おおさかナウ

2017年02月09日

大義も道理もない賭博解禁
大阪 カジノセミナー

 

 1月末、大阪府主催のセミナー「統合型リゾート(IR)について知ろう、考えよう」に参加しました。府の府民文化部長や大阪府・大阪市顧問、民間企業のIRリーダーなどが報告しました。

 報告の中心は「IR(カジノ)は、いかに集客効果、経済効果があるか」でした。夜のTVニュースでは「経済効果6300億円(年間)税収効果1200億円」などの数字が踊りました。
 しかし、「カジノ」の説明と質問への回答はあぜんとするものでした。

結論ありき

 最初から「IR導入の本質/議論の本質は、賭博の是非ではなく」とパワーポイントで大写しされます。説明では「マフィアのイメージを浮かべるのは古い」「日本は10年遅れている」「いまカジノは健全」「洗練されている」とまで語りました。

 政府なども「懸念」とする社会問題―マネーロンダリング(資金洗浄)、暴力団組織の介入、ギャンブル依存、青少年への悪影響、地域風俗環境の悪化―についての説明も驚きました。「世界でもっともきびしい規制」をするから日本は大丈夫だと、「原発安全神話」もどきの報告があり、質疑応答では「私の知る限りカジノでの巨額のマネーロンダリングはない」とまで断言しました。

 ギャンブル依存症についても、「シンガポールはカジノをつくってから対策をやって減らした」と平然と語り、大阪府は「先行してOAC(大阪アディクションセンター)を設立した」と自慢気でした。

 「IRに賛成、反対の前に、議論を深めるために報告する」といいますが、「初めに賭博解禁ありき」の色彩はありありでした。

異論が続々

質疑応答で、これに異論、反論がでたのは当然です。

 韓国の江原ランドではヤミ金が横行し、登記簿までもってカジノ場へいっている。行政マンはマイナス面からちゃんと勉強してほしい」「ショックを受けた。『ギャンブルで地域振興』など、実にたくさんの問題がある。地方自治体は納税者の健康、財産、命を守る立場ではないか。危機感を覚える」

 私からは三つの質問をおこないました。

 ①「民営カジノ(賭博)」で刑法をどうやってくぐりぬけるのか? ②府がギャンブル依存症で対策をしたというなら、実績は? ③夢洲は2024年、2025年時点で埋め立て完了していないではないか。

 回答は、①刑法の「違法性阻却」は重要な論点。「実施法」は何百条も、何十ページにもなるだろう。それで初めてカジノが認められる。②依存症対策の数字はいま持ち合わせていない。ただ1年半ぐらいなので、そんなに大量の相談があったわけでない。③夢洲は全体を使うことできないが、北側部分は可能、といずれも苦し紛れでした。

 報告者の一人は、「国内的に反対論が強いのは承知しているが、対策を講じて、負の影響を抑える。それで広くご理解を」と言いました。

 大阪府がこんなやり方でカジノをおしつけることへの危惧とともに、「賭博解禁」にはやはりどこにも大義や道理がないことをさらけだしたセミナーでした。

 (中村正男・党大阪府委員会政策委員会責任者)

 (2月1日付「しんぶん赤旗」近畿面に掲載)

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