おおさかナウ

2016年12月18日

市営地下鉄民営化基本方針
大阪市議会 山中共産党市議団幹事長が反対討論

市民の財産を売り払い
無駄な大型開発へ投入

 13日の大阪市議会本会議で、日本共産党の山中智子幹事長が地下鉄民営化基本方針案に反対の討論を行いました。

歴史誇る事業廃止するもの

 山中氏は、地下鉄民営化基本方針案は、80年以上の歴史を誇る大阪市営地下鉄事業を廃止し、2018年4月をめどに大阪市100%出資の株式会社化をはかるものだが、「市民にとってプラスになるどころか、マイナスでしかない」として、問題点を具体的に指摘しました。

374億円もの利益上げているのに

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山中智子幹事長

 山中氏は、大阪市営地下鉄は1933年の開業以来、都市計画の一環として〝市民の足〟の利便を図ることを目的に、市民の税金と乗客の料金で営々と築かれてきたと主張。2015年度決算では374億円もの経常利益を上げ、現金・預金1003億円、基金277億円を持つまでに発展していることを示しました。

 「いまほど安全で安心、快適で利便性の高い地下鉄として、一層の発展が求められているときはない」と山中氏。御堂筋線はじめ全駅の可動式ホーム柵設置、南海トラフ巨大地震の震災対策、今里筋線の延伸などバス・地下鉄ネットワークのさらなる前進、一般会計への納付金など市財政の貢献などが、市民・利用者の願いに応えることになると述べました。

株式会社化の本当の狙いは

 山中氏は、株式会社化で交通局職員に1006億円もの退職金を支払うなどして、手元資金がほぼなくなる上、交通局の企業債4900億円を一括償還するため、その肩代わりを市中銀行に依頼してまでの民営化は、「とても正気の沙汰とは思えない」と批判しました。
 「なぜ、膨大な黒字を計上している地下鉄を民営にするのか」と問い掛けた山中氏は、「それは民営化した後、株式を上場して売却する、ただその一事以外にない」と強調しました。

地下鉄売ってでも大開発進める

 橋下徹前市長が知事だった当時の2011年、「地下鉄を売ってでも高速道路・淀川左岸線延伸部を建設する」と表明し、市長就任後は株式会社化への舵を切ったことを示し、「吉村市長は自分の任期中には株式を売却しないと表明されているが、それを保証できるのは残り3年間にすぎない」と断じました。

上場を目指し突き進む計画

可動柵の設置を行わない試算で

 山中氏は、基本方針案は民営化する以上、株式上場を目指して一気に突き進む計画になっていると指摘しました。民営化後10年間の収支シミュレーションでは経常利益率を上げ、有利子負債を減らすため、利益につながらない可動式ホーム柵の設置などは一切行なわず、今里筋線の延伸も論外、必要最小限の建設改良は補助金と手持ち資金でまかなう内容だと主張しました。

 最後に山中氏は、「民営化、株式会社化とは、市民の貴重な財産である地下鉄を売却し、無駄な大型開発へ投入する道に突き進むこと。このような元も子もなくなるようなことを、多くの市民は許すはずがない」と述べました。


(大阪民主新報、2016年12月18日付より)

 

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