対策本部長として府庁、大阪市役所で全体状況を聞き、高槻市の寿永(じゅえい)小学校のブロック塀倒壊現場に向かいました。自ら現場に立ち空気を吸う。そこで何が起きていて、人々がどんな気持ちでいるのか、行かなければ政治家として肌でつかめない。9歳の少女が、なぜブロック塀の下敷きになって亡くならなければならなかったのか。その場に立ってこそ、自分の胸に刻むことができる。それが大事だと思います。

たつみ 6月18日は参院決算委員会での質問を終えて大阪に戻り、後日、高槻市の南平台に入りました。宅地に割れ目が入るなどの被害が出ており、宅地が崩壊すればそこの家屋だけでなく、より低地の家屋にも被害が及ぶ危険があったのです。
 7月6日の参院災害対策委員会では、国の宅地耐震化推進事業を取り上げました。大規模盛土造成地の滑動崩落を防ぐために必要な費用を補助する制度で、地域防災計画に記載された避難地・避難路に被害が発生する恐れがあることが、補助要件の一つになっています。
 私は、熊本地震では発災後に自治体が被害を受けた宅地周辺を避難路に指定することで、補助要件を満たしたことを示し、大阪北部地震でも同様に柔軟な運用ができるという国会答弁を引き出しました。

山下 宅地耐震化推進事業は熊本で大規模に行われているもので、避難道を後から指定すれば、公共事業として個人の住宅地も救うことができるのです。
 日本共産党には災害対策での蓄積があります。私が参院議員になって最初の仕事は、その年に起きた阪神・淡路大震災の被災者支援でした。作家の小田実さんら市民の皆さんと力を合わせて、被災者生活再建支援法を作りました。
 災害で政治のあり方が問われ、被災者の運動が起こり、新たな制度を勝ち取り、次の災害の被災者がそれらをさらに充実させていく。被災者のたたかいの歴史を党として蓄積しているのが、日本共産党です。通常国会で野党が共同提出した法案は「原発ゼロ基本法案」はじめ20本に及びますが、そこには「被災者生活再建支援法改正案」も含まれています。

たつみ その蓄積と経験があるからこそ、私も高槻市の現場で声を聞いて、前進を勝ち取れるという確信をもって論戦できました。高槻市で活動する党支部や後援会があり、震災という大変なときだからこそ、地域の声を聞いて真っすぐ国会に届けられるという、日本共産党の強みを感じました。

山下 まったく同感です。高槻市での「集い」(7月16日)で参加者から出された質問や意見は、すべて震災に関わる問題でした。自治会長の党員は、どんな支援を受けられるのかを知らせようと、「しんぶん赤旗」の切り抜きを集めてリーフレットを手作りして届け、住民に喜ばれています。わが党の立党の精神である「国民の苦難軽減」を体現する活動です。宮原たけし府議や高槻市議・島本町議はもちろん、一人一人の党員が、地域でかけがえのない役割を果たしていることを誇らしく思いました。

国民への責任必ず果たそう

――来年の参院選まで1年を切りました。

たつみ 私のキャッチコピーは「もっと、届ける声がある」。私は2013年に国会に送り出していただいて、最初は格差と貧困の解消をテーマに生活保護や暮らしに直結する問題で論戦してきました。
 当選直後に山下さんから「一つの分野の専門家ではなくて、オールラウンドプレイヤーになってほしい」と期待を語っていただいただけに、森友疑惑追及はじめ、どんな分野にも挑戦してきました。
 大阪選挙区は8議席(6年ごとに4議席が改選)のうち7議席を自公与党と維新が占めているだけに、日本共産党の議席を必ず守り抜く決意です。カジノ問題も大きな争点になります。大阪の経済をカジノ依存にさせるわけにはいきません。大阪経済の主役である中小企業を支えることが経済再生の道であることを大きく訴え、維新とのたたかいにも決着をつける選挙にしたいと思います。

山下 「こんなひどい政治を続けながら、なぜ安倍政権は倒れないのか」という声も聞きます。倒せるのは市民と野党の共闘しかありません。そのチャンスが来年の参院選です。共闘前進と日本共産党の躍進で、自公与党とそれを支える維新を少数に追い込み、野党連合政権への一歩を踏み出す選挙にしなければなりません。
 国民の多くは「安倍政権を倒してほしい」と願っています。安倍政権を倒す共闘を、どんな努力をしてでもつくる責任が野党にある。
 安保法制の強行以来、「野党は共闘」という市民の声を力に、日本共産党は共闘の前進に知恵と力を注いできました。参院選では相互支援・相互協力の「本気の共闘」をつくり、32ある1人区で共闘を実現して勝利し、日本共産党の躍進を勝ち取りたい。比例代表で全国850万、大阪80万を獲得して比例代表でも前進し、大阪選挙区でたつみさんの再選を必ず勝ち取ることが、国民に対する責任です。
 その責任を果たす上で、わが党の力はまだ足りません。参院選と統一地方選での躍進を目指して全党挙げて取り組んでいる9月末までの「党勢拡大特別月間」を成功させ、参院選で前回時比3割増の党勢でたたかい、絶対に躍進を勝ち取るために、私も力を尽くします。

(大阪民主新報、2018年8月5日号より)

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