おおさかナウ

2018年07月01日

いつ自宅に戻れるのか
長期化する避難生活
共産党国会議員団が調査 大阪北部地震

 6月18日朝、大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震では、高槻市で倒壊した学校のブロック塀の下敷きになり命を落とすなど府内で5人が犠牲になり、500人近い負傷者を出しました。停電と断水、ガスの供給停止が市民生活を直撃し、交通インフラの脆弱さを浮き彫りにしました。住宅被害は6千棟に上り、避難生活を余儀なくされた被災者は「いつになれば家に戻れるのか」と不安の日々を送っています。

購入したばかりの家が

地震で地割れができた民家=6月22日、高槻市内

地震で地割れができた民家=6月22日、高槻市内

 「緩んだ地盤が崩れれば、住宅ごと崩落するのではと心配です。自宅に戻ることもできず、避難生活がいつ終わるか見通せない」。高槻市北部にある南平台の住宅地。家族3人で避難生活を続ける男性(34)が悲痛な声を上げます。

 南平台は山林を宅地開発した住宅街。傾斜地ののり面で亀裂が見つかった場所があり、高槻市は、地震の揺れで地盤が緩み、がけ崩れの恐れもあるとして、計20世帯に避難勧告(一部は解除)を出しました。

 男性の自宅は、盛り土などで造成した5㍍ほどの斜面の上にあり、玄関前に大きな亀裂が入り、擁壁部分にひび割れが生じました。

 建物の危険性を判定する調査で「地盤が3㌢ずれている」と指摘され、住居内には扉が閉まらなくなった部屋もあるという男性。「景色や地域環境が気に入って住んだマイホーム。購入したばかりの新居を手放し『二重ローン』に苦しむことになるのか、不安でたまりません」

危険ないと分かるまで

 「地震の激しい揺れで、自宅に傾きが生じたような気がします。今後住み続けられるのか、不安で仕方がありません」。5年前に南平台で自宅を購入し、家族5人で住む母親(36)は、被災状況を打ち明けるたびに涙をあふれさせました。

 敷地内に地割れが発生し、広い所で幅約5㌢㍍ほどの亀裂が、庭とガレージを横切っていました。

 地震発生の日、学校が振替休日だったため、子どもたちは自宅で休んでいました。「普段登校する時間に地震が起きました。思い出すだけで恐ろしさがよみがえります。住宅ローンも残っていますが、大切なのは家族の安全。危険がないと分かるまで家には戻れません。家族の穏やかな暮らしが取り戻せるよう、行政の支援があればありがたいです」

 南平台一帯では、多くの住民が不安の日々を送っています。50年前から同地区に住む女性は6月22日、敷地にできた陥没を、ブルーシートと土のうでふさぎました。

 自宅の損傷が激しい別の男性は、家を手放すしかないと話しました。

共産党が要望聞き取り

 日本共産党の宮本雄一郎市議は、地震後に南平台で住民の安否を確認し、住まい確保への公的支援策など住民の要望を聞きました。

 6月22日に現地入りした宮本岳志、田村貴昭両衆院議員と共に再度南平台地区を視察し、住民から要望を聞き取りました。

 深刻な被害状況の説明を聞いた田村議員は、「地震で被害を受けた擁壁の改修工事は、費用も巨額で時間も掛かります。国の助成なしに個人で解決できるものではありません。現行制度に加えて新たな支援策が必要です。暮らしの再建に向け、寄せられた被災者の声を、国会に届けていきたい」と語りました。

壁が剥がれ柱に亀裂

〝行政の支援欲しい〟

建物内で聞き取りする宮原、きよたの各氏ら=6月24日、高槻市内

建物内で聞き取りする宮原、きよたの各氏ら=6月24日、高槻市内

 日本共産党の宮原たけし府議、きよた純子高槻市議は6月24日、地震で激しい被害を受けた高槻市南部の民間マンションで住民を訪ね、聞き取り調査しました。

 建物の外壁一面がブルーシートで覆われた状態で、通路には「立入禁止」のテープが張られています。1階と2階の店舗は一部が現在も営業を続け、住居部分の上層階には、多くの居住者が不安の中で過ごしています。

 建物内の太い柱には亀裂が走り、はがれ落ちた壁材が床に散乱。廊下の天井パネルは何枚も落ちそうに垂れ下がっていました。

 室内を案内してくれた男性(48)は、玄関や風呂、壁などに生じた亀裂を示し、マンション住人と建物それぞれの安全確保が求められていると述べ、「夜が特に心配で眠れないこともある。大きな余震が来れば大惨事になるのではと怖いです」と話しました。

 このマンションで母親(70)と2人暮らしの男性(40)は地震発生時、倒れてきた箪笥の下敷きになり、約10分間も身動きがとれませんでした。「布団がクッションになって幸いけがはなかったけれど、本当に怖かった」と振り返ります。

 地震翌日に親子で避難所へ移ったものの、余震を感じるたびに恐怖を感じるという母親は、熟睡できない夜が続くといいます。医療ボランティアによる血圧測定を受け、「水分補給と栄養のある食事が大切」とアドバイスを受けました。

 母親は「地震以降は風呂に入れず、シャワーを1回浴びただけ。白いご飯が食べたい」と言い、男性は「生活拠点が見つかれば、新しい生活を立て直していけます。仮住まいでもよいので支援があればうれしい」と話しました。

 

救援募金を呼び掛け 日本共産党府委員会

 日本共産党府委員会(柳利昭委員長)は22日、大阪北部地震の被災者救援募金への協力を呼び掛ける訴えを発表しました。今回の地震では家屋の一部損壊の被害が広がっており、救援募金は被災自治体などへの義捐金として届け、家屋が損壊した人々をはじめ、その全額を被災者の救援にあてます。

 同党府委員会は18日に柳府委員長を本部長とする対策本部を設置し、中央対策本部(本部長・山下よしき副委員長)と連携し、被害実態の把握と被災者支援の活動を開始。現地の党組織は、国会議員や地方議員とともに被災現場に入り、被害状況の聞き取りや調査、行政への申し入れなどを進めています。

募金の送り先 

郵便振替口座

口座番号00920―8―97104
加入者名 日本共産党大阪府委員会
※通信欄に住所、氏名、職業、および「大阪地震」と明記。手数料は負担を。

(大阪民主新報、2018年7月1日号より)

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