おおさかナウ

2017年06月04日

チェック!維新府政
府民のくらし守ろう
日本共産党府議団レポート

カジノは大阪にとって最悪
暮らし・防災・老朽インフラ対策こそ

カジノ来客は8割が日本人

 松井一郎知事と吉村洋文大阪市長は、大阪湾の夢洲にカジノを誘致する計画を推進しています。2024年までにカジノ業者が4300億円を投資し、来客数の8割は日本人(1200万人)、2割が外国人(300万人)としています。将来的には8240億円の投資と日本人2400万人、外国人600万人を集める計画です。

 IRの収益の8割はカジノです。業者は投資額を平均7年で回収しますから、IRの収益の8割がカジノ収入とすると、4300億円を7年で回収するためにはカジノだけで年間500億円の純利益をあげる必要があります。これはすべて来客者の負け分です。

大阪は〝ギャンブル大国〟

 もともと大阪は、全国の都道府県の中で唯一、パチンコ台数が20万台を超します。面積当たりの台数は飛び抜けて日本一です。パチンコによるギャンブル依存症に最もなりやすい地域が大阪だということです。全国で530万人のギャンブル依存症患者がおり、5・6%の発症率があると厚生労働省は指摘していますが、大阪はもっと多いことが容易に想像できます。

 ギャンブル依存症の決定的な治療法はないとされ、研究が本格化したばかりです。ところが府の依存症対策は国の方針待ちです。

 パチンコ店の営業時間は府内では1日13時間以内で、負けても1日に最大で31万円です。しかしカジノは24時間営業で、マカオの大口顧客は1回50万円から2500万円賭けるといわれますが、それが1分で勝負がつくのです。勝った場合の成功体験の記憶がずっと残り、依存症はけた違いにひどくなり、経済的破たんや家族崩壊が深刻化する可能性があります。現在でも犯罪や児童虐待、DV、子どもの暴力などの社会的荒廃は、大阪は全国でもきわだっています。こうした社会的荒廃がいっそう進むことになるでしょう。

夢洲でのカジノは大型開発が伴う

 夢洲で整備する面積は万博が100ヘクタール、カジノを含むIRが70ヘクタールとされています。

 地下鉄中央線延伸と道路拡張が2024年までに予定されています(事業費580億円)。万博の開催は6カ月間ですが、カジノが誘致されればJR桜島線の延伸も計画される可能性があります(1700億円)。

 夢洲は南海トラフ地震が起これば津波の危険性があります。予測される津波高に対応する対策は講じてあると府はいいますが、予測を超す場合も当然ありえます。地震による液状化が起これば防潮堤は役に立たなくなり、対策には1千億円単位でかかると思われますが、府も市も検討すらしていません。

 知事や市長は、交通インフラは業者も負担するといいますが、もし負担したとしても業者はその分を客から取り戻そうとします。客の負けが増えるだけで、庶民にとって一つもいいことはありません。

くらしの応援、防災と老朽インフラ改修を

 大阪の貧困は深刻です。子どもの貧困は全国ワースト2で、その悪化スピードはワースト1です。保育所の待機児は3千人以上、特別養護老人ホームの待機者は7千人以上もいます。府の子育て支援や高齢者施策が遅れていることがその原因の1つであり、カジノなどにお金をかける余裕はないはずです。

 遅れている施策のもう一つは防災と老朽インフラの更新です。大阪のインフラは1950年代から70年代にかけて作られたものが多くあります。水道管では40年以上経過した管が府内27・6%、大阪市では44・0%に上ります。大阪市の3つの浄水場は耐震化ができていません。大地震で市内全域が断水になる可能性さえあるのです。

 府が管理する流域下水道は施設の更新に今後10年間だけで2200億円かかり、府と市町村で国に財政措置を要望している状態です。

 大阪は製造品出荷額の半分以上が中小企業です。リーディング産業は少ないものの、多分野にわたる産業の集積があります。橋下徹前知事が大幅に削減した商工業予算を復活することはもちろん、現場の声を汲み上げた政策の充実が求められます。

 夢洲に巨額の費用をつぎ込むことは、二重三重に逆立ちした維新府市政の大きな罪の一つです。

カジノや万博に伴う開発

 開発事業事業費
2024年まで

地下鉄中央線延伸540億円
道路拡張40億円
※万博開催が決まれば、中央線輸送力増強(100億円)、夢洲の埋め立て(50億円)がさらに追加
2025年以降JR桜島線延伸1700億円
京阪中之島線延伸3500億円

維新府・市政の大型開発

開発事業事業費
阪神高速道路淀川左岸線2期工事1100億円
同延伸部4000億円
なにわ筋線3300億円


(大阪民主新報、2017年6月4日付より)

 

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