おおさかナウ

2015年03月08日

市民の声届く大阪市にー大阪市議会本会議
無理だらけの「都」構想は撤回を

山中日本共産党大阪市議団幹事長が代表質問

 2月27日開かれた大阪市議会本会議で、日本共産党の山中智子幹事長が代表質問に立ちました。大阪市をつぶし、特別区に分割する「大阪都」構想は市民の暮らしを悪くし、地方自治を破壊する点でも到底認められないと、橋下徹市長を真正面から追及。橋下氏が再提案した「特別区設置協定書」の撤回を求めるとともに、「市民の声がより反映される大阪市にしていくために頑張る」ときっぱり表明しました。

「1人の指揮官」で無駄遣い——山中氏
「1つのリスクに」と認める——橋下氏

 代表質問で山中氏は、橋下氏や維新の会が、大阪市の旧WTCビル(現府咲洲庁舎)や府のりんくうゲートタワービルなどの無駄な巨大開発が失敗したのは府と大阪市が存在したからだと宣伝していることについて、「1人の指揮官」の東京都でも臨海副都心や新東京銀行などの失敗例があると指摘。「統治機構の問題ではなく、政治の中身が間違っていた」と迫りました。

 橋下氏は「共産党が大型開発に反対されているのは知っている。特別区は大型開発をできない仕組みにするのが『都』構想だ」などと答えました。

制度問題にすり替えて

 「制度の問題にすり替え、『大阪市がなくなれば無駄遣いがなくなる』などと言うべきではない」と山中氏。なにわ筋線やカジノ誘致などの巨大開発を「現に1人の指揮官でやろうとしているではないか」と詰め寄りました。

 橋下氏は「2つではなく、まず1つのリスクにする。いきなりゼロにはできない」と認めざるを得ませんでした。

特別区つくれば無駄な負担——山中氏
「必要なコスト」とごまかし——橋下氏

代表質問に立つ山中氏=2月27日、大阪市議会本会議場

代表質問に立つ山中氏=2月27日、大阪市議会本会議場

 山中氏は、大阪市を廃止して5つの特別区を設置することで庁舎建設やシステム改修、毎年の事務費・人件費の増加で、特別区の財政は設置後の5年間で1071億円もの赤字になると指摘しました。
 土地の売却や基金の取り崩し、府からの新たな借金(178億円)で補うシミュレーションになっている中で、「市長は『市民サービスは悪くならない』と言うが、いまでも削られているものを、さらに削らざるを得ないのは火を見るより明らか」と強調しました。

初期費用は680億円にも

 橋下氏は「政治の失敗が起こらないようにするため初期コストは必要」などと答弁しました。

 山中氏は3特別区での新庁舎建設などで必要になる初期費用680億円は、「市民にとってまったく無駄な出費。福祉、暮らし、教育を削らずにやっていけるはずがない」と批判。橋下氏は大阪市解体に伴うコスト増についてまともに答えることができませんでした。

市解体はデメリットばかり——山中氏
根拠なしに「メリットある」——橋下氏

 山中氏は、国民健康保険や介護保険はじめ100を超える事業を各特別区ではなく共同設置する「一部事務組合」で担うことになれば、市民の声も届きにくくなり、特別区間の矛盾も生まれると指摘。特別区設置で市民も登記変更、名刺などの印刷物、登録している住所の変更も余儀なくされるなど、「大阪市を特別区に分割することは、無理に無理を重ねるもの。デメリットしかない」と畳み掛けたのに対し、橋下氏は「初期費用がかかっても、余りあるメリットがある」などの答弁に終始しました。

税金の配分不明のまま

 最後に山中氏は、特別区の財政格差を是正するため府に吸い上げた税金を交付する「財政調整」の配分割合も、「協定書」では住民投票後に知事と大阪市長で相談して決めるとしているなど、「不明確なままだ」と強調。「これでは白紙委任に等しい。いまの協定書のままではとても住民投票に掛けられない」としました。

 01面4(都構想)

(大阪民主新報、2015年3 月8日付より)

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