おおさかナウ

2017年03月19日

森友疑惑
府の要支援児向け補助金
実態を偽り受給か 共産党・石川府議が指摘

 

 日本共産党の石川多枝府議は13日の府議会教育常任委員会で、学校法人「森友学園」が運営する塚本幼稚園(大阪市淀川区)の教育内容とともに、要支援児の実態なく府から補助金を受け取っていた疑惑を鋭く追及しました。

大阪府の対応不足は歴然

要支援児の実体なく補助金を受け取っていた可能性がある塚本幼稚園=大阪市淀川区内

要支援児の実体なく補助金を受け取っていた可能性がある塚本幼稚園=大阪市淀川区内

 石川議員は、塚本幼稚園で、園児が1日に2回しかトイレに行けず、並んでいても時間切れで「次の授業がある」とトイレに行くこともできない実態などを、独自の聞き取りを基に紹介。また、担任がいなくなっても保護者には知らされず、クラスが突然合体し、最大時は120人もの園児を1人の先生がみる事態が毎年のようにあったことも示し、「事実なら幼稚園教諭の配置基準違反になる」と指摘しました。

 府の私学課は、補助金調査で園を訪問した際、園への聞き取りや書類確認などで、「保育に必要な教員数が満たされていることを確認した」と答弁しました。

 石川議員は、「私学課が来ることが分かっていたら、それなりの対応はとるはず」と述べた上で、園児が電気を消した“おしおき部屋”に入れられ、少しでもできないことがあると、保護者に執拗な手紙や電話があるなど、子どもも保護者がどんどん追い込まれ、退園した後も子どもは排泄障害に、保護者は園のバスを見るだけで震えが止まらないという実態が複数あると紹介。「これほどの被害を訴えているのに、園側の言い分のみをうのみにし、立ち入り調査も行ってこなかったのは大問題」と、府の対応不足を厳しく批判しました。

補助金もらって対応せず

 さらに石川議員は、塚本幼稚園に府が交付している補助金の疑惑を追及しました。
 問題の補助金は、教育上特別な配慮を要する幼児数に応じて出される「大阪府私立幼稚園等特別支援教育費補助金」です。

 石川議員は、府内の幼稚園の特別支援児数の平均が1・3%(2015年度)であるのに対し、塚本幼稚園は10・7%と異常に高く、2011年度には14・2%にも上るなど同幼稚園だけで常に多数の要支援児を受けていること、10年間で延べ220人、総額1億7248万円の補助金を受け取ったと指摘。補助金を受ける際に必要な保護者の同意確認がされていない、診断書を提出したのに加配の先生がつけられず、配慮もされなかった、「うちでは見られない。やめてください」と退園を迫られたなどの実態を示し、「実態として要支援児はほとんどいない。私学課は実態をつかんでいたのか」と追及しました。

 私学課は、園の報告書に基づいて実施状況の確認をしていると答弁しました。

 石川議員は、「園側の申請書ばかりに気をとられている」とした上で、塚本幼稚園が要支援児を育てる教育環境もつくらず、特別支援教育費補助金を申請し、府は「書類が整っている」とみなして補助金を交付したことになると指摘。「補助金申請の中身は本当に確かだったのか、極めて疑問だ」と述べ、私学課に実態調査を求めました。
 向井正博教育長は、「委員がおっしゃった具体的な相談、保護者の名前、すべて出していただいて、それを基に保護者にヒアリングを行った上で園と調整を行う」などと答弁。石川議員は「調べて保護者一人一人にでも確認するのが私学課の仕事だ」と批判しました。

 

(大阪民主新報、2017年3月19日付より)

 

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