おおさかナウ

2015年09月27日

地下鉄は民営化より浸水・水没対策を
住民の足守る大阪市政に

防災・交通考えるつどい開く
大阪市をよくする会など主催

各区に市営コミバスを

防災と都市交通を考えたつどい=12日、大阪市西区内

防災と都市交通を考えたつどい=12日、大阪市西区内

 大阪市をよくする会と「交通権の確立・大阪市営交通を守り発展させる会」は、11月に知事選と同時に行われる大阪市長選をたたかうスタート集会として、「防災と都市交通を考える市民のつどい」を12日、大阪市西区内で開きました。市民ら約350人が参加しました。防災の専門家で関西大学社会安全学部教授の河田惠昭さんが講演し、「大阪市営地下鉄民営化の議論より浸水・水没対策が先だ」と述べました。立命館大学名誉教授の土居靖範さんが「各区ごとの市営コミュニティーバス創設を」と問題提起しました。

南海巨大地震の可能性高く

 河田さんは2050年までに東海・東南海、南海地震、あるいは南海トラフ巨大地震が起こる可能性が高いと警告しました。また、その前40年から後10年の間に、マグニチュード6以上の内陸活断層地震が複数回起こると述べました。南海トラフ巨大地震による大阪府の被害は、死者13万3891人、全壊家屋17万9153棟と想定されています。
 大阪の市街地は川を埋めたり湿地帯だった地域が多く、半数近い大阪市民が海抜ゼロメートル以下の地域に住んでいると河田さんは指摘し、「水は昔のことを忘れない」と強調しました。

何度も巨大災害受けた大阪

 大阪は過去に何度も巨大災害に襲われています。1707年宝永地震津波は、現在の長堀と東長堀の合流点まで遡上し、その間の橋は落橋しました。1854年の安政南海地震では、市内11の橋が落橋。江戸時代に34回の洪水氾濫災害が発生し、中でも1802年の水害は、東大阪地域が水没するという未曾有の被害でした。1885年の洪水では淀川左岸の枚方で堤防が決壊し、浸水家屋7万1249棟、死者78人に及びました。
 明治以降でも1885年に淀川の堤防が次々と決壊し、当時の西成郡、曽根崎新地から難波まで水没し海原になったといいます。この水害で、府の世帯数の約2割にあたる約7万1千戸が浸水し、家屋の流失は約1600棟、同損壊は約1500棟という甚大な被害に見舞われました。大阪市内では大阪城〜天王寺間の一部高台地域を除くほとんどの低地部が水害を受け、被災人口は約27万人とされます。このほか、台風による高潮でも多くの死者が出ています。

大阪の災害脆弱性の特徴は

 河田さんは大阪の災害脆弱性の特徴として、浸水被害を長期化させる広い海抜ゼロメートル地帯の存在や、地盤沈下が続く咲洲など人工島の存在、地震時には広範囲の液状化による落橋や、道路の不同沈下によるネットワーク寸断、脆弱な環状道路で渋滞の常態化と広域化、キタ・ミナミの広大な地下空間に脆弱な浸水対策、老朽木造住宅郡の存在と市街地延焼火災の危険を上げました。

地下空間浸水で致命的打撃

 特に広大な地下空間とそれにつながる地下鉄の存在は、これまでの巨大災害時にはなく、浸水・水没すればおよそ6カ月間復旧にかかり、「大阪経済は致命的打撃を受ける」と河田さんは強調しました。そして地下鉄民営化を打ち出す橋下徹大阪市長らの政治手法を、「金もうけだけを考えていてはいけない」と批判しました。
 土居さんは橋下市長が敬老優待パスを有料化したことによって、無理をして自転車を運転した高齢者による交通事故が増えているとして、「住民の移動を保障することは、国や自治体の責務だ」と述べ、住民の足を守る市長を誕生させようと呼び掛けました。

反維新の共同で選挙勝利を

 日本共産党の瀬戸一正大阪市議団長が市政報告し、「バス路線廃止などに怒る市民の声が市議会自民党などにも届いている。反維新の共同で市長選勝利を」と訴えました。

(大阪民主新報、2015年9月27日付より)

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